カメラグランプリ2009授賞式が開催
大賞の受賞楯を受け取るキヤノン代表取締役社長の内田恒二氏 |
カメラ記者クラブ カメラグランプリ実行委員会は1日、カメラグランプリ2009の授賞式を都内で開催した。受賞各社の代表が受賞楯を受け取ったほか、開発に携わったエンジニアが開発の経緯などを話した。
同賞の授賞式は、例年写真の日である6月1日に実施している。既報の通り大賞をキヤノンEOS 5D Mark II、あなたが選ぶベストカメラ大賞をニコンD700、カメラ記者クラブ賞をパナソニックのLUMIX DMC-G1とカシオHIGH SPEED EXILIM EX-FC100がそれぞれ受賞した。
■キヤノンは5年ぶり8回目の大賞受賞
大賞の受賞楯を受け取ったキヤノン代表取締役社長の内田恒二氏は、「前モデルのEOS 5Dに寄せられた多くの要望をつぎ込み、プロやハイアマチュアに満足してもらえるカメラになった。フルHD動画記録機能の搭載もユーザーからの強い要望があったたため。(デジタル一眼レフカメラが評価されたのは)交換レンズシステムの魅力が現れた結果。今年は、キヤノンの一眼レフカメラ誕生50周年だから、EOS 5D Mark IIの受賞と併せて大変うれしい」と受賞の喜びを語った。
キヤノン代表取締役社長の内田恒二氏 | 花束を受け取るキヤノンイメージコミュニケーション事業本部カメラ事業部副事業部長兼カメラ開発センター所長の新堀謙一氏 |
キヤノンの出席者 | EOS 5D Mark II |
EOS 5D Mark IIの開発に携わったキヤノンイメージコミュニケーション事業本部カメラ事業部副事業部長兼カメラ開発センター所長の新堀謙一氏は、「35mmフルサイズセンサーによる低ノイズなフルHD動画撮影機能の搭載で、新たな映像文化を創ることができたのではないか」と動画機能に触れる一方で、「デジタル一眼レフカメラの本来の目的である静止画との両立ができたと考えている」と話した。開発では、各技術分野ごとに新規のアプローチが必要だったため「リスクの高い開発だった」と振り返った。製品として1つにまとめるために、技術的な限界を見極めるのが苦労した点だったとのこと。「今後も、感動を与えるカメラを作っていきたい」と締めくくった。
■あなたが選ぶベストカメラ大賞
受賞楯を受け取るニコン執行役員映像カンパニー開発本部長の風見一之氏 |
ニコンを代表して受賞楯を受け取ったニコン執行役員映像カンパニー開発本部長の風見一之氏は、「D700は、D3の高画質と性能をより多くの人に求めやすい価格で提供したいと開発した。ユーザーに選ばれたのは、開発の意図がしっかり理解してもらえたためと思う。特にハイアマチュアを中心とするユーザーに支持して頂いた結果」と述べた。
ニコン執行役員映像カンパニー開発本部長の風見一之氏 | 花束を受け取るニコン映像カンパニー開発本部第一設計部第三設計課マネージャーの原正治氏 |
ニコンの出席者 | D700 |
D700の開発に携わったニコン映像カンパニー開発本部第一設計部第三設計課マネージャーの原正治氏は、「D700はベストバランスのカメラということで好評だが、バランスを実現するためにさまざまなコスト削減を行なった。D700クラスのカメラだと、海外に生産を委ねることはできなかったが、(それ以外の部分での)コストダウンの努力が実った結果」とした。
■カメラ記者クラブ賞
受賞楯を受け取るパナソニックAVCネットワークス社上席副社長 ネットワーク事業グループ長の吉田守氏 |
受賞楯を受け取ったパナソニックAVCネットワークス社上席副社長 ネットワーク事業グループ長の吉田守氏は、「パナソニックはデジタルカメラで最後発、デジタル一眼カメラの歴史も浅いが、使いやすさにこだわった製品で、新しいユーザーを獲得したいと事業を進めてきた。LUMIXは崇高なミッションを持ってやっているが、今後もカメラ業界に寄与できるようにしていきたい」と挨拶した。
パナソニックAVCネットワークス社上席副社長 ネットワーク事業グループ長の吉田守氏 | 花束を受け取るパナソニックDSCビジネスユニット長の松本時和氏 |
パナソニックの出席者 | LUMIX DMC-G1 |
LUMIX DMC-G1の開発に携わったパナソニックDSCビジネスユニット長の松本時和氏は、「マイクロフォーサーズ規格と一緒に作ってきた。キーデバイスを徹底的に見直している。特にファインダーとAFにはこだわった。AFは位相差方式を凌駕するものを目指した」と述べた。最初の試作機ができあがり、ファインダーとAFを見て「これはいけるぞ」と確信を持ったという。またDMC-G1には、マウントアダプターを使用して種々のレンズを使用する楽しみも開発の意図としてあったという。
受賞楯を受け取ったカシオ常務取締役の高島進氏 |
同じく、カメラ記者クラブ賞の受賞楯を受け取ったカシオ常務取締役の高島進氏は、「ハイスピード記録をコンパクトデジタルカメラの中で実現した。多くの人がいろいろな感動を記録できるようになった。カシオのチャレンジ精神、ものづくり精神を評価していただいたと考えている。今後、常識にとらわれない新しい製品で、業界の発展に寄与したい」と話した。
カシオ常務取締役の高島進氏 | 花束を受け取るカシオQV事業部開発統括部長の中山仁氏 |
カシオの出席者 | HIGH SPEED EXILIM EX-FC100 |
EX-FC100の開発に携わったカシオQV事業部開発統括部長の中山仁氏は、「ハイスピードデジタルカメラとしてはEX-F1、EX-FH20に続く第3弾。見えないものが見られるとあって、マニアックな機能になりがちだが、数年後にはすべてのデジタルカメラに入る機能と考えて開発してきた。一般のユーザーにいかに簡単に使ってもらえるか、ハイスピード撮影した画像の選択の手間や、シャッターを押すタイミングなど工夫した。映像がゆっくり見られるスローモーションビューも工夫の1つ。数年後に、エポックメーキングなカメラだったと言われたい」とまとめた。
■「次回は期待を裏切るいい製品を」
秋山薫氏(写真ライフ) |
授賞式の冒頭、カメラグランプリ実行委員会幹事の秋山薫氏(写真ライフ)は、「いずれのカメラも、受賞にふさわしい先進性がある。個人的に所有しても、自慢できるカメラ」と評した。
写真家の木村恵一氏 |
また、カメラグランプリ選考委員を代表して写真家の木村恵一氏が挨拶し、「経済は上を向いてきたというのがメディアで定着してきた。春から秋にかけて景気はいい雰囲気になるとおもう。(カメラグランプリをきっかけに)業界がより盛り上がっていって欲しい。次回は、いい意味で我々を裏切ってくれるような製品を期待している」と話した。
来場者に配布したカメラグランプリ2009の手ぬぐいを掲げる柴田誠氏(フォトテクニックデジタル)。 |
最後にカメラ記者クラブ代表幹事の柴田誠氏(フォトテクニックデジタル)が、「カメラ大国である日本で開催している権威ある賞として、まだまだ存在感が足りない。もっとメジャーにしていきたい」とアピールした。
2009/6/1 19:59