クリエイティブライト「ソフトボックスFFスクウェア」


 クリエイティブライト(Creative Light)は、主にライティング関連のアクセサリーを発売するスウェーデンのメーカーである。2010年10月に国内総発売元がテイクからプロフォトに移管されるとともに、すべての製品が値下げされより手に入れやすくなった。

 クリエイティブライトのリリースするアイテムは、ソフトボックス、リフレクター(レフ板)、アンブレラ、スタンド、ライトシェッド(簡易型のテーブルスタジオ)などがある。今回、その中でも「ソフトボックスFFスクウェア」を試してみた。

 今回使用したソフトボックスFFスクウェアのサイズは、40×40cm(1万4,157円)。クリップオンストロボを光源として使い、ネットオークションやブログ掲載用などちょっとした小物の撮影に家庭で使うのに適した大きさだ。

 ちなみに筆者は、当デジカメWatchをはじめカメラ誌のためにカメラ、レンズ等のブツ撮影を行なうことが多く、これまでも30×41cmの他社製ソフトボックスをクリップオンストロボとともに使用している。しかし、もう少し広い範囲が照射できたらと思うことが多々あり、今回の40×40cmはその期待に応えるもののように思える。また、このサイズであれば細身のスタンドでも使えるギリギリの重さであるのも具合よく思えるところだ。参考までに、クリエイティブライトのソフトボックスは、20×30cmが今のところもっとも小さいサイズで、40×40cmはその次に小さいサイズとなる。

 組み立てには、ソフトボックスFFスクウェアのほかに「スピードリング」が必要となる。ソフトボックスを形成するのに必要なアイテムで、今回はもちろんクリップオンストロボ用のもの(1万5,750円)を用意。いうまでもないが、コメットやサンスター、プロフォトなどの大型ストロボに対応するものもラインナップしている。

 手もとに届いたスピードリングを見て驚いたのが、その大きさだ。これまで使っていた他社製ソフトボックスのものと違い、ストロボを載せる部分がかなり立派なつくりであったからである。分解することもできないので、外に持ち出して使いたいときなどかさ張りやすく重いため覚悟を要するだろう。ただし、その分堅牢で安心感は高い。

クリエイティブライトのアイテムの入る箱。色使いは、某フィルムメーカーのモノクロ印画紙のパッケージを彷彿させる。ロゴは「コレ」ではない専用のケースに入ったソフトボックスFFスクウェア(40×40mm)とスピードリング。クリップオンストロボ用のスピードリングの場合、カタログではニコン用とキヤノン用は別々に記載されるが、実際は同一のものとなる
ソフトボックスFFスクウェアは、ボックスの本体部と4本のロッド、そしてインナーとフロントのデフューザーで構成される

 ソフトボックスの組み立ては、最初戸惑うかも知れない。スピードリングの周囲には、ボックスの張りとなるロッドを差し込む穴が無数にあるからだ。しかし、ロッドの先端の色と、同じ色の穴に差し込めば済んでしまうので、あれこれ考える必要は皆無。組み立てには若干力技も必要とするが、こちらも慣れれば手際よくできるはずである。ちなみに、ソフトボックスの部分だけスピードリングを軸に回転させることができるのは便利に思える。

 ソフトボックスを組むことができたら、デフューザーを装着する。デフューザーはインナーデフューザーとフロントデフューザーの2重になっている。この2重のデフューザーが、今回クリエイティブライトのソフトボックスを紹介したかった大きな理由のひとつである。

 というのも、フロントデフューザーだけのものにくらべ、インナーデフューザーのあるものは光をより拡散し均等に被写体を照射するからである。特に、クリップオンストロボは元々ソフトボックス用としてはつくられていないため、デフューズ性能が心もとないと光源ムラが発生しやすく、反射する被写体を撮影したときなど発光部そのものが映りこんでしまうことも多いからだ。インナーデフューザーを装着すると、光量はその分低下してしまうが、クリップオンストロボをソフトボックスの光源に使うのでればマストといえる。

ロッドは、先端の色と同じ色のスピードリングの穴に差し込んで組み立てていくクリップオンストロボ用スピードリングのシュー周辺部。かなりがっちりとした構造
ソフトボックスのリフレクター部分が組み上がったところ。リフレクターの内側。スピードリングのロッドを差し込むところがよく分かる

 インナーデフューザーの装着は、ソフトボックスの内側からゴムで延びるスナップで留めるだけだ。四角いハンカチのようなデフューザーは、4隅を引っ張るようにソフトボックス内部に固定される。その後、フロントデフューザーをソフトボックスに被せるように装着すれば完成となる。

インナーデフューザーを装着した様子。これがあるのとないのでは、クリップオンストロボを使った時大きく変わってくるフロントデフューザーをソフトボックスに装着すると組み立ては完了
フロントデフューザーはソフトボックスに被せるようにして装着するインナーデフューザーは、ソフトボックスの内側から伸びたゴムとスナップで固定する

 クリップオンストロボはスピードリングのアクセサリーシューに装着する。このアクセサリーシューは、ストロボの接点に触れないようにその部分に溝が彫ってあるほか、シューを締め付けることで、しっかりとストロボを固定できる。なお、今回他社製のスタンドにこのソフトボックスを取り付けたが、その際スピードリングもスタンドもメスダボ(オス受け)であるため、所有するダブルダボをかまし装着した。このあたりについては、初心者は購入の際店頭で販売員に相談してみるとよいだろう。

今回の作例撮影ではキヤノンスピードライト580 EX IIとスピードライトトランスミッッターST-E2を使用。EOS 7Dで撮影する場合は、ST-E2の代わりに内蔵ストロボでもワイヤレス発光はできる
アクセサリーシューには、ストロボの接点が触れないよう溝が彫られているほか、締め付けることができるのでしっかりとストロボが固定できる

 ソフトボックスFFスクウェアを使った作例を数点アップするので見て頂きたい。いずれもカメラを撮影したものだが、ソフトボックスがあればクリップオンストロボ1灯でここまで撮影することができる。2灯あれば、さらに本格的な撮影が楽しめるはずだ。しかもクリップオンストロボであればTTL調光での撮影が可能なので、ストロボメーターを必要とせず、光量の微調整はカメラの調光補正機能で行なえばよい。ストロボライティングに興味ある向きは一度検討してみたらいかがだろうか。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

 左はクリエイティブライト・ソフトボックスFFスクウェアで、右は従来筆者が使っていたソフトボックスでそれぞれ撮影したカット。従来の使っていたものは、インナーのデフューザーがないため、クリップオンストロボの発光部が写り込んでいる。

ソフトボックスFFスクエア / EOS 40D / EF 24-70mm F2.8 L USM / 約2.6MB / 3,888×2,592 / 1/250秒 / F16 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm / レタッチなし従来筆者が使っていたソフトボックス / EOS 40D / EF 24-70mm F2.8 L USM / 約2.8MB / 3,888×2,592 / 1/250秒 / F16 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm / レタッチなし

 ソフトボックスFFスクウェアを被写体の左上に置き撮影。1灯でも、ここまで撮れてしまう。

EOS 7D / EF 24-70mm F2.8 L USM / 約2.6MB / 5,145×3,430 / 1/250秒 / F22 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 105mm / PhotoShop CS5で簡易レタッチ

 6月9日に「新製品レビュー」で掲載したシグマDP2xのイメージ画像。これもソフトボックスFFスクウェアを被写体の左上に置き撮影している。

EOS 40D / EF 24-70mm F2.8 L USM / 約1.3MB / 3,846×2,564 / 1/250秒 / F22 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm / PhotoShop CS5で簡易レタッチ

 トップにソフトボックスFFスクウェアをセットして撮影。ネットオークションやブログには十分な品質の画像が得られる。

EOS 7D / EF 24-70mm F2.8 L USM / 約2.5MB / 5,148×3,432 / 1/250秒 / F22 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 105mm / PhotoShop CS5で簡易レタッチ


(大浦タケシ)

2011/6/17 00:00