「オリンパス・ペンE-P2」が国内で正式発表

~海外未発表のシルバーボディも用意

 オリンパスは12日、レンズ交換式デジタルカメラ「オリンパス・ペンE-P2」を国内で正式に発表した。12月上旬に発売する。

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8を装着したE-P2。ブラック(左)とシルバー(右)

 価格はオープンプライス。店頭予想価格は標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」を同梱した「オリンパス・ペンE-P2レンズキット」が11万5,000円前後、薄型単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」が付属する「オリンパス・ペンE-P2パンケーキキット」が12万5,000円前後の見込み。E-P2のボディ単体は受注生産で12月に発売する。店頭予想価格は10万5,000円前後の見込み。

 海外で5日に発表したマイクロフォーサーズシステム規格対応のデジタルカメラ。今回、国内での発売が正式に決定した。本体色はE-P1で強い要望があったというブラックのほか、海外で設定の無かったシルバーもラインナップに加わる。なお、E-P2ではホワイトの設定はない。

 オリンパス・ペンE-P2レンズキットは、ブラックボディにはブラックカラーのレンズを、シルバーボディーにはシルバーカラーのレンズを同梱する。オリンパス・ペンE-P2パンケーキキットは、カメラボディの色にかかわらずシルバーカラーのレンズが付属する。

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8を装着したE-P2
レンズを外したところ
側面。装着レンズはM.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8

 E-P2は、同社が7月3日に発売した「E-P1」の上位モデルに当るカメラ。E-P1の販売は継続する。新たに、144万ドットの外付けEVF(電子ビューファインダー)などに対応するアクセサリーポートを設けたほか、主被写体を際だたせて撮影できるという新仕上り設定「i-FINISH」などを搭載した。撮像素子と画像処理エンジンはE-P1を継承している。

 外観はほぼE-P1を踏襲。外見上の大きな違いは、本体色とアクセサリポートの搭載に伴ってホットシュー部分がやや盛り上がっている点。本体サイズは120.5×35×70mm(幅×奥行き×高さ)、本体のみの重量は約335gでE-P1と同じ。ホットシュー部の盛り上がりは突起部扱いになっているため、外寸には反映されていない。シルバーモデルのグリップはE-P1では黒だったが、E-P2ではブラウンに変更している。外装はトップカバーとボトムカバーにアルミ合金を、両サイドや背面にはステンレスを用いた金属外装を引き継いだ。オプションの外部ストロボ「FL-14」が利用可能。内蔵ストロボの搭載は見送った。


背面。ブラック(左)とシルバー(右)
E-P2にM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6を装着したところ

外付けEVFはカラーフィルター式の144万ドットタイプ

 オプションの外付けEVF「VF-2」(3万1,500円)は、視野率100%で約144万ドット(800×600ピクセル、SVGA)の液晶パネルを採用。ホットシューに装着して使用する。フレームレートは60fps。カラーフィルター方式を採用しているため、RGBを時分割表示するフィールドシーケンシャル方式に見られる色ずれ(カラーブレイクアップ)が発生しない。高輝度、高コントラスト表示を謳う。倍率は、デジタル一眼レフカメラ「E-3」並という1.15倍。アイポイントは約18mm。視度調節機能を備えるほか、輝度と色温度を各15段階に設定可能。接眼部は上90度までチルトさせることができる。

VF-2。ボディカラーに合わせてブラック(左)とシルバー(右)を用意する

 VF-2では、接眼光学系には非球面レンズなどを採用。性能を上げることでディストーションを抑え、画面周辺まで高解像を実現したとしている。なお、VF-2ではデータ転送量が多くなるため、カメラとEVF間の接続にLVDS(Low Voltage Differential Signaling)技術を用い、不要輻射対策を講じている。カラーは本体に合わせてブラックとシルバーをラインナップする。サイズは29.4×46.3×48.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は32g。カメラのショルダーストラップに取付け可能な収納ポーチが付属する。

VF-2は上90度までチルトできるEVFと液晶モニターの表示切り替えボタンを装備する
E-P2に装着したところ
同背面
チルト時の動作
接眼部のリングを回すことで視度補正が行なえるVF-2の構造。非球面(赤部分)レンズなどを使い見やすさにこだわったという

 アクセサリーポート対応のアクセサリーとしてマイクセット「SEMA-1」も用意する。発売は2010年2月下旬で、価格は1万1,235円。マイクセットは、マイクアダプター「EMA-1」とステレオマイクロホンセット「ME51SW」からなる音声録音向けの製品。同梱の延長ケーブルでステレオマイクをカメラ本体から離して使用できるため、動画記録時などにレンズの駆動音やカメラの操作音を抑えた録音が可能。EMA-1には市販のステレオマイクも使用可能。なお、ME51SWはICレコーダー向けとして発売済。

EMA-1。ホットシューに装着して使用するマイクセットを装着したところ

 オリンパスでは、アクセサリーポート対応のアイテムを今後増やしていくとしている。

アートフィルターを2種類追加

 アートフィルターには、新たに「クロスプロセス」と「ジオラマ」を新設。従来からのアートフィルターと合わせて8種類になった。クロスプロセスは、ポジフィルムをネガフィルムの行程で現像した際に生じる発色を再現したもの。非現実的な雰囲気を表現できるという。

 一方のジオラマは、ピントの急激な変化に加えて発色とコントラストを強調することであたかも現実の世界をミニチュアのように表現できるというもの。高い場所から俯瞰で撮影するとより効果的としている。

 いずれのアートフィルターも動画撮影に適用可能。動画記録時のフレームレートはクロスプロセスが30fps。ジオラマは撮影自体は2fpsだが、再生は15fpsで行なうため、7.5倍の早送り動画になる。

アートフィルター「クロスプロセス」の作例(オリンパス提供)。効果無し(左)と効果有り(右)
アートフィルター「ジオラマ」の作例(オリンパス提供)。効果無し(左)と効果有り(右)

 新搭載の仕上り設定「i-FINISH」(海外名:i-Enhance)は、カメラが主被写体を自動で判断および分析することで、主要被写体だけが際だった仕上りになるというモード。画像全体に処理を施さないため、主被写体以外はナチュラルな仕上りになるとしている。モードダイヤルを[i-AUTO]に設定すると、自動的に仕上り設定がi-FINISHになる。

仕上り設定「i-FINISH」の作例(オリンパス提供)。左から、NATURAL、VIVID、i-FINISH
動体追尾AFの動作イメージ

 画面内を動き回る被写体にAFを合わせ続ける「動体追尾AF」もE-P2からの新機能。フレームから被写体が外れても、再度フレームインすれば追尾を再開する。動体追尾AFはシャッターボタンの半押しで動作する。

 動画機能では新たにマニュアルモードでの撮影が可能になった。これまではプログラムAEのみだったが、シャッター速度、絞り、ISO感度(ISO200~1600)を任意に設定できる。解像度やフレームレートなどはE-P1と同じで、最大1,280×720ピクセル、30fps(一部のアートフィルターを除く)。記録形式はAVI(Motion JPEG)。連続記録時間はHD記録で約7分、SD記録で約14分(一部のアートフィルターを除く)。音声形式はステレオリニアPCM(44.1kHz、16bit)。

 HDMI端子は、対応するテレビと接続した場合にテレビのリモコンからカメラの再生を操作できる「HDMIコントロール」にも新たにに対応した。

 なお、E-P1にファームウェアアップデートでE-P2の新機能を追加するかについては、技術的な部分と市場の反応を見ながら検討していきたいとしている。

電子水準器やライブコントロールを継承

 撮像素子は、有効1,230万画素の4/3型ハイスピードLiveMOSセンサー。最大記録解像度は4,032×3,024ピクセル。画像処理エンジンは「TruePic V」。感度はISO100~6400。シャッター速度換算で4段分のセンサーシフト式手ブレ補正機構「IS」や超音波による防塵フィルター(SSWF:スーパーソニックウェーブフィルター)も備える。

透視図内部レイアウト
撮像素子シャッターユニット

 液晶モニターは約23万ドットの3型。2軸の電子水準器も搭載。シャッター速度は60~1/4,000秒とバルブ。最高ストロボ同調速度は1/180秒。連写速度は約3コマ/秒。ライブビューを見ながら素早く設定を変更できる「ライブコントロール」も引き続き採用した。

 記録メディアはSDHC/SDメモリーカード。電源はE-P1と同じリチウムイオン充電池「BLS-1」。CIPA準拠の撮影可能枚数は約300枚(E-P1と同じ)。

手ブレ補正ユニット手ブレ補正ユニットの構造
SSWFSSWFの動作イメージ
液晶モニターは3型。視野角は上下左右176度画像処理エンジンは「TruePic V」

アクセサリー

 E-P2にあわせて用意するケースなどのアクセサリーは以下の通り。

・本革ボディジャケット&レンズケースセット「CS-12BLMBLK」(ブラック)

本革ボディジャケット&レンズケースセット「CS-12BLMBLK」、本革小物ケース「CS-16BLK」、本革ショルダーストラップ「CSS-S111LBLK」の使用例

 ボディージャケットとレンズジャケットを組み合わせた、いわゆる速写ケース。発売は12月中旬で、価格は9,450円。

 カメラを収納することで、傷や衝撃から守ることが可能。M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6を装着したE-P2およびE-P1を収納できる。


・本革小物ケース「CS-16BLK」(ブラック)

本革小物ケース「CS-16BLK」

 EVFや光学ビューファインダー「VF-1」のほか、レンズキャップなどの小物を収納できる本革製ケース。発売は12月中旬で価格は4,410円。

 ストラップに通して持ち運びできるため、アクセサリーの紛失などを防げる。素材をCS-12BLMBLKと同じにしており、セットでの使用も勧めている。


・本革ショルダーストラップ「CSS-S111LBLK」(ブラック)

 CS-12BLMBLKやCS-16BLKとの組み合わせを想定したショルダーストラップ。発売は12月中旬で、価格は4,410円。CS-12BLMBLKなどと同様の素材を使用した。

・本革ハンドストラップ「CSS-S110LSBK」(ブラック)、「同WT」(ホワイト)、「同BR」(ブラウン)

 E-P2およびE-P1に取付け可能なハンドストラップ。発売は12月中旬で価格は3,570円。

 カメラの落下を防ぐことができるほか、ショルダーストラップに比べてかさばらずに使用できるとしている。本革ボディジャケット「CS-10B」シリーズと同じ素材を使用した。長さは本体革部分が約20cm、先端ヒモ部分が14.5cm。

本革ハンドストラップ「CSS-S110LSBK」。左からブラック、ホワイト、ブラウン

・本革ボディージャケット「CS-10BBK」(ブラック)

 本体の傷つきやすい部分を保護する本革製ボディージャケット。発売は12月上旬で、価格は5,670円。E-P1にあわせて製品化したボディージャケットで。E-P2のボディーカラーであるブラックとシルバーの両方に合うというブラックを追加した。E-P1でも使用できる。装着した状態で液晶モニターを見ながらの撮影が可能。

本革ボディージャケット「CS-10BBK」本革ショルダーストラップ「CSS-S109LLBK」と組み合わせた使用例

・本革ショルダーストラップ「CSS-S109LLBK」(ブラック)

本革ショルダーストラップ「CSS-S109LLBK」

 従来からの本革ショルダーストラップのブラックバージョン。発売は12月上旬で、価格は5,040円。長さ調節が可能で、斜めがけにも対応する。E-P1でも使用可能。


・アルミケース「CBG-3SLV」(シルバー)

アルミケース「CBG-3SLV」

 アルミ製のカメラケース。発売は12月上旬で、価格は1万2,600円。

 内部には、自在に収納部を構築できるブロック状クッションを採用。収納物に合わせたレイアウトができる。例として、E-P2、レンズ2本、ストロボ「FL-14」、VF-2、充電器「BCS-1」を収めることが可能。ペンFのボディと同じ“F”の花文字をプリントしたプレートが付く。サイズは31.5×9.4×21.5cm、重量は1.36kg。




(本誌:武石修)

2009/11/12 11:08