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伊藤邦美写真展「かんのんさまの里」
(ニコンサロンbis新宿)
(2013/5/28 00:00)
孤軍奮闘の会社生活にけじめをつけた作者は、鬼とまで言われ、心中に空洞が生じ、揺れる波の輝きが救いに思えていた。混沌としていた翌年の夏、御朱印帳と菅笠、母親と妻も同行し、信濃観音33ヵ所巡礼を始めた。
驚いたことに、信濃観音霊場には水屋も鐘楼もない。灯明、線香、賽銭箱すらない。すでに廃寺となってしまった寺院、その半数は無住寺住職兼務、もしくは観音様をお守りしている民間人宅が納経所となっていた。
3年間に及んだ巡礼でも、作者は満たされなかった。参拝所作もなく、道中は些細なことで母妻ともかまわず喧嘩をしてしまうワッペン巡礼者。挙句の果て、叶わずと母親は他界、これでは逆縁衆生にもなれない。
混沌のまま満願を果たした作者だったが、ひとつの確信を得ることができた。それは、信濃国は「かんのんさまに守られた里、お守りしている里である」ということだった。信濃国は「かんのんさまの里」である。カラー78点。
(写真展情報より)
伊藤邦美写真展「かんのんさまの里」
- 会場:ニコンサロンbis新宿
- 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
- 会期:2013年6月11日(火)〜2013年6月17日(月)
- 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
- 休館:会期中無休