デジカメドレスアップ主義

ノーマル好きに贈るバリチューンカスタム

ライカM(Typ 240) + Opton Sonnar 50mm F1.5

  • ボディ:ライカM(Typ 240)
  • レンズ:オプトンゾナー 50mm F1.5
  • マウントアダプター:アメデオムシェリ Zeiss Contax 5cm - Leica M
  • アイピース:オプトオオノ アジャスティグマII(試作品)
  • ケース:アルティザン&アーティスト BDCAM-MPM
  • ストラップ:アルティザン&アーティスト BDCAM-255

上の写真を見てほしい。よく見かける黒ケース付きのライカ、多くの人がそう思うだろう。では、もう少し目をこらしてほしい。レザーの質感、レンズのフォーカシングレバー、そしてファインダーのアイピース。ディテールに明らかな違和感が宿る。外見はノーマル、でも中身はバリチューン。そんなバイクカスタムをイメージしてライカMをドレスアップしてみた。さりげなく、それでいて相当やり込んだ人向けのこだわりスタイルだ。

※この記事を読んで行なった行為によって生じた損害はデジカメ Watch編集部、澤村徹および、メーカー、購入店もその責を負いません。また、デジカメ Watch編集部および澤村徹は、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。

まずアルティザン&アーティストの新型ケースとストラップから見ていこう。このケースとストラップは姫路黒桟というめずらしい革を採用している。一見するとシボ付きの黒い革だが、光の加減で微細に輝くのがわかるだろう。シボ付きレザーの表面に漆を塗り、黒ダイヤをちりばめたような上品な光沢が美しい。

アルティザン&アーティストのBDCAM-MPMは税込2万520円。姫路黒桟革を用いる
両サイドをフックボタンで止めて固定する。スリムなグリップも備えている

漆は革の表面にのみ塗られ、溝の部分は素のままだ。そのため総じてマットなのにキラキラ光るという、不思議な見え方をする。メーカーによると、戦国時代に甲冑に用いられていた革だという。和テイストのライカ用アクセサリーという点がおもしろい。ケース、ストラップともに、本年10月中旬の発売を予定し、同素材のカメラバッグも予定しているという。

背面はオープンタイプを採用。マグニファイアなどの装着も支障ない
固定にネジを使っていないので、スピーディーな着脱が可能だ
漆によってシボ付きレザーの凸部がキラキラと輝く。この光沢が姫路黒桟の特長だ
ストラップ穴の周辺を広く空け、当て革付きの二重リングが余裕をもって装着できる
アルティザン&アーティストのBDCAM-255は税込1万5,120円。ケースと同じく姫路黒桟を用いる
細身のショルダーパッドが付属する。内側はスウェード調のレザーだ
取り付けは当て革付きの二重リングを採用する。BDCAM-MPMに無理なく装着できる

マウントアダプターはアメデオムシェリの新型カプラーを装着した。旧コンタックスマウントのレンズが、ライカマウントレンズのようにフォーカシングレバー付きに変身する。通常、旧コンタックスのカプラーは、旧コンタックスのマウント部を模したものが大半だ。この新型カプラーはオールドライカレンズのスタイルを採用し、加えてレンズの回転方向もライカレンズと同じになる。デザインと実用性を兼ね備えた製品だ。何よりもカプラーという定番商品に、新デザインが登場したことに驚きを隠せない。本年9月頃から販売をはじめるという。

Zeiss Contax 5cm - Leica Mはアメデオアダプタージャパンにて税込2万5,000円だ
レンズのロック機構はオリジナル設計になっている。最短70cmまで距離計連動する
アメデオムシェリの通常デザイン(左)と新デザイン(右)を並べてみた

ファインダーに付いているのは、オプトオオノのアジャスティグマII(試作品)だ。乱視対応したアイピースで、第1世代の製品を「乱視OKのファインダーカスタマイズ」で紹介したことがある。わかりやすくいうと、カメラのファインダーにメガネ(乱視対応レンズ)を付けるという製品だ。

視度補正レンズは純正品が用意されているが、筆者の知る限り、乱視対応品はこのアジャスティグマシリーズだけである。第2世代は従来品よりも薄型化に成功し、のぞき込んだ際のケラレが少なくなった。そのため広角レンズのブライトフレームが従来よりも見やすくなっている。ファインダーのアイピースとしてかなり突き抜けた製品だ。なお、メガネのレンズデータをオプトオオノに送ると、適合したアジャスティグマを作ってくれる。オプトオオノで検査してもらうことも可能だ。

アジャスティグマIIは検査設定料込みで50,000円程度になるという。年内には販売の見込みだ
第1世代(左)と第2世代(右)を並べてみた。第2世代になって小型スリム化が進んでいる

最後にレンズとカプラーの相性について触れておこう。カプラーはレンズを距離計連動させる特殊なマウントアダプターだ。アメデオムシェリのカプラーはかねてより精度に定評があり、今回のZeiss Contax 5cm - Leica Mも高精度な仕上がりだ。ただし、距離計連動精度は、ボディとレンズのコンディションによるところが大きい。要は個体差によって距離計連動にズレが生じるので要注意だ。今回用意したボディとレンズの組み合わせでは、1~2段絞っておくとおおむねピントが合った。カプラーで距離計連動に誤差が生じる際は、被写界深度を稼ぐという使いこなしで乗り切ろう。

Leica M Typ 240 / Opton Sonnar 50mm F1.5 / 1/125秒 / F4 / -1.33EV / ISO200 / WB:オート
Leica M Typ 240 / Opton Sonnar 50mm F1.5 / 1/4,000秒 / F2 / ±0EV / ISO200 / WB:オート
Leica M Typ 240 / Opton Sonnar 50mm F1.5 / 1/350秒 / F8 / ±0EV / ISO200 / WB:オート
Leica M Typ 240 / Opton Sonnar 50mm F1.5 / 1/60秒 / F4 / -2EV / ISO200 / WB:オート
Leica M Typ 240 / Opton Sonnar 50mm F1.5 / 1/250秒 / F1.5 / -0.66EV / ISO200 / WB:オート
Leica M Typ 240 / Opton Sonnar 50mm F1.5 / 1/60秒 / F4 / -0.66EV / ISO320 / WB:オート

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp