NEC、外部センサーなしでキャリブレーションできる24.1型ディスプレイ

〜ICCプロファイルエミューレション機能を搭載

 NECディスプレイソリューションズは、ICCプロファイルエミュレーション機能を搭載した10bit対応24.1型ワイドディスプレイ「LCD-PA241W」を2月22日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は13万円前後の見込み。ブラックモデルの「LCD-PA241W(BK)」も同時に発売する。

LCD-PA241WLCD-PA241W(BK)

 IPSパネルを採用したプロ・ハイアマチュア向け製品。Adobe RGBカバー率98.1%の広色域モデルで、同社が新たなハイグレードシリーズとして投入する「PAシリーズ」の第1弾となる。

 解像度は1,920×1,200ピクセル。視野角は上下左右178度。コントラスト比は1,000:1。本体搭載のDisplayPort端子による10bitカラー表示にも対応する。バックライトは冷陰極管。「色再現性を重視した結果」(モニター開発本部長の中谷久嗣氏、以下同)としている。

 新開発の画像専用ASIC「SpectraViewエンジン」を採用。3次元ルックアップテーブル、独自の色変換アルゴリズム、さらに高精度フィードバックセンサーを搭載することで、より正確な色再現を実現したという。これにより「外部カラーセンサーなしでもPCからデータを送り込むかたちで、ディスプレイだけでのキャリブレーションが可能」という。

 そのほか画質面では、SpectraViewエンジンが14bitガンマ補正機能およびムラ補正機能を統合して制御。さらに工場出荷時に、輝度ムラ・色ムラを軽減する調整を実施する。ばらつきの少ない安定した品質レベルを確保したという。

 なお、外部センサーによるハードウェアキャリブレーションにも対応している。専用ソフト「SpectraView II」を別売で用意する。

 さらに本機から、画面表示輝度の安定時間を短縮した。電源投入から15秒程度(試作機による実測)で安定するという。従来機種より20秒前後の短縮としている。

「SpectraViewエンジン」を搭載。プロ向け液晶ディスプレイのエンジンに名前がつくのは珍しい外部センサーを使わずに高精度な色変換が行なえるという。図はsRGBの例
輝度安定までの時間を短縮。わずかな時間で高輝度になるため、スタンバイ状態への設定が気軽に行なえる

他社ディスプレイなどのICCプロファイルをエミュレーション

 高い色変換精度を活かした機能として、ICCプロファイルエミュレーション機能をディスプレイ内に実装したのも特徴。エミュレーションできるICCプロファイルは、Adobe RGB、sRGB、Japan Colorなどの業界標準に加え、他社製ディスプレイのものや、他社カラーマネジメントソフトが生成したものもエミュレーションできる。Photoshopのようなカラーマネジメント対応ソフトを使用することなく、他社ディスプレイ、プリンター、用紙、印刷会社固有のICCプロファイルなどに対し、ハードウェアで色変換が可能となっている。

 エミュレーション機能は、2画面表示機能とともに使用できる。例えば同じ画像を元に、左にAdobe RGB、右にsRGBといった異なる色域をエミュレートした画面を表示可能。sRGBなどの業界標準の色域については、ピクチャーモードとしてプリセットを用意している。例えば「Adobe RGBで作業をしながら、sRGBコンテンツを同時に表示させる」などの使い方が考えられるという。

エミュレーション機能その1。ICCプロファイルエミュレーションエミュレーション機能その2。印刷エミュレーション機能
エミュレーション機能その3。色覚エミュレーション機能

 画面配置として、ビクチャーバイピクチャー、またはピクチャーインピクチャーを選択でき、すべての映像入力の組み合わせで設定できる。また、2画面表示はディスプレイを縦方向にした状態でも使用できる。

 ダウンストリーム×3、アップストリーム×2のUSB2.0ハブ機能を本体に内蔵。2台のPCでディスプレイを共有でき、フロントボタンのショートカットで切り替えることも可能になっている。

左右で別の色域をエミュレートすることも可能さらに縦表示でも2画面表示が行なえる

設置性を向上、27型モデルの投入も予告

 スタンドは従来機よりフットプリントを約38%低減した。また、ディスプレイ部を最下端まで下げることが可能になり、その状態でロックできるようになった。移動時などの安全性を考慮したとしている。また、ケーブルカバーを取付け式からスライド式に変更。ケーブルマネジメントが簡単になったという。

 映像入力はDisplayPort(HDCP対応)、DVI-D×2(HDCP対応)、ミニD-SUB15ピン。

 本体サイズは556.8×227.6×378〜528mm。重量は約10.6kg(ともにスタンドを含む)。

 遮光フードは別売。価格は19,000円を予定している。また、春には遮光フードとディスプレイのセットモデルの発売を予定しているという。

側面のインターフェイス部スタンドのフットプリントが低減した
背面。ケーブルカバーをスライド式に改良遮光フードもオプションとして用意する

 なお、4月以降には27型モデルの投入も予定。16:9パネルになる見込みで、価格を含めた詳細は未定となっている。発表会場では参考出品というかたちで披露していた。

同じくPAシリーズとなる27型を参考出品

(本誌:折本幸治)

2010/1/13 19:48