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携帯性重視の一脚、ウルトラスティックシリーズが登場!

改めて一脚の使い方をおさらいしてみよう

一脚は三脚の脚を一本だけにして、雲台がついているようなものと考えるとわかりやすい。三脚のようにしっかり安定させるというよりは、安定を補助するために使われるものだ。

最近は小型軽量のものがラインナップされ、安定性と携帯性をバランス良く備える製品も出てきた。

今回はあらためてその利点と使い勝手を検証したい。

目線まで伸びるのにここまで短い!

一番の利点は、三脚よりコンパクトで持ち運びに便利なことだ。特に今回紹介するウルトラスティックシリーズは、「ダイレクトコンタクトパイプ」を採用しているので、脚を伸ばしたときにロックのためのレバーなどの部品がないことから、とてもスッキリしている。

今回試用した4本の一脚。手前から「R63Q」(1万9,700円)、「V63D」(1万5,700円)、「L63M」(1万2,000円)、「M52」(8,000円)。今夏に発売される新製品だ。※いずれもメーカー希望小売価格(税別)

今回使ったうち、最も長い一脚が「R63Q」。身長が183cmの筆者のほぼ目線まで雲台がくる。雲台もかなりしっかりしているので、一眼レフでも十分に対応できる。全長1,640mm/縮長400mm/脚径30mm/段数6段/質量680g/推奨積載質量3.5kg
2番目に長い「V63D」を伸ばしたところ。こちらも十分なサイズがある。雲台の大きさもそこそこあるので、ミラーレスカメラや比較的小型の一眼レフには最適だ。全長1,640mm/縮長383mm/脚径27mm/段数6段/質量532g/推奨積載質量3kg
3番目の「L63M」。高さは十分にあるが一番下の脚は少し細め。マクロ撮影などの補助に最適だと感じた。コンパクトで携帯性もよく。ちょっと鞄に忍ばせておくのに最適なサイズといえる。全長1,620mm/縮長367mm/脚径24mm/段数6段/質量425g/推奨積載質量2kg
一番短い「M52」。さすがに胸より下くらいまでしかこない。細身で雲台も小さく、自撮り棒にプラス一脚機能という雰囲気だが、携帯性は抜群。全長1,370mm/縮長355mm/脚径21mm/段数5段/質量257g/推奨積載質量1kg

同じくベルボンの「ウルトラ」シリーズなど、ダイレクトコンタクトパイプを採用する三脚を持っている人ならわかると思うが、このシリーズ、脚を伸ばしたり縮めたりするときの操作は独特なもの。おかげで一般の製品より伸縮比が高く収納性に優れるのだが、慣れてしまえば、一度に全て脚が伸び縮みするので、素早く楽に扱える。

脚を伸ばすときは、一番下の石付きを時計回りに回し、下のほうに引っ張るだけ。

一段目には、発泡ゴムがついているので握りやすい。安全のためにストラップを腕に通した状態で使うのがオススメ。

2段目には調整用のグリップがついているので、構えた状態で高さを微調整するのも楽だった。

2段目の調整グリップを使うと、高さの微調整がやりやすい

ちなみにプロの現場では、一脚は基本的には超望遠レンズを使う現場での使用例が多い。

モータースポーツのプロカメラマンに取材したときは、流し撮りをするときに一脚を腰の辺りで固定して安定してレンズを振れるようにしているという話を教えていただいた。

リュックのサイドポケットにしまうときは雲台を下にしたほうが安定する
付属のベルトクリップを使ってベルトに固定することもできる

雲台はどうするか

今回使った一脚は、いずれもあらかじめ雲台もセットになっている。脚と合わせた雲台がセットになっているので、初めて一脚を購入する人にはこうしたセットがオススメだ。

雲台を使わず本体に直接カメラやレンズ(の三脚座)を取り付けることも可能。流し撮りが多いスポーツ撮影の現場で良く見るが、その状態では基本的に水平にしか構えることができないので注意されたい。

「R63Q」に付属の雲台は、中〜大型三脚用のしっかりしたサイズ。クイックシュー付きで水準器もついている。ボール軸周りの間口を広げてあるので、ボールの可動範囲が広いのが特徴。
「M52」の雲台は小型でシンプルなもの。脚とのバランスはよいので、旅先の緊急用などにも使いやすい

雲台と脚はネジで固定されているので使っている間に緩むことがある。微妙に緩んでいると安定感が悪くなるので定期的にチェックしたい。これは三脚でも同じ。

基本的なテクニック

使い方を補足したい。一脚を使っているときは、カメラもしくはレンズの上から少し負荷をかけたほうが安定した構えができる。

雲台につけたレンズ(またはカメラ)の上から少し負荷をかけるとしっかりと構えやすい

立ちながら使っているときは、一脚と自分の脚で三脚のように三角形を作ると安定させやすい。一番大切なのは周りの人の迷惑にならないこと。コンパクトといっても伸ばしている状態ではある程度長さがあるので、使用中は細心の注意を払って、移動時には縮めるようにしたい。

一脚を構えるときは、自分の脚と一脚で三角形になるようにすると安定感をだしやすい

花のマクロ撮影は根気との闘いなので、三脚を使って待っているシーンをよく見かける。これは場所も必要で三脚の脚が一本だけ柵の内側に入っているという残念な結果になることもある。そんなときに一脚を使うともう少しスマートに撮影できる。

花マクロに一脚は最適。安定感が抜群でピントも合わせやすく、花の揺れが収まるのを待っているのも苦にならなかった

ポートレイト撮影のときは表情を作ってもらうために声をかけることがある。そのときに一脚を使っていると構図を安定させやすい。ミラーレスカメラの中には瞳優先AFが搭載されているカメラもあるので、構図をしっかりと決めてピント合わせはAFというた条件では使い勝手がいい。

その他、運動会で望遠レンズを使うときも安定感が増すのでピントも合わせやすくなる。一番小さなM52は1段目と2段目を使って自撮り棒やハイアングル撮影でも使いやすいと感じた。

「M52」の2段目だけを伸ばして、OLYMPUS AIRで自撮り体験も。

まとめ:進化した製品であなたも一脚「再」デビュー!

実は筆者自身も今回のレポートを通して、改めて一脚の可能性を再認識したほどだった。使いやすい一脚を使っているときの安心感はなかなかのものだ。

今回試用したウルトラスティックのように縮長が短く、かつ全高が確保されているのは最新設計の賜物だ。軽量で短く、1本持っていると現場でも使いやすいと感じた。これを機会にあなたも改めて一脚デビューしてみるのはいかがだろうか。

(制作協力:ベルボン株式会社)

佐々木啓太

(ささきけいた)1969年兵庫県生まれ。街角写真家。写真専門学校を卒業後、貸スタジオ勤務、写真家のアシスタント生活を経て独立。雑誌での執筆と作品作りが主な活動。近著「フォトグラファーが教える オリンパス OM-D E-M5 撮影スタイルBOOK」。Facebookページ