クルマとカメラ、車中泊

AI飛行カメラ「HOVERAir X1 Smart」を買ってみた

自撮りだけじゃない、マニュアル操作での空撮や免許の話

今回の1枚

4月後半、福島県まで出かけてきました。まだ桜は7分咲きといったところでしょうか。改めて日本列島、南北に長いんだなあと思いました。東京ではすでに散っていましたからね。

さて、なぜ福島県に行ったかというと、天の川を撮影するためです。4月は晴れ間が少なかったですからね。天気予報で晴れマークが出た場所に即座に向かったという次第です。

星空の撮影は月明かりの影響がない期間で行うので、月のうちの半分以下。そして晴れていないと話にならないので、年間を通して撮影チャンスが少ないのです。だからこそ晴れたら即行動なのですよ。

でもねえ、コスト。考えたくないけどコストも意識しなくちゃってことで、九十九里から福島県いわき市まで一般道のみで行ってみました。およそ250km。Google マップで示された所要時間は5時間40分。実際は休憩や買い出しなどを挟むので、およそ8時間で目的地に到着です。

一般道で景色を楽しみながらドライブ、というのも好きなので8時間の運転も嫌ではありません。千葉県北部の田園地帯、茨城県霞ヶ浦沿いの県道、福島県に入ってからは海沿いの国道6号線からの景色はいつも楽しみです。ま、それにしても遠いですわな。でもいわき市まで8時間ってことは、24時間あれば青森まで行けそうな気がします。そのうちやってみますね(笑)。

自撮りドローンを買ってみました

自撮りドローン「HOVERAir X1 Smart」を買ってみました!

製品パッケージ。中箱を引き出すとパッケージ左にあるプロペラが回転する。遊び心を感じるうれしいサプライズ

この機体の特徴は、スマートフォンやコントローラーなど別途操縦装置を使うことなく飛行させることができる点と、100g未満であることです。もっとも最初のアクティベーションや機体の管理には必ずスマホが必要ですが。

機体本体のみで飛行させた場合は人物を認識して追いかけていくので、まさに自撮りドローンというわけです。自分の行動や作業を記録しておくのに便利です。三脚不要の気軽さがいいですね。本体上部の小さなボタンを押すことで、プリセットされた撮影モードを切り替えできます。

車など何らかの乗り物に乗っている自分を追いかけたい場合は、ビーコンもしくは「ビーコン&ジョイスティックセット」が必要になります。

しかし、ドローンといえば自由に飛行して、空からの風景、鳥の目体験をしたいというのが1番のイメージじゃないでしょうか。

今回購入したオールインワンセットの内容物。本体、バッテリー3個、充電ハブ、ACアダプター、ケーブルだ

このHOVERAir X1 Smartはスマホアプリで手動コントロールが可能です。スマホでカメラビューを見ながら上空からの映像を楽しめますよ。スマホアプリを開き、機体とWi-Fi接続すると、飛行モードが「ベーシック」「アドバンスド」「プロフェッショナル」に分類されていて、手動、つまりマニュアルコントロールは「アドバンスド」の中にあります。

画面下の「飛行モード」をタップするとチュートリアルが表示されますが、ベーシックの飛行形態のいくつかを複数回こなさないと、マニュアル操作など上位の飛行ができないようになっています。マニュアル飛行が目的の場合、このチュートリアルをこなすために、最初に数時間ほど時間をとっておきましょう。一度こなしてしまえばOKです。

飛行モードのチュートリアル。ベーシックから始めてアドバンスド、プロフェッショナルへとすすむ

そうそう、機体の色は白か黒を選べますが、僕のおすすめは「白」です。小さな機体なので少し距離が離れただけで、黒い機体ではすぐに見失ってしまいますから。

アプリでのマニュアルコントロールは歯車アイコンから飛行モードを設定できます。おすすめは「スティック」「向こうに向ける」です。この設定では進行方向の後ろ側から機体を見ていることになるので、自然な操作感になります。このパターンはドローン操縦の現場では「モード2」と呼ばれるものです。

アプリでのマニュアル操作はこの機体に限らずやや粗さの残るものとなるので、より繊細なコントロールをしたい場合は前出のビーコン&ジョイスティックを購入することがおすすめです。すべてが同梱された「フライトファンセット」もありますよ。

マニュアル操作時の操縦方法の設定。「スティック」「向こうに向ける」がおすすめ
スマホ画面に2本のスティックが表示される。左が上昇・下降と左右回転、右が前進・後進と左右移動

機体の構成

ここからは機体構成について見ていきますね。まずバッテリーから。僕が購入したのはバッテリーが3個ついた「オールインワンセット」ですが、バッテリー1個の飛行時間は最大10分間。実質的には7〜8分といったところでしょうか。より本格的な空撮ドローンに比べると飛行時間が短いと感じるかもしれませんが、これ、実のところ十分なんですよ。

ドローンの飛行は、慣れていたとしても緊張して行うものです。そうしたときに集中できる時間は数分程度。無理せず安全に飛ばすという点で見れば、十分な飛行時間を持っていることを実感できました。ところで、バッテリーを充電するハブにも電池が内蔵されていて、事前にハブを充電しておけばUSB電源に接続していなくてもバッテリーを充電することができます。実際の運用がとてもらくちんです。

リチウムイオンバッテリー全体にいえることですが、バッテリー残量がなくなるギリギリまで飛ばすことは避け、余裕を持って飛行を終えたほうがバッテリーの寿命を延ばせますよ。

充電ハブにもバッテリーが内蔵されており、機体バッテリーを充電できる

写真は機体裏面ですが、ジンバルのついた撮影用カメラのほかに3つの黒い窓があるのがわかりますね。真ん中は下向き画像カメラ。これで得た画像から自己位置を推定しています。残り2つは「ToFセンサー」と呼ばれる飛行高度を測定するためのセンサーです。

HOVERAir X1 SmartにはGPSや磁気コンパスは搭載されていませんが、下向きカメラとToFセンサーによって安定したホバリング、つまり自動的に空間での自己位置を保持してくれるのです。こうしたシステムを「ビジョンポジショニング」などと呼んでいます。ただし、HOVERAir X1 Smartの場合、最大高度は約10m。それほど高いところまで行けるわけではありませんが、実際使ってみるとこれで十分と思うはずです。また、暗い場所では画像による自己位置推定ができなくなる、つまりホバリングできなくなるので注意してください。

機体下側の黒い窓3つは、高度を安定させるToFセンサーと水平位置を安定させる画像センサー

高度10mからでも、こんな写真や動画を撮影できます。十分な画角だと思いませんか? 画質も見てもらうために、レタッチせず撮影したそのままの画像を掲載しています。静止画撮影時は1,200万画素、動画撮影時は2.7Kです。画質はもうちょっと頑張ってほしい感はあります。記録は静止画時はJPGのみです。せめてDNGが使えたらなあと正直思っております。

ところで、下の写真は池の上で飛ばしていますが、本来、水面上の飛行はNGです。画像センサーが水面上ではうまく働かないからですね。この写真では池の中の小島から離陸させて、まっすぐそのまま上昇させています。水面以外の特徴点を捉えているので問題なく飛行できましたが、いずれにせよ、これは冒険になっちゃうのでおすすめではありませんよ。

杉林の中の小道を高度10mから撮影
本来水上での飛行は禁止。真下に見える小島から離陸し水平方向の情報を取得したので安定飛行できた。上写真とともに、飛行が許可された公園で撮影した

そしてもう1つ触れておきたいのが「風」です。強い風の中では、ドローンは安定した飛行やホバリングができません。どれくらいの風まで耐えられるかの目安が耐風性能です。HOVERAir X1 Smartのスペックシートをみると7.9m/秒となっています。これ、かなりの強風ですからね。100g未満のドローンとしては驚きの耐風性能といえます。

そこで実際に試してみたのですが、この日、地表付近では最大4m/秒の風。結構風が強いなと感じる状況です。目線の高さで飛ばすと写真の通り、機体は大きく傾いています。これ前進しているんじゃありません、ホバリングしているところです。

目線の高さで4m/秒の風でも、高度をあげるとさらに風速が強くなります。このまま高度を上げていくと、10mに達しないうちに耐風性能を超えたことを検知するアラートが出て、自動で着陸を開始しました。地表から10m上がると地表の倍近い風速になることもあるので、ちょうどスペック通りの性能を確認できたような感じです。いずれにしても、耐風性能を超えると自動で着陸するという仕様は、小型の機体にとって安全でありがたいものです。

機体が大きく傾き、風に耐えてホバリングしている様子
この時の風速は3.5m/秒から4m/秒

航空法とルールの話

さて、もう1つの特徴、機体重量が100g未満であることにはさまざまなメリットがあります。ドローンを飛ばす際にはさまざまな法規制がありますが、機体本体とバッテリーの合計重量が100g未満であるHOVERAir X1 Smartは、航空法上「模型航空機」に分類されます。

そのため無人航空機(100g以上)におけるいくつかの規制が適用外となり、気軽に飛ばせるのが利点です。具体的には、機体登録・リモートIDの搭載・飛行計画の通報(一部除く)・人口集中地区(DID)での飛行・夜間飛行・目視外飛行・人や物件から30m以内の飛行における義務や制限の適用外になります。

ただし、飛行の方法によっては立入管理措置は必要です。そのほか「緊急用務空域」や空港周辺での飛行は禁止です。また「小型無人機等飛行禁止法」は適用されますので、国の重要施設や特定の空港付近での飛行は禁止されています。

このように書くと規制が多いように感じるかもしれませんが、100g以上の機体に比べれば格段に気軽です。とはいえ、飛ばす前にはしっかり調べてくださいね。第三者の立ち入りがない無人地帯で飛ばすことが基本ですが、条件によっては自宅の庭でも飛ばせます。

また、都内は多くの場所で制限されていますが、地方の公園では飛行可能な場所も多いものです。管理する自治体に問い合わせるのが確実でしょう。公園など公共の場所は第三者が立ち入る可能性があるので、立入管理措置が必要になります。友人や家族に頼んで「補助者」を務めてもらいましょう。補助者は第三者が飛行経路内へ立ち入ることを監視する役割です。100g未満の模型航空機も、第三者およびその物件の上空を飛行させてはいけません。補助者は第三者が入りそうな場合、それを操縦者に伝え、操縦者は速やかに飛行を中止するか距離を取るようにしなければなりません。

100g以上の機体では、第三者の物件から30m以内で飛行させることは禁止されていますが、100g未満ではこの規制が適用されません。しかしながら、マナーとしてこの点は守るようにしましょう。

国家資格を取得したい人向けのお話

ここから先は、無人航空機操縦者資格(国家資格)を取得したい人に向けて書いていきますね。

実はワタクシ、一等無人航空機操縦士資格を取得していますし、無人航空機国家資格の「修了審査員」の資格も持っていて、ドローンスクールで講師も務めています。

操縦者資格は一等と二等に分かれます。「これから」という方が目指すのは、まず「二等無人航空機操縦士」ということになりますが、資格取得にあたってHOVERAir X1 Smartで練習するのは有効かという点が気になりますよね。

これはスクールではなく僕個人の見解ですが、実地試験の練習をすることは「部分的に有効」だと思っています。まず国土交通省の「二等無⼈航空機操縦士実地試験実施細則」(16〜17ページ)を見てください。実地試験で飛行する3つのコースが解説されています。

この中で「スクエア飛行」と「8の字飛行」の二つは、GPSやビジョンポジショニングなどの水平方向の位置安定機能をONにして行います。この2つのコースを自主練習するのにHOVERAir X1 Smartは向いています。ただし、ビーコン&ジョイスティックはあったほうが良いです。スクエア飛行では第三者視点による飛行になるので、機体が横を向いているときの操作に慣れる必要があります。これはラジコンや3Dゲームが好きな方はすぐに慣れてしまうでしょう。

次に「8の字飛行」ですが、実はこれが最大の難関です。スクールでもこれで減点される方が多いのです。8の字の飛行経路を描くには、スティック2本の複合操作が必要なのですが、これが意外と難しい。しっかり練習しましょう。

そして最後の「異常事態における飛行」ですが、これは水平方向の位置安定機能をOFF(ATTIモード)にして行うため、HOVERAir X1 Smartでは練習できません。というか、現在市販されているドローンの多くには、強制的にATTIモードに切り替えられる機種が少ないのです。

かつて有名だったDJIのPhantomシリーズなどは切り替えができましたが、今から古い中古機を手に入れるのもあまりおすすめではありません。そこで僕のおすすめは「トイドローン」を使って練習することです。

おすすめの機体はHoly Stoneのものですが、僕もこれを使って一等の練習をしました。頑丈ですし技適も取得していて安心です。ただし耐風性能は高くないので、屋外ではなく屋内で練習しましょう。まずはホバリングができるようになるまで難儀すると思いますが、それができればあとはそれほど難しくありません。

だいぶ長くなってしまいましたが、これで最後です。

無人航空機操縦士資格は、車の免許と同様で、指定試験機関で「一発試験」を受けるか、登録講習機関(ドローンスクール)で講習と試験を受けるかという選択肢があります。当然一発試験のほうが受験料は安いのですが、基本的にはスクールへの通学をおすすめします。

実地試験には、安全に関わる知識を問う口述試験、飛行計画に関する机上試験、機体点検、そして飛行技術を見る実技審査が含まれています。これらを独学で学ぶのは非常に厳しいものです。一発試験を繰り返しているうちに、スクールの受講料より高くなってしまった……なんてことになりかねません。大型二輪免許の試験などでよく聞く話ですよね。

前述の通り、僕もドローンスクールで講師・修了審査員をやっていますので、本気で二等資格を取得したい方はぜひご検討ください。

なお、学科試験に関しては参考書籍も揃っており、独学で十分対応可能です。ぜひチャレンジしてみてください。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ