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PENTAX Qでマウントアダプターを試す(35mm一眼レフレンズ編)

Reported by 中村文夫

 マイクロフォーサーズ、ソニーNEXに続いて登場したミラーレスカメラ、ペンタックスQの最大の特徴は、ミラーレス機として、かつてないコンパクトさを実現したことだろう。撮像素子サイズは1/2.3型。現在発売中のレンズ交換式デジカメの中でいちばん小さい。

 こんな中、マウントアダプターファンが熱い視線を注いでいるのが、わずか9.2mmというフランジバックの短さだ。マウント口径は実測値で32mm弱と小さいが、フランジバックがこれだけ短かければマウントアダプターを設計する際の制約はほとんどゼロ。一眼レフ用だけでなく、これまで使い道のなかったレンズにも、スポットライトが当たるようなった。

 ペンタックスQ発売から約1カ月。早くもレイクォールから、一眼レフカメラ用とムービーレンズ用アダプターが登場した。そのうち今回は、一眼レフカメラ用のアダプターを使ったレポートをお届けしよう。

今回試用した35mm一眼レフカメラ用のレンズ

すでに7種類のマウントアダプターがラインナップ

 レイクォールのPENTAX Q用マウントアダプターは、ニコンF、M42、ライカR、オリンパスOM、キヤノンFD、コンタックス/ヤシカ、ペンタックスK用の7種類。このうちニコンFとペンタックスKは絞りリングを備えたレンズ専用で、デジタルカメラ用のニコンG、ペンタックスDAシリーズは絞りの制御ができず使用できない。

 ただ、レイクォールは、マイクロフォーサーズとNEX用に、絞りリング付きアダプターを販売中。今後、ニコンG、ペンタックスDA、さらにソニーαレンズ対応アダプターが出る可能性は否定できない。

レイクォール製35ミリ一眼レフレンズ用アダプター。左からペンタックスK、ニコンF、ライカR用。このほか、M42、オリンパスOM、キヤノンFD、コンタックス/ヤシカ用がある
マウント内側にボディ側の電気接点を保護する樹脂製ガードが付いている

 ペンタックスQに搭載された撮像素子は、1/2,3型でサイズは5.9×4.4mm。焦点距離を5.5倍すると35mm判の画角に換算できる。いずれにしても35mm一眼レフ用レンズを組み合わせた場合、画角が非常に狭くなるので望遠撮影が主体。たとえば50mm F1.4など大口径標準レンズを選べばで275mm F1.4という、これまでの常識を越えた超大口径望遠レンズが誕生する。高価なレンズを用意しなくても被写界深度の極端に浅い表現が手軽に楽しめるほか、バードウォッチャーや天体ファンにも朗報といえるだろう。

 これまでのペンタックスのデジタル一眼レフは、どんなレンズを組み合わせても手ブレ補正が利用できることが、他社との差別化のポイントになっていた。ペンタックスQもこれまでと同様センサーシフト式の手ブレ補正を搭載しているが、これが作動するのは専用レンズを組み合わせた場合のみ。アダプター使用時は残念ながら作動しない。画角が極端に狭くなる超望遠撮影時は補正能力の限界を越えてしまうので、敢えて不採用としたのだろう。

 すでに説明した通り、35mm一眼レフ用レンズを組み合わせた場合は望遠撮影が主体。画角が狭く、被写界深度が浅いので、シャープな写真を撮るには厳密なピント合わせが不可欠だ。ただしペンタックスQはEVF非対応なので、手持ちだとカメラを顔の正面に掲げた不安定な姿勢で撮影しなければならない。手ブレ防止の意味も含め、シャープな写真を撮るためにはカメラを確実に固定することが大切だ。またアダプター使用時は電子シャッターで露光するので、カメラブレを起こしたり露光中に被写体が動くと、被写体が歪む現象が起こる。これらの点を考慮してアダプターには堅牢な三脚座を装備している。

すべての35mmレンズ用アダプターは固定式の三脚座を装備。ボディに負担をかけることなく、大型レンズも安心して使用できる

ピント合わせについて

 アダプター使用時のピント合わせはMF。OKボタンを押すとMFアシストが作動し、画面中央部が4倍に拡大される。このとき十字キーを押すと拡大部分が自由に移動できる。さらにシャッターボタンを半押しすると全画面表示に戻るので使いやすい。

OKボタンを押すとMFアシスト機能が作動。画面が4倍に拡大される

 ただ最大拡大倍率が4倍と低く、被写界深度の浅くなる大口径レンズや、接写、望遠撮影では、精度不足を感じることも多い。8〜16倍の選択ができると、さらに使いやすくなるだろう。またリコーGXR MOUNT A12が採用するコントラスト強調機能などの小技は非搭載。せっかくリコーと同じグループになったのだから、ペンタックスQにも、同様の機能を搭載して欲しい。いずれにしても、これらの点については今後のファームウェアのバージョンアップに期待したい。


露出について

 レイクオール製マウントアダプターは、ボディ側とのインターフェースを一切備えていない。そのため絞りは手動式で、Av(絞り優先AE)とM(マニュアル露出)が、絞り込み測光で利用できる。絞りを絞った際、撮像素子に届く光量が少なくなるが、カメラ側で自動的にゲインアップを行なうので、LCDの画像は思ったほど暗くならない。


設定について

 一般的なカメラでマウントアダプターを利用する際、「レンズなし時のレンズリーズ許可」をオンにするなど、事前にカメラ側の設定を変える必要がある。だがペンタックスQの場合、めんどうな設定は不要。そもそもメニューにこの項目がなく、マウントアダプターを装着するだけで、すぐに撮影が始められる。


作例

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・SMCペンタックスFAスター24mm F2 AL(IF)

 ペンタックスZシリーズと同時に誕生した高画質レンズ。PENTAX Qに組み合わせると132mm相当の望遠レンズになる。

SMCペンタックスFAスター24mm F2 AL(IF)

 大口径広角レンズとして定評のある製品だが、PENTAX Qの場合、絞り開放だと柔らか描写になり、フィルムとかなり違った印象になった。


PENTAX Q / SMCペンタックスFAスター24mm F2 AL(IF) / 約3.2MB / 4,000×3,000 / 1/20秒 / F2 / -0.7EV / ISO1600 / WB:オート / カスタムイメージ:鮮やか PENTAX Q / SMCペンタックスFAスター24mm F2 AL(IF) / 約4.0MB / 3,000×4,000 / 1/2,500秒 / F4 / -0.3EV / ISO125 / WB:オート / カスタムイメージ:鮮やか

・SMCペンタックス FA43mm F1.9リミテッド

 解像力などの数値より、視覚的な描写性を重視した高品位レンズ。絞り開放だとソフトな描写だが、1段絞るとシャープになる。

SMCペンタックス FA43mm F1.9リミテッド

PENTAX Q / SMCペンタックス FA43mm F1.9リミテッド / 約4.1MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F1.9 / -0.3EV / ISO250 / WB:オート / カスタムイメージ:鮮やか PENTAX Q / SMCペンタックス FA43mm F1.9リミテッド / 約3.5MB / 3,000×4,000 / 1/320秒 / F4 / -0.3EV / ISO250 / WB:オート / カスタムイメージ:鮮やか

・SMCペンタックスAスター85mm F1.4

 ポートレート用の銘玉として、今でも高い人気を誇る。絞り開放だと甘さが残るが、描写は非常にシャープ。

SMCペンタックスAスター85mm F1.4

PENTAX Q / SMCペンタックスAスター85mm F1.4 / 約3.1MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F1.4 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / カスタムイメージ:鮮やか

・SMCペンタックスレフレックスズーム400-600mm F8-12

 非常に珍しい反射式光学系を採用したズームレンズ。PENTAX Qに組み合わせると、何と2,200-3,300mm相当の超望遠レンズになる。

SMCペンタックスレフレックスズーム400-600mm F8-12

 解像力は非常に高いが、これだけ焦点距離が長いと大気の影響を受けクリアーな像を得るのは至難の業だ。また像面における天体の移動スピードは想像以上に速く、電子シャッターでは月の形が歪んでしまった。また月の作例のように画面周辺部が暗い条件では、測光モードをスポットに切り替えるとハイライト部が飛ばず、ピントが合わせやすくなる。


PENTAX Q / SMCペンタックスレフレックスズーム400-600mm F8-12 / 約5.2MB / 4,000×3,000 / 1/1,250秒 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / カスタムイメージ:リバーサルフィルム
PENTAX Q / SMCペンタックスレフレックスズーム400-600mm F8-12 / 約1.3MB / 4,000×3,000 / 1/5000秒 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / カスタムイメージ:リバーサルフィルム PENTAX Q / SMCペンタックスレフレックスズーム400-600mm F8-12 / 約2.0MB / 4,000×3,000 / 1/320秒 / 0.0EV / ISO200 / WB:太陽光 / カスタムイメージ:鮮やか

・マクロタクマー50mm F3.5

 1960年代に登場したマクロレンズ。レンズ単体で等倍撮影ができる。

マクロタクマー50mm F3.5

 ねじ込み式のM42マウントなので、ペンタックス製Kマウントアダプターを併用。レイクォール製のM42アダプターを使えば直付けできる。


PENTAX Q / マクロタクマー50mm F3.5 / 約2.8MB / 3,000×4,000 / 1/100秒 / F4 / 0.0EV / ISO800 / WB:オート / カスタムイメージ鮮やか

・ライカズミクロンR 90mm F2

 ライカの35mm一眼レフカメラ用大口径中望遠レンズ。PENTAX Qだと495mm F2というとんでもないスペックになる。

ライカズミクロンR 90mm F2

 絞り開放だと花びらや葉のエッジにグリーン色のフレアが発生。絞ると改善される。この当たりの特性を活かすと面白い作品が撮れるだろう。


PENTAX Q / ライカズミクロンR 90mm F2 / 約1.8MB / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F2 / -0.7EV / ISO125 / WB:オート / カスタムイメージ:鮮やか PENTAX Q / ライカズミクロンR 90mm F2 / 約2.3MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO160 / WB:オート / カスタムイメージ:鮮やか
PENTAX Q / / 約2.8MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F4 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート / カスタムイメージ:鮮やか

・ニッコール135mm F2.8

 望遠レンズの定番製品。開放だとフレアが目立つ。

ニッコール135mm F2.8

PENTAX Q / ニッコール135mm F2.8 / 約3.2MB / 3,000×4,000 / 1/100秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO500 / WB:オート

(ムービーレンズ編に続く)

【2011年10月19日】PENTAX Qのフランジバックの数値を9.5mmから9.2mmに改めました。





中村文夫
(なかむら ふみお)1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。

2011/10/19 00:00