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全天球“動画”を撮れる新型「RICOH THETA」詳報
Reported by 本誌:鈴木誠(2014/10/29 14:56)
リコーイメージングは10月28日、全天球カメラ「RICOH THETA」の新モデル(RICOH THETA m15)を日本科学未来館(東京都江東区)で披露した。
RICOH THETA m15は、2013年に発売したRICOH THETAの外観はそのままに、動画記録への対応やWi-Fi高速化を行ったモデル。11月14日に発売する。店頭予想価格は税込3万5,000円程度の見込み。詳細は既報記事を参照いただきたい。
ビジネス事業メインから転換目指す
リコー新規事業開発センター所長の大谷渉氏は、プリンターや複合機をメインとする同社が、ビジネスからインダストリーやコンシューマーにも事業領域を広げ、事業構造の転換を実現することが「新規事業センター」のミッションだと説明。THETAはコンシューマー領域のデジタルカメラにおいて「新しい世界を作ろう」というねらいの製品と説明した。
初代THETAは2013年9月にIFAで発表。「パノラマ」「Photo Sphere」「360」「全天周」「全天球」といったキーワードでインパクトを与え、大きな反響を得た。また、購入者の96.2%が満足したとの調査結果を示した。
新ハードで全天球動画に対応
続けてリコー技術研究所 フォトニクス研究センターの寺尾典之氏が製品紹介を行った。
新しいTHETA m15は、昨年度発売の初代THETAとコンセプトは変わらないものの、ターゲット層を「先進デジタルユーザー層」から「コミュニケーション重視層」まで拡大する。
THETA m15で撮影・作成した動画は、静止画のTHETA画像がそのまま動くようなイメージ。拡大縮小やスクロールの使い勝手も変わらない「全天球動画」だ。
全天球イメージの作成は、静止画でも数秒かかる処理だという。このままでは動画への対応ができなかったため、動画の合成処理はPC上のTHETAアプリで行う形になった。処理後はスマートフォンからの再生・共有も可能になる。
本体形状が変わっていないことから初代THETAへのファームウェアアップデートに期待する声もあったが、細かな部品レベルでの変更があるため、動画撮影機能をソフトウェア的に追加することはできないとしていた。
なお、動画撮影モードでの起動は、THETA側面のWi-Fiボタンを押しながら電源ボタンを押す。ランプが点滅する状態が動画モード。
第三領域を作るカメラ
リコーイメージング代表取締役社長の赤羽昇氏は、THETAを「いままでのカメラのような形や撮影目的に対して作ってきたものではなく、新しい“第三領域”を作るもの」と説明。これまでのカメラと異なる点として「人の目で見るものを正確に描写するカメラの正統進化からとは異なる」、「撮るほうが構図やタイミングを考えない」部分を挙げた。
一般的なカメラでは、撮影者が被写体を見ることでその撮影目的がわかるが、THETAの場合は、撮影者が何を意図しているかわからず、赤羽氏はそれを「目的の無限性」と呼び、個人の自由かつクリエイティブセンスの中にあるものと説明した。
公式になったファンミーティング
プレス発表会から会場を転換して、一般ユーザー向けの「ファンミーティング」も日本科学未来館で開催された。2013年12月に非公式として開催されたが、今回は公式のイベントとなった。
登壇するメーカー関係者も発表会とは雰囲気が変わり、堅苦しさをなくした笑顔のトークだった。共に新THETAのリリースを喜んでいる様子が伝わってくる。
前回の非公式ファンミーティングでは、プライバシーに配慮するための「ぼかし機能」など、参加者から出ていた要望が後日アップデートでいくつか反映された。今回は「防水」「リモートライブビュー」「外部電源対応」「コマドリアニメ作成」「地球儀のようにプリントしたい」といった声が聞かれた。
タッチ&トライの時間には、VR向けのヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」や、スマートフォン用のダンボール製VRビューワー「ハコスコ」でTHETA動画を見られるデモが用意されていた。