写真展

大石芳野写真展「福島 土と生きる・今」

(ふげん社)

浪江町/2011年11月

2011年3月東日本大震災と、福島第一原子力発電所事故から、5年の歳月が経ちました。この節目の年に、戦争や災害で苦しむ人々の心の内面にフォーカスしシャッターを切り続けてきた、フォトジャーナリズムの第一人者である大石芳野氏の写真展「福島 土と生きる・今」を開催いたします。写真集『福島 FUKUSHIMA 土と生きる』(藤原書店、2013)より18点と、未公開作品2点を、モノクロームバライタ・プリントで展示・販売いたします。

福島の土に生きる人々は、5年前に被災し、放射能という「見えない武器」で命を脅かされ、土を汚染され、ふるさとを不条理に奪われました。大石氏の写真には、農業を営み、花を愛する、「土と生きる」人々が、生きる場所を失った先に直面した現実、現在まで目に見えぬ敵と闘い生き続けている様が、克明に写し取られています。

土と生きているのは、何も福島の人々に限りません。土は、人類の原点であり、皆が帰る場所なのだと大石氏は言います。福島の人々の「ふるさと」は私たちの「ふるさと」でもあり、福島の人々の悲しみや苦しみは、決して他人事ではありません。

このような痛ましい事故や戦争が起こりうる、危うい現代社会を生きる私たちが、そのことを自覚し、ありのままを直視し、何かを感じ、考えること。そのことが現在、そして未来をこれから形作っていこうとする私たちの義務ではないでしょうか。この写真展が、みなさんのこれからを考えるきっかけとなれば幸いです。

コミュニケーションギャラリー ふげん社≫大石芳野写真展「福島 土と生きる・今」

会場・スケジュールなど

  • ・会場:ふげん社
  • ・住所:東京都中央区築地1丁目8-4築地ガーデンビル2F
  • ・会期:2016年3月1日火曜日〜2016年3月19日土曜日
  • ・時間:12時〜19時(土曜日17時まで)
  • ・休館:日曜日、月曜日、祝日
  • ・入場:無料

ギャラリートーク 大石芳野(写真家)×佐伯剛(風の旅人編集長)

グラフ誌「風の旅人」の佐伯剛氏をゲストに、作家とのギャラリートークを開催。

【開催概要】
・会場:ふげん社
・日時:2016年3月5日土曜日14時~16時
・料金:2,000円(ドリンク付き)

作者プロフィール

東京都出身。写真家。

日本大学芸術学部写真学科を卒業後、ドキュメンタリー写真に携わり今日に至る。

戦争や内乱、急速な社会の変容によって傷つけられ苦悩しながらも逞しく生きる人びとの姿をカメラとペンで追っている。

<主な受賞>
2001年・土門拳賞(『ベトナム 凜と』)、
2007年・エイボン女性大賞、同年紫綬褒章
2013年・JCJ賞(日本ジャーナリスト会議)(『福島FUKUSHIMA 土と生きる』)

<主要著書>
『無告の民 カンボジアの証言』(岩波書店、1981年。1982年日本写真協会年度賞)
『パプア人』(平凡社、1981年)
『ワニの民 メラネシア芸術の人びと』(冬樹社、1983年)
『隠岐の国』(くもん出版、1984年)
『沖縄に活きる』(用美社、1986年)
『夜と霧をこえて』(日本放送出版協会、1988年)
『夜と霧は今』(用美社、1988年。1989年日本写真協会年度賞)
『あの日、ベトナムに枯葉剤がふった』(くもん出版、1992年)
『カンボジア苦界転生』(講談社、1993年。1994年日本ジャーナリスト会議奨励賞)
『HIROSHIMA 半世紀の肖像』(角川書店、1995年)
『小さな草に』(朝日新聞社、1997年)
『沖縄 若夏の記憶』(岩波書店、1997年)
『ベトナム 凜と』(講談社、2000年)
『コソボ 破壊の果てに』(講談社、2002年)
『アフガニスタン 戦禍を生きぬく』(藤原書店、2003年)
『コソボ 絶望の淵から明日へ』(岩波書店、2004年)
『子ども 戦世のなかで』(藤原書店、2005年)
『魂との出会い』(鶴見和子と共著、藤原書店、2007年)
『黒川能の里 庄内にいだかれて』(清流出版、2008年)
『〈不発弾〉と生きる 祈りを織る ラオス』(藤原書店、2008年)
『それでも笑みを』(清流出版、2011年)
『福島FUKUSHIMA 土と生きる』(藤原書店、2013年)
『戦争は終わっても終わらない』(藤原書店、2015年)

<写真展>
(1971年の「少年パパニー」以来今日まで多数開催)

(本誌:河野知佳)