写真展

本橋成一写真展「炭鉱<ヤマ>」

(ニコンサロン)

作者が炭鉱の写真を撮りに筑豊に行ったのは1965年のこと。もう50年も前のことになる。

この筑豊行きは、結果的に作者が写真の仕事を始めるきっかけとなり、「エネルギー」というテーマがライフワークになった。

閉山続きで貧しい暮らしの炭鉱街で作者が出会った人たち、そこにも当たり前の暮らしがあった。それがおかしくて、やさしくて、作者は大好きだった。そう、悲惨さだけの日常ではなかったのだ。

しかし、いま九州でも北海道でも作者がかつて通ったあの炭鉱は何も残っていない。

この50年、日本は高度経済成長期をはさんでずっと“豊かな国”を目指した時代だった。特にその成長を支えるエネルギー問題は石炭から石油、そして原子力へと目まぐるしく変わっていった。国家という名の下に鼻先に豊かさという人参をぶら下げられて、経済発展へ突き進んできたのだ。

誰かがこころと肉体を犠牲にして、まぼろしの豊かさを負わされてきたのだ。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:銀座ニコンサロン
  • ・住所:東京都中央区銀座7-10-1STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1・2階
  • ・会期:2015年2月11日水曜日~2015年2月24日火曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

  • ・会場:大阪ニコンサロン(追記)
  • ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • ・会期:2015年7月2日木曜日~2015年7月8日水曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

東京都生まれ。68年「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞受賞。91年よりチェルノブイリ原発とその被災地ベラルーシに通い、汚染地で暮らす人々を写し撮る。95年「無限抱擁」で日本写真協会年度賞、写真の会賞を受賞。98年「ナージャの村」で第17回土門拳賞受賞。同名のドキュメンタリー映画は文化庁優秀映画作品賞を受賞したのを始め、海外でも高い評価を受ける。2作目「アレクセイと泉」で52回ベルリン国際映画祭ベルリナー新聞賞及び国際シネクラブ賞ほか受賞。2002年東京都写真美術館でチェルノブイリ三部作「ナジェージダ〈希望〉」を開催。04年ロシア国立図書館の招聘によりサンクトペテルブルグで写真展「ナジェージダ〈希望〉」を開催。09年、西アフリカ・セネガルの村を舞台にバオバブの樹とともに暮らす人々を描いた映画「バオバブの記憶」を公開。最新作は写真集「屠場〈とば〉」(平凡社刊)。

主な著書に、「サーカスの時間」(筑摩書房)、「上野駅の幕間」(現代書館)、「ふたりの画家」(晶文社)、「無限抱擁」(リトル・モア)、「ナージャの村」(平凡社)、「ナージャ希望の村」(学習研究社)、「アレクセイと泉」(小学館)、「生命の旋律」(毎日新聞社)、「イラクの小さな橋を渡って」(共著・光文社)、「バオバブの記憶」(平凡社)、「昭和藝能東西」(オフィスエム)などがある。

(本誌:河野知佳)