【伊達淳一のデジタルでいこう!】PENTAX Qとデジボーグで「2,200mm相当」を試す

~想像以上の超望遠。果たして結果は?
Reported by 伊達淳一

 「PENTAX Q」には現在、5種類の交換レンズが用意されているが、残念ながら望遠やマクロレンズはまだ揃っていない。いずれレンズラインナップも拡充されていくとは思われるが、それまで望遠やマクロなしというのも寂しい話だ。しかし、サードパーティからPENTAX Q用のマウントアダプターがいくつか発売され、こうしたマウントアダプターを使えば、既存の35mm一眼レフカメラ用交換レンズなどをPENTAX Qに装着できる。PENTAX Qの撮像素子は1/2.3型と小さいので、焦点距離がそれほど長くないレンズでも望遠に写るのが特徴だ。

BORG 71FLを装着したPENTAX Q

 どうせなら、究極の超望遠を目指してみよう! ということで、今回はトミーテックの天体望遠鏡「BORG 71FL」とPENTAX Qを組み合わせ、超望遠撮影にチャレンジしてみた。

さまざまにシステム拡張ができるボーグ

 BORG 71FLは、最前面にフローライトを使用した2群2枚構成の400mm F5.6の対物レンズだ。APS-Cや35mmフルサイズで使用する場合には、フラットナーと呼ばれるアタッチメントレンズを併用しないと周辺で像の乱れが生じるもの、PENTAX Qは1/2.3型と非常にセンサーサイズが小さく、レンズのイメージサークルのごく中央部分しか使わないので、フラットナーなしでも問題ない。直焦点ならではのキレの良い描写が期待できる。

 また、天体望遠鏡なので素の状態では絞りやフォーカスリングは装備されていないが、BORGには、絞りやマイクロフォーカサー(ピント微調ノブ)、三脚座付き延長チューブなどのオプションパーツが充実していて、創意と工夫、そして予算次第でさまざまな形にカスタマイズできるのも特徴。今回、撮影に使用したボクの71FLも、カーボンファイバー柄のカッティングシートを貼って、天体望遠鏡の白い鏡筒を目立たなくしているのを始め、絞りM57[7057](20枚羽根の可変絞りユニット)やM57ヘリコイドLII[7860](可動距離36mmのヘリコイド)、DZ-2[7517](三脚座付きの延長筒)、MMF-1[9857](微動と粗動でピント合わせができる接眼部)、M57回転装置DX[7352](カメラの横位置/縦位置を調節する)を追加し、自分なりに使いやすさを追求している。

 もちろん、PENTAX Qに接続するためのカメラマウントもいち早く発売され、BORG 71FLはもちろんのこと、M42ヘリコイドと組み合わせればM42マウント、ライカLマウントレンズを、各種カメラ用マウントアダプターと組み合わせればニコンF、ペンタックスK、キヤノンEFレンズをそれぞれ装着できる。パーツの組み合わせを工夫することで、カメラやレンズのメーカーを問わず、接続できるのがBORGの魅力であり、面白さと言えるだろう。

PENTAX QにM49.8 P0.75メスのマウントを設けるアダプター「カメラマウントPENTAX Q用」[5014]
カメラマウントPENTAX Q用[5014]を装着したところ

※“[ ]”内の数字は、BORGのパーツに付けられている型番で、正直、どのパーツが何番なのか、カタログを見ないとわからないが、BORGには非常に様々なパーツがあり、なかには似たような名称のパーツもあるため、販売店にBORGパーツを注文するときはこの番号を指定したほうが確実ということで、参考までに型番も併記しておいた。

ローリング歪みが曲者

 PENTAX Qには、1/2.3型有効1,240万画素の裏面照射型CMOSセンサーが搭載されていて、レンズの焦点距離を約5.5倍にすると35mmカメラ換算の焦点距離になる。つまり、焦点距離400mmのBORG 71FLをPENTAX Qに装着すると、なんと2,200mm相当という超望遠の画角となる。既存の一眼レフカメラシステムでこの画角を得るのはかなり難しく、この画角に対抗できるシステムとしては「デジスコ」くらいしかないだろう。

PENTAX Qは1/2.3型センサーを採用している

 ただし、PENTAX Qによる超望遠撮影には、大きな問題点もある。というのも、PENTAX Q本体には、メカシャッターは搭載しておらず、現状では高性能レンズシリーズの標準単焦点「PENTAX-01 STANDARD PRIME」と標準ズーム「PENTAX-02 STANDARD ZOOM」のみがレンズ内にシャッターを装備。それ以外のレンズはCMOS電子シャッターによる露光制御を行なっている。問題は、電子シャッターの走査が遅く(ストロボの同調速度が1/13秒という遅さ!)、画面の上下(横位置撮影の場合)で時間差が生じ、被写体の動きが速いと形が歪んで写ってしまう点だ(ローリングシャッター歪み。俗に“こんにゃく現象”とも呼ばれている)。僅かなブレで画面が大きく揺れる超望遠撮影でも同様の現象が起きてしまう。

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。縦位置の画像は非破壊で回転させています。

【これが“ローリングシャッター歪み”だ】

PENTAX Q / BORG 71FL / 約2.7MB / 4,000×3,000 / 1/2,000秒 / +0.3EV / ISO640 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約2.7MB / 4,000×3,000 / 1/2,000秒 / +0.3EV / ISO640 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 2,200mm

 超望遠レンズを装着してPENTAX Qを左右に振りながらシャッターを切ってみたのがコレ。画面の上下方向に順次読み出しているので、上と下とでは時間軸がずれ、このようにテレビアンテナの支柱がグニャグニャと歪んでしまう。これはテストのため、わざとカメラを大きく振りながら撮影しているが、できるだけブレないように撮影しても、建物など直線が目立つ被写体だと微妙な歪みが気になってしまうことが多い。手持ち撮影はもちろん、指で直接シャッターボタンを押すのもできるだけ避けたいところだ。

 もっとも、PENTAX QとBORG 71FLを組み合わせると2,200mm相当の超望遠の画角になってしまうので、ローリングシャッター歪みが生じなかったとしても到底手持ち撮影は困難だが、三脚を使ったとしても指でシャッターボタンを押せば、そのわずかなブレでローリングシャッター歪みが生じる可能性は高い。なにしろ、高速シャッターを切ったとしても、それは単に電子的なスリット幅が狭くなるだけで、画面を上から下まで走査し終わるまでに1/13秒弱かかるわけだ。つまり、2,200mmの超望遠を1/13秒で撮影するようなもので、ブレがローリングシャッター歪みとして現れてしまう。

 PENTAX Qにはケーブルレリーズは用意されていないので、赤外線リモコンでシャッターを切ることにしたが、前後に赤外線受光部があるとはいえ、ケーブルレリーズに比べるとどうしても反応が鈍いのが難。そこで、PENTAX Qのドライブ設定を[リモコン連続撮影]にし、被写体が画面内に入っている限り、ひたすら連写し続けるようにした。“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”撮法で、連写した写真を1枚1枚チェックして、カメラブレも被写体ブレのないカットのみを残し、残りはバッサリ削除する。いわば、手動ベストショットセレクターだ。

今回は、PENTAX Qにも対応した防水赤外線リモコン「O-RC1」を使用したカメラのドライブ設定を[リモコン連続撮影]にして連写した

 幸い電子シャッターはメカ的に動作する部分はないので、シャッターを切ってもまったく振動しない。そのため、2,200mm相当の超望遠でもカメラに起因するブレは皆無。ただし、車や人の動きで地面が振動して揺れる、風でレンズがあおられ揺れる、被写体が動いてブレる、大気の揺らぎで像が不鮮明になる、などが生じるので、とにかく数多くシャッターを切って、奇跡的にブレがなく、大気の揺らぎの影響も少なく、それでいて、絶妙なシャッターチャンスを捉えた写真が撮れるのを祈る。今回はそんな撮影法で挑んでみた。

超望遠撮影としてはまずまずの結果

 お散歩コースの近所の川に出撃し、到着してから10分ほどで幸運にもカワセミくんが対岸に止まった。距離にして15mくらいはあるだろう。APS-Cサイズの一眼レフに500mmクラスのレンズを装着しても、あまり大きくは撮れない距離だが、PENTAX Q+BORG 71FLの2,200mm相当の画角なら、ド・アップとまではいかないが、かなりまともな大きさで捉えられる……はずだが、2,200mmの狭い画角だと目標物をカメラ内に導入するまでが一苦労。あまりに写る範囲が狭すぎて、いったいどこを写しているんだかなかなかわからないので、目標をしっかり画面で捉えるまでに時間がかかってしまう。

 初日は2,200mmの画角を甘く見て照準器なしで出かけたが、やはり照準器があるとかなり目標物の導入が楽になる。あとは、動きがスムーズで、なおかつ狙った位置でピタリと固定できる雲台がないと、なかなか狙った構図で固定できず、手間取ってしまう。やはり、超望遠撮影には、三脚と雲台にはそれなりに投資したいところだ。

 ピント合わせは、当然MFだ。マイクロフォーカサーを増設しているので、BORGの素の状態よりはピントを微調節しやすいが、超望遠だけにピントの合う範囲は非常に狭い。PENTAX Qの液晶モニターは3型46万ドットと粗くはないものの、とりわけ高精細というほどでもないので、本当にピントのピークが出ているのか判断に迷う。また、屋外だと周囲の反射でモニターが見づらくなるので、できればルーペ付きの液晶モニターフードも用意しておきたいところだ。ボクが愛用しているのは、デジスコ・ドットコムの液晶モニターフード「HD-30WMC」だ。

照準器があれば撮影対象の導入が楽になる。液晶モニターにはフードを装着している

 ちなみにPENTAX Qは編集部経由の借り物で、PENTAX Qを使ったのは実は今回が初めて。貸出期間中の天候もいまひとつで、もう少し光が欲しかったとは思うが、どん曇りでコントラストに乏しく、しかも、2,200mm相当の超望遠撮影としては、まずまずの写りが得られたのではないかと思う。もちろん、BORG71FLとPENTAX Qの実力を最大限に引き出せば、さらなる高解像描写が得られるはずだが、と同時に、撮影シーンとシチュエーション(天候や風の有無など)を選ぶ組み合わせだとも言える。

 ダメモトで夜の羽田空港でも2,200mmの超望遠撮影に挑んでみたが、さすがに空港内で2,200mmの画角は狭すぎた。昼間なら東京スカイツリーと着陸体勢に入る飛行機を狙ってみたいところだが、空港内の飛行機だと部分アップしか撮れない。しかも、海風が強く、3型のジッツオとアルカスイスのモノボールでも画面がユラユラしてしまう。それでも、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる撮法で、ひたすら連写し、運良くブレが少ないカットを選び出してみた。なにしろ2,200mmで1/2~2秒という超スローシャッターなので、風がなくてもブレてしまいそうなシチュエーションだ。そのため、描写は多少甘くなっているが、それでも管制塔の中のレーダーや航空機の操縦席のなかがわかるほどのド・アップはちょっと新鮮。夜の工場萌え写真にチャレンジしてみるのも面白いかもしれない。

・BORG 71FLの作例

PENTAX Q / BORG 71FL / 約3.9MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約2.8MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約3MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.7MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約3MB / 4,000×3,000 / 1/400秒 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.7MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約3.6MB / 4,000×3,000 / 1/800秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:太陽光 / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.4MB / 4,000×2,248 / 1/400秒 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約2.6MB / 4,000×2,248 / 1/400秒 / 0EV / ISO250 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約1.8MB / 4,000×2,248 / 1/250秒 / 0EV / ISO250 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約3.4MB / 4,000×2,248 / 1/250秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.4MB / 4,000×2,248 / 1/320秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約2.4MB / 4,000×2,248 / 1/320秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.3MB / 4,000×2,248 / 1/200秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約2.3MB / 4,000×2,248 / 1/80秒 / 0EV / ISO200 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.1MB / 4,000×2,248 / 1/100秒 / 0EV / ISO200 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約2.2MB / 4,000×2,248 / 1/160秒 / 0EV / ISO200 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約2.8MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / 0EV / ISO250 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約4.2MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:太陽光 / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.3MB / 4,000×3,000 / 1/80秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:太陽光 / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約2.4MB / 4,000×3,000 / 1.6秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:白熱灯 / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.1MB / 4,000×3,000 / 1/1.3秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:白熱灯 / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約3.8MB / 4,000×3,000 / 1/3秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:白熱灯 / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約2.7MB / 4,000×3,000 / 1/2秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:白熱灯 / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約2.9MB / 4,000×3,000 / 1/2秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:白熱灯 / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約3.4MB / 4,000×3,000 / 1秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:白熱灯 / 2,200mm
PENTAX Q / BORG 71FL / 約3.1MB / 4,000×3,000 / 2秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:白熱灯 / 2,200mmPENTAX Q / BORG 71FL / 約2.2MB / 4,000×3,000 / 2秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:白熱灯 / 2,200mm

・BORG 77EDII直焦点による下弦の月

PENTAX Q / BORG 77EDII / 約1.8MB / 4,000×3,000 / 1/200秒 / 0EV / ISO200 / マニュアル露出 / WB:オート / 2,805mm

 せっかくなので、BORGパーツを組み合わせ、一眼レフカメラ用交換レンズをPENTAX Qに装着して試写してみた。最近は絞り環が省かれたレンズがほとんどで、中には最小絞りになってしまうものもある。ニコンやペンタックスのちょっと古めのレンズだと、絞り環が残っているので、PENTAX Qと組み合わせても絞りを自在にコントロールして撮影できるので好都合だ。

 すでに、中村文夫氏が「PENTAX Qでマウントアダプターを試す」でさまざまなレンズを試しているので、今回、手持ちのレンズから、ニコン「Ai AF-S Nikkor ED 300mm F4 D」で“超望遠”、トキナー「AT-X M100 PRO D」で“超マクロ”にチャレンジしてみた。

ニコンAi AF-S Nikkor ED 300mm F4 Dを試す

 PENTAX Qに装着すると、1,650mm相当の画角になる。BORGに比べ、フォーカスリングの動きがなめらかで、レンズ全長も短く取り回しがいいので、MFによるピント合わせも快適だ。画角も1,650mm相当と71FLよりも少しだけ画角が広いので、動きがゆっくりとした被写体ならなんとか追える。

ニコンAi AF-S Nikkor ED 300mm F4 Dを装着したところ

 ただ、BORGに比べると、ピントの山がエッジ立つ感じが少なく、少し鮮鋭さに欠ける。1~2段絞りを絞ってもそれほど解像感は向上しない。むしろ、絞り過ぎによる回折の影響が出てきそうな感もある。後処理でアンシャープマスクを程よくかけて、見栄え良く仕上げたいところだ。

・Ai AF-S Nikkor ED 300mm F4 Dの作例

PENTAX Q / Ai AF-S Nikkor ED 300mm F4 D / 約4.8MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:太陽光 / 300mmPENTAX Q / Ai AF-S Nikkor ED 300mm F4 D / 約3.8MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / -0.3EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm
PENTAX Q / Ai AF-S Nikkor ED 300mm F4 D / 約3.3MB / 4,000×3,000 / 1/800秒 / -0.3EV / ISO250 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mmPENTAX Q / Ai AF-S Nikkor ED 300mm F4 D / 約4.8MB / 4,000×3,000 / 1/400秒 / +0.3EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm
PENTAX Q / Ai AF-S Nikkor ED 300mm F4 D / 約3.8MB / 4,000×3,000 / 1/400秒 / 0EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mmPENTAX Q / Ai AF-S Nikkor ED 300mm F4 D / 約3.4MB / 4,000×3,000 / 1/1,250秒 / -1.3EV / ISO250 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm

トキナーAT-X M100 PRO D(100mm F2.8)を試す

 「等倍」というのは、撮像素子に投影される像が被写体と同じ大きさに写ること。つまり、35mmフルサイズで等倍というのは36×24mmの範囲が画面いっぱいに写るのに対し、APS-C(ニコンDXフォーマット)なら23.6×15.6mmの範囲が画面いっぱい、PENTAX Qなら1/2.3型(対角7.8mm:約6.2×4.6mm)の範囲が画面いっぱいに写ることを指す。つまり、PENTAX Qに等倍まで寄れるマクロレンズを組み合わせれば、フルサイズの撮影倍率5.5倍のマクロと同等のクローズアップ撮影が行えることになる。

トキナーAT-X M100 PRO Dを装着したところ

 驚くほどの超クローズアップ撮影が行なえるのでは? と期待していたのだが、確かに通常よりも高倍率のマクロ撮影は行なえるものの、広角レンズや標準ズームをリバースアダプタで逆付けしてAPS-Cのデジタル一眼レフカメラで撮影するのに比べれば、クローズアップ度が低い。“驚愕の超マクロ”とまではいかなかった。

 ただ、一眼レフカメラと違って、PENTAX Qはミラーやシャッターショックなしに撮影できるので、静物を等倍上でクローズアップ撮影する際にカメラブレの影響がないのが楽。また、550mm相当の超望遠マクロとなり、ワーキングディスタンスもある程度確保できるので、ライティングの自由度が高いのも利点だ。

・AT-X M100 PRO Dの作例

PENTAX Q / AT-X M100 PRO D / 約2.3MB / 4,000×3,000 / 1/1000秒 / +0.7EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 100mmPENTAX Q / AT-X M100 PRO D / 約3.2MB / 4,000×3,000 / 1/400秒 / -0.3EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 100mm
PENTAX Q / AT-X M100 PRO D / 約2.2MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / +0.7EV / ISO500 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 100mmPENTAX Q / AT-X M100 PRO D / 約2.1MB / 4,000×3,000 / 1/800秒 / +0.7EV / ISO500 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 100mm
PENTAX Q / AT-X M100 PRO D / 約5.6MB / 4,000×3,000 / 1/6秒 / -0.3EV / ISO125 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 100mm(パソコンの液晶モニター)

まとめ

 以上、マウントアダプターを使ってPENTAX Qに、BORG 71FL、ニコンAi AF-S Nikkor ED 300mm F4 D、トキナーAT-X M100 PRO Dをそれぞれ装着して撮影してみたが、1/2.3型1,240万画素CMOSセンサーの1.55μmという極小画素ピッチの割に、思ったよりも解像感のある描写が得られたのではないかと思う。惜しむらくは電子シャッターの走査が遅く、連写スピードもあまり速くないのに加え、連写中は液晶モニターが完全にブラックアウトしてしまう点は不便。このあたりがもう少し改善されれば、もっと楽しく超望遠、超マクロ撮影が楽しめると思う。






伊達淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2011/11/17 00:00