ソニー「DPF-XR100」

〜AVCHDを再生できるハイエンドフォトフレーム

 ソニーのデジタルフォトフレーム「S-Frame」のうち、フラッグシップモデルにあたるのが、今回紹介する「DPF-XR100」だ。発売は2010年11月。実勢価格は3万6,400円前後。シンプルなギフト向けモデルがメインの国内デジタルフォトフレーム市場において、かなり高価な部類になる。

DPF-XR100。写真のブラックのほかに、シルバーもラインナップ

 フラッグシップだけに仕様は充実している。例えば、液晶パネルはS-Frame最大の10.2型。解像度は1,024×600ピクセル(有効表示画面サイズは9.6型)。さらに最近ではα55やNEX-5などへの搭載でおなじみの「TruBlack」技術も採用されている。液晶パネルとガラスの間を樹脂で密封する技術で、乱反射を抑えて映り込みを低減するという。

 確かに画質は良い。若干緑っぽさは感じるものの抜けが良く、デジタルフォトフレームとしてはトップクラスの画質。また10.2型というサイズは、8型や7型クラスの製品と異なる1クラス上の鑑賞サイズといった印象を受けた。いずれにしてもギフト向けの格安デジタルフォトフレームとはひと味違う、価格に見合った品質といえるだろう。自分が撮ったお気に入りの作品を鑑賞するなら、画質に気を配りたい。そうしたニーズにもしっかり応えてくれる製品だ。もちろん、縦横自動判別機能や時計表示の多彩さなど、機能も充実している。

 静止画の対応ファイルはJPEG、BMP、TIFF。RAWの簡易表示(RAWファイル内のサムネイル画像を表示)も可能で、SRF、SR2、ARW(2.2まで)をサポートする。内蔵メモリーは2GB。

左側面背面
記録メディアスロットはCF系、SD系、メモリースティック系、xDピクチャーカード系に対応HDMI出力端子も備える。ソニーでは大画面テレビへの接続を想定している
付属のリモコン基本的な操作は本体背面でも行なえる

 とはいえ機能面でのハイライトは、AVCHDムービーの再生が可能な点になるだろう。デジタルフォトフレームでの再生でフルHDが必要かどうかはともかく、再生させると確かに、SD画質の動画とははっきりとした差が感じられる。正直、ここまでクオリティの高い動画をデジタルフォトフレームで見られることに感動した。今回はサイバーショットDSC-WX5で記録したフルHD動画を再生したが、コマ落ちなどまったくなしで再生できた。

 もちろん、パネル解像度がフルHDに満たないため、フル解像度のまま表示できない。その点はAVCHD対応を名乗る製品として少々さみしいところだ。また、AVCHDを内蔵メモリーに記録することも不可能。常に記録メディアからの再生となる点や、サムネイルが選択できるようになるまで時間がかかるなど、まだ機能的に物足りない部分も見受けられる。

AVCHDの再生を開始する前の状態
インデックス表示。パーフォレーション風の枠がついたサムネイル画像が動画ファイルメニュー表示の例。動画もスライドショーに混ぜることが可能。その場合、最長で先頭5分まで再生できる

 なお、AVCHD以外の動画対応ファイルは、MPEG-1(mp3)、MPEG-4(mp4)、AVC/H.264(mp4、mts)、Motion JPEG(avi、mov)と幅広い。また、動画をスライドショーに組み入れることも可能で、その場合は動画の出だしだけを再生させることもできる。

 パソコンでの管理が難しいAVCHDだけに、静止画はともかく、AVCHDだけは記録メディア内にストックしたままの読者も多いと思う。レコーダーに取り込んで編集・鑑賞という手段がベターだが、そこまで投資したくない人や、リビングではなくベッドサイドなどで鑑賞したい人には、AVCHDを気軽に再生するハードウェアとして本機を選択肢に入れてほしい。もちろん静止画の表示品質も高いので、現状、写真ファンが選ぶ「本気のデジタルフォトフレーム」としてもおすすめだ。



(本誌:折本幸治)

2011/1/18 13:15