デジカメアイテム丼

THETAと「VRスコープ」で遊べるアイデア集

(RICOH THETAパーフェクトガイド)

10月末のTHETA Sの登場に合わせて発売された、インプレスの「RICOH THETAパーフェクトガイド」はもう手に取られただろうか? その名の通り、使い方のイロハから応用テクニックまで、THETAと全天球写真/動画をフルに遊び倒すノウハウとアイデアが詰まった唯一無二のマニュアル本だ。

その目玉は、なんといっても簡単に組み立てできる特別付録の二眼式VRスコープだ。今回はそのVRスコープを使うことで倍増するTHTEA S全天球画像の楽しみ方を提案してみたい。

組み立てて試してみよう

まず、VRスコープを組み立てよう。とは言っても、ハサミやノリなどは一切不要で、畳まれた紙を箱の状態に戻すといった簡単なもの。正面から見てTHETAのロゴ部分がスマートフォンを入れるポケットになる。

見たい全天球画像をTHETA Sアプリの2画面VRモードで表示したら、画面を接眼レンズ側に向けてこのポケットに収納し、スコープを顔に当てるように覗きこむだけだ。

組み立て後(左)、組み立て前(右)

通常、THETAアプリではスマートフォンの画面を指でスワイプして見たい場所を表示できるが、VRスコープでは頭の向きや角度に追従して表示される場所が変わるので、まるで目の前の光景を見ているかのようなバーチャルな体験ができるという仕組み。

この付録VRスコープを手に入れれば、THETAに限らずいくつかのVRアプリのコンテンツも楽しく遊べるようになる。

サイズ的にはiPhone 5および6が目安で、使うスマホの本体サイズによってスコープ本体の組み立て時に折り曲げる部分が一か所異なる。5.5型のiPhone 6 Plusおよび6s Plusは入らない。

スマホのセットも落とし込むだけでロック等はないので、激しく頭を振って落とさないように気をつけたい。また夢中になって注視しすぎると、VR酔いを起こす可能性もあるので注意しよう。

さて、VRに適した天球画像とは?

せっかくヴァーチャルな世界が広がるツールが手に入るのだから、どのような被写体を、どのように撮影したらVRをより一層楽しめるかを考えて撮影してみよう。

その場の臨場感を味わう

例えば東京タワーの真下だったり、シャンデリアや美しい装飾が施された室内だったり、つり橋の真ん中や、愛車の運転席でも良いかもしれない。ようはその場で頭を動かして見上げたり見下ろしたり、いろんな方向を見たいと興味を抱かせるようなシチュエーションや場所が最適だ。

ただし、VR用の表示モードでは画像の拡大や縮小表示はできず、表示倍率は固定のまま。つまり、被写体との距離が離れ過ぎていると単純に「広いね」で終わってしまいがち。手を伸ばせば触れそうな物から遠く離れたものまで、遠近の混在がよりリアリティや迫力を増加させる要素だ。

参考:臨場感を味わう撮影例

シアター(撮影:宇佐見健) - Spherical Image - RICOH THETA

そしてこれも大切なことだが、VRスコープで見る天球画像にはTHETAを持つ手やシャッターボタンを押す親指はもちろん、撮影者自身が写り込む必要もない。これがあるとバーチャルな空間体験よりも、撮影者への超接近体験の要素が強くなってしまうからだ。

撮影時にはミニ三脚などとスマホアプリでのリモート撮影を併用して、撮影者はどこかに隠れるか、自撮り棒で体から離すなど、自分の存在を弱めたほうが良いだろう。

THETAでタイムトラベル

THETAは画角としては360度全方位を写すものだが、実はその場の空気や雰囲など全天球という見えないカプセルの中に閉じ込めてくれている。しかしこれは撮影者本人やその家族など近しいのみ人が体感できる極めてプライベートな感覚で、撮影からの時間経過が長いほど、見返した時に強く感じることができるものだ。

どういうことかと言うと、たとえば自宅リビングや子ども部屋などの何の変哲もない日常空間であったとしても、年単位の時間が経過したら様々なことが大きく変化しているのは間違いない。引っ越しや立て替えなどで存在しない空間になっている場合もあるだろう。

仮に今から10年後、自分が撮影した全天球画像をVRスコープで覗くことを想像してみてほしい。目の前にはかつて自分が居た空間がその時のままVRとして再現される。これはもう立派なタイムトラベル体験と言ってよいのではないだろうか?

このようにVRスコープを使うと、THETAで過去にさかのぼることができる。何年か後にそのタイムトラベルをするためには、これからは「今」を空間ごとTHETAの全天球画像に閉じ込めておく作業が大事だ。THETA Sで撮りためておけば、必ずかけがえのない宝物になるし、子どもの成長と合わせて記録していけば、将来の素敵なプレゼントにもなると思う。

参考:あの時・あの場所を振り返る撮影例

行きつけの店や、自分にとっていつまでも大事にしておきたい場所を全天球画像にしておこう。どんな場所でも定点観測的に撮影をしておけば、面白い素材になってくれるはずだ。

カフェ(撮影:宇佐見健) - Spherical Image - RICOH THETA

VRゲームを作ってみる

VRスコープを覗きながら頭を上下左右に動かしたり後ろを見たり、といった仕草は、周囲からみれば何かを探しているようにも見える。実際、VR画像を見ながら何かしら興味をそそるポイントを探しているわけだ。

ならば、ゲームとして探す「何か」を画面に仕込んでようという発想だ。この年末年始に家族でVRゲームを作りながら楽しむのも良いだろう。

VRかくれんぼ「○○を探せ!」

室内のどこかに、カメラでも人形でも、良いターゲットとなるアイテムを仕込む。簡単に見つけられてもつまらないので、何かに紛れこませるような演出をするか、徐々に難易度を上げていくのもアリだ。ターゲット発見までのタイムを競う。

VRまちがい探し「違いはなに?」

室内などで1か所、もしくは異なる方向で3か所くらい被写体が変化(数の増減や反転・移動)を作り出し、前後の2枚を撮影。例えば変化前の状況を制限時間30秒で覚えて、画面を変化後に切り替えたあと、同じく制限時間内に変化点を探すというようなゲームだ。

間違い探しのイメージ(答えの部分を切り出し)
ビフォー
アフター

ほかにも大人数でTHETAを囲むように写り込み、プロファイリングを基に人物当てクイズをしたり、一人だけ衣装替えをした人を探すとか、双子の人などに協力してもらうなど、アイデア次第でゲームはいくらでもつくれるだろう。また、そうしたVRゲームを簡単に楽しめるようなアプリの開発を期待できるのも、SDK/APIを公開しているTHETAの強みだ。

もちろん、これらのゲームには高精細になったTHETA Sの画質が生きてくる。なので、しっかりしたゲーム素材を目指すなら、ミニ三脚+リモート撮影やノイズ低減モードなどを上手に利用して、少しでも高画質になるように心がけたい。

動画でも遊ぶ!

さらに動画モードを使った遊びというのも考えてみよう。動画の場合は、THETAを固定した状態で、正面にいる人が左右でも上下でも、初期位置からフレームアウトするような動きをする。ようは画面内から外へから逃げようとするターゲットをスコープで捕捉するというゲームだ。

登場人物を(頭の動きで)追いかけろ!

身を隠せるような場所があったり、近づいたり離れたり、速度変化も加えて予想外の動きを演出ができれば、鬼ごっこ的なゲーム性が演出できる。振り向いたら目の前に!みたいなエンディングも面白いかもしれない。

ただし、現状のTHETA Sアプリは動画の二眼VRビューには対応していないので、iOSなら「キロル360」、Androidなら「タオ360」といったサードパーティが提供するアプリを使用することになる。他のアプリでも、二眼モード搭載のものであればTHETAムックのVRスコープで楽しめるはずなので、試してみてほしい。

ホリデーシーズンに是非

以上、THETAムックのVRスコープを使ってみんなで遊べるアイデアを紹介してみた。VRスコープというアイテムが加わるだけでTHETA Sでの楽しみがグンと広がることが伝えられたかと思う。何はともあれ試してみると、また新たなアイデアが浮かぶかもしれない。ここに示したのはあくまで「アイデア」なので、皆さんの自由な発想で楽しんでもらいたい。

宇佐見健

(うさみ けん)1966年東京生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業。スクーバダイビング専門誌、広告代理店を経てフリー。カメラ雑誌では新製品インプレッションやHow toなど各種記事を執筆している。写真展「Pola Holga Paradise」(2004年・東京写真文化館Stage)、「Norway Photo Journey 風景とムンクな肖像」(2014年・リコーイメージングスクエア新宿)。カメラ記者クラブ・カメラグランプリ選考委員