キヤノン「EOS 60Dトライアルキャンペーン」体験記


 9月18日発売のデジタル一眼レフカメラ「EOS 60D」のプロモーションの一環として、キヤノンが実施しているのが「EOS 60Dトライアルキャンペーン」だ。購入検討者にEOS 60Dと交換レンズを無償で貸し出すというもので、EOS 7Dに続いての実施となる。

 特徴的なのは、この手の企画では珍しく、土曜日・日曜日の週末2日間にかけて試用できるところ。つまり、宿泊を要する旅行でも連れて行くことが可能で、実機を手に、購入についてじっくり検討できるというわけだ。

 今回、キヤノンマーケティングジャパンから「体験してみないか」との申し出があり、いまだにEOS 40Dユーザーであり、買い替えを検討中の筆者が参加させてもらった。

 キャンペーンへの応募はWebページから。抽選に当たると、試用期間、受け取り場所、持参するものが記載されたメールが送られてくる。その後、当選ハガキが申込時の住所に到着する。

 受け取り場所は、申込時に指定した銀座(東京)、名古屋、大阪の各キヤノンデジタルハウスのいずれか。貸出は金曜日10時からスタートし、翌週月曜日の18時までに返却すれば良い。最長金・土・日の3泊旅行も可能だし、自宅で週末、じっくり所有機との比較を行なってもいい。貸出機は計30名分とのこと(筆者が借り受けた機材は別に用意していただいた)。

 キヤノンデジタルハウス銀座に当選はがきと必要書類を持って行くと、EOS 60D本体、EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS、バッテリー、充電器、ストラップ、説明書がコンパクトなバッグに入った状態で手渡された。ストラップはすでに本体に取付けられた状態。また、希望すれば4GBのSDHCメモリーカード、または2GBのSDメモリーカードの借用も可能だ。

抽選に当たると、当選はがきが届く当選はがきと必要書類を持って、キヤノンデジタルハウスへ(写真は銀座)
必要書類を見せて、説明を受けると試用がスタート本体とともに受け取った書類の一部。一番右はEOS学園の受講優待カード
借用したEOS 60DとEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS。ストラップは最初からついていた受け取ったカメラバッグ、EOS 60D、レンズ、キャップ類。ほかにバッテリー、充電器、説明書が含まれる
EOS 60Dとレンズを収納したところ。仕切りを動かせば、レンズを装着したままでも収められる

 わたされたカメラバッグは、EOS Kiss X3の販促用だったスマイルフォトバッグII。あまりたくさんの機材は入らないが、借用機材だけを持ち歩くなら問題はない。ポケット類が大きいので、ヘッドフォンや新書など、私物もいくつか入った。

 ちなみに、受け取りは10時からとなっているが、キヤノンデジタルハウスが開いている時間ならいつ出向いてもいい。銀座なら19時まで開館している(名古屋と大阪は18時まで)。

 キヤノンデジタルハウス銀座を出たら、いよいよ試用が始まる。せっかくなので泊まりがけでの試用を考えていたが、借用期間(9月25日・26日)はフォトキナ2010の会期中なので、掲載作業のため自宅待機を強いられる期間。残念ながら長旅はNGだ。加えて土曜日は、旅行博2010の取材予定がある。というわけで、土曜日に旅行博、日曜日にプチ日帰り旅行というプランにしてみた。

 25日、スマイルフォトバッグIIに装備一式を入れて、旅行博2010を開催中の東京ビッグサイトに出発。ペンタ部に貼られた「16」のシールがちょっと恥ずかしいが、最新機種を手にしているのは気分が良い。キヤノンマーケティングジャパンが協賛する「鉄道写真家・広田泉氏が捉えた感動の海外鉄道旅行」セミナーを拝聴しつつ、慣れないEOS 60Dで掲載用のカットをぶっつけ本番で撮影した。

オリンパスとキヤノン、旅行博2010でイベントを開催

 使い込んだEOS 40Dと操作が変わっていることもあり、細かい操作に戸惑うことしきり。それでも、高感度ノイズの少なさとファインダーの品質向上をしっかり体験できた。また、こういうイベントでは、バリアングル液晶モニターが大活躍。前の観衆の頭越しにステージを撮ったり、腰だめにして展示物を撮ったりと、こみあう会場内でもスムーズに撮影できた。グリップもEOS 40Dより個人的にフィットするように感じるし、シャッター音も絞まった響き。いやがおうでも購入への気分が高まる。

 早々に帰宅して取材内容をアップ。EOS 60Dの操作で気になった点を説明書で確認しつつ、ドイツからの原稿を整理しながら1日目が終わった。

 2日目の日曜日は、以前から行きたかった千葉県館山市の北条海岸へ。日本の夕日100選に選ばれたという夕日の名所らしい。フォトキナ2010の記事を何本か公開してから自宅を出発、ようやく到着したものの、北条海岸は曇天、そのうち雨も降ってきた。意気消沈しながらスマイルフォトバッグIIと三脚をかつぎ、海岸や街中を散歩してみる。

あいにくの曇天模様にがっかり(800×533ピクセルにリサイズ)
EOS 60D / EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS / 800×600 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 18mm
三脚との組み合わせを試す。ライブビューとバリアングル液晶モニターの相性は良い
EF-S 18-135mm F3.5-5.6 ISで近接撮影(800×533ピクセルにリサイズ)
EOS 60D / EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS / 800×600 / 1/50秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO400 / WB:オート / 53mm
新機能「アートフィルター」のひとつ「ラフモノクロ」(800×533ピクセルにリサイズ)
EOS 60D / EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS / 800×600 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 18mm

 ここで試したかったのは、EOS 60Dと三脚との相性だ。実際に三脚を立てて使ってみると、EOS 40Dになかったバリアングル液晶モニターと電子水準器は、予想通り三脚利用時のライブビューで使いやすい。三脚を多用する自分にとって、気持が大きく傾く瞬間だった。

 また、液晶モニターの画質の良さにも感心した。EOS 40Dのように青味が強いわけでなく、ニュートラルで発色が自然。ライブビューの拡大表示画像も美しく、メニューの文字やアイコンも見やすい。強い日差しのもとで試用できなかったのが心残りだが、買い替えの動機として、十分なインパクトを覚えた。

 なお、写真家による実写を交えた詳細なEOS 60Dレポートを近日中に掲載する予定だ。

 帰宅途中、EOS 60Dとともに手渡されたアンケートに記入。返却時、本体とともに提出することになる。

 月曜日、キヤノンハウス銀座にEOS 60Dを無事返却した。担当者とともにバッグの中身を確認後、後ろ髪を引かれる思いでEOS 60Dと別れる。こうして、トライアルキャンペーンが終了した。

 デジタルカメラを購入する際、インターネットでどんなに大量の情報を集めても、本物を試用することで得られる実感にはかなわない。スペック競争が終わりつつあるいまこそ、個人それぞれのフィーリングに合致する、納得の1台に出会うのが難しくなってきているのかもしれない。

 そんな中、週末にかけて試用できる本プログラムは貴重な存在だ。手元のレンズとの組み合わせを試したり、現役機種とのシビアな比較も可能だろう。もちろん、手元にある時間が長いとアラも見えやすいことから、キヤノンにとって諸刃の剣になるかもしれないが、ぜひ次機種でも続けてほしいと感じた。

 なお、現在募集しているのは10月23日〜10月30日分。応募の締切は10月12日午前10時となっている。




(本誌:折本幸治)

2010/9/29 16:05