NEWアートフィルター「パートカラー」と「ヴィンテージ」を楽しもう!

オリンパスの新カメラPEN Lite E-PL7で試しました

OLYMPUS PEN Lite E-PL7は、9月20日発売の新製品。写真の標準ズームレンズが付属するレンズキットは、8万1,000円前後です。

オリンパスからこの秋に発売された「OLYMPUS PEN Lite E-PL7」は、タッチパネル&可動式モニターを備えた小型・軽量なカメラ。いつでも気軽に持ち歩いて写真を楽しむことができます。

可動式モニターは下方向に180度回転するので、流行の自分撮りも快適。さらにWi-Fiを内蔵しているので、スマホのアプリ「OLYMPUS Image Share(OI.Share)」を使い、写真のシェアや、スマホをリモコン代わりにした便利な撮影ができちゃいます。

液晶モニターがこうやって下向きに開くのがE-PL7の特徴。自分撮りがしやすいのです。

今回ご紹介するのは、この新機種に搭載された新しいアートフィルターです。

もうすっかりお馴染みになったオリンパスのアートフィルターですが、同じ被写体を明るくポップに、ふんわりと優しく、シックなモノクロに、まるで絵画のようにと、様々な表現ができるとても楽しい機能です。

E-PL7から新しく仲間入りしたアートフィルターが、「ヴィンテージ」「パートカラー」のふたつになります。

どちらにも3タイプの効果の種類があり、さらに「アートエフェクト」をプラスすることができるので、その組み合わせはとても多彩です。詳しく見ていきましょう。

新アートフィルター「パートカラー」基本編 〜3つのタイプの違いを知ろう〜

パートカラーは、画面内の特定の色だけをカラーで描き出し、それ以外の色をモノトーンにするフィルターです。カラーで表現した部分だけを印象的にすることができます。

パートカラーの設定画面。タイプI〜IIIの設定と、さらに効果をプラスする「アートエフェクト」もここから設定できます

他のデジカメでも見かける機能ですが、このE-PL7のパートカラーは少し変わっています。残したい色をあらかじめ選ぶのではなく、「カラーリング」という手法を使うのです。

使い方は、ライブビュー画面を見ながらコントロールダイヤルをグルグルと回すだけ。反映された効果を見ながら、中間色を含む18色の中から残す色を選ぶことができます。

この方法ですと、単に「赤」「青」といった原色を残せるだけでなく、普段は意識していない中間的な色合いも残せます。普段意識していない色がモノクロの中で際立って表現されるのは新鮮です。

なにより、画面を見ながらコントロールダイヤルをグルグル回すのがとても楽しいんです!残す色によって、イメージがさまざまに変化する様子を楽しめます。

コントロールダイヤルを回すことで残す色を選択することができます。直感的に操作できるので写真を撮ることだけに集中できる!

また、このパートカラーには3つのタイプがあります。タイプIは選択した色を中心として自然なグラデーションで色を残します。スナップやポートレート、被写体を優しく表現したいときにオススメです。

アートフィルター:パートカラー(タイプI)
夜の街歩き。ふと長く伸びた道の先を見るとかわいらしい「いらっしゃいませ」が。タイプIで黄色系の色を選択して照明のグラデーションを強調しました

タイプIIは、選択した色以外の色も少し残す設定です。他社のデジタルカメラのパートカラーには見られないタイプでもあり、使っていて一番意外性を感じたのがこのタイプです。

アートフィルター:パートカラー(タイプII)
実際の花の色は鮮やかなオレンジでした。シベの黄色を強調したくてグルグルしているうちに面白い色合いに。露出を+0.7に補正して、色を残す部分を大きくしました

どのタイプでも同じですが、カラーリングをグルグル回して色味を変化させるのと同時に、露出補正も調節してみましょう。というのも露出補正で明るくすると、パートカラーで残る色が増えやすくなります。カラーリングと露出補正、このふたつをいろいろと変えてみると面白いでしょう。

最後のタイプIIIは選択した色のみを残す設定です。ひとつの色を強調したいときに使います。同じ被写体でしたら、今までのどのタイプよりもモノクロに近くなります。

この設定なら、赤系を残すとドラマティックな効果に。こちらも露出補正を調節することで、効果がかなり変わります。-1〜+1EVくらいを基準に遊んでみると楽しいです。

アートフィルター:パートカラー(タイプIII)
タイプIIIはカラフルな被写体に使うほうが断然面白いです! バースデーケーキの柄のキャンディの色味を残すために露出補正で+0.7EVにしました

新アートフィルター「パートカラー」応用編 〜「アートエフェクト」をプラスしてみよう〜

さて次は、パートカラーに「アートエフェクト」を追加してみましょう!

アートフィルターの選択画面から簡単に効果の追加をすることができますよ。

アートフィルター:パートカラー(タイプII+フレーム)
ベリーの赤が強調されるのと同時にミントの葉の緑も色味が残りました。そこにフレーム効果をプラスしてポップなイメージに
アートフィルター:パートカラー(ホワイトエッジ)
白黒の被写体も、グリーン系を残すことでプールの水の色が変化してカラーとはまた違った印象に。ホワイトエッジ効果できつくなりがちなモノトーンも優しいイメージに
アートフィルター:パートカラー+ソフトフォーカス
茶色い壁に描かれた絵をかわいらしく見せたかったのでオレンジっぽく温かい色味が残るようにカラーリングを回し、ふんわりとソフトフォーカスをかけました。現実的な壁画もほんの少しの工夫でかわいいアートに!
アートフィルター:パートカラー+上下ぼかし
赤系を選択してシックなモノトーン画像にし、上下ぼかし効果でジオラマのように仕上げました

新アートフィルター「ヴィンテージ」基本編 〜3つのタイプの違いを知ろう〜

もうひとつの新アートフィルター「ヴィンテージ」は、フィルムプリントの経年劣化のような変色を楽しめるフィルターです。リアルな日常もこのフィルターをかけることによって、ノスタルジックに変化させることができます。

ヴィンテージの設定画面。タイプI〜IIIの設定と、さらに効果をプラスする「アートエフェクト」もここから設定できます

このヴィンテージも、パートカラーと同ように3種類の効果のタイプから選べます。

タイプIは、古くなった写真プリント風。身近な被写体も簡単に“外国風”にしてくれます。

アートフィルター:ヴィンテージ(タイプI)
光りのバランスの妙を味わうタイプなので、逆光や明暗のある被写体で使用すると効果がわかりやすいでしょう。
アートフィルター:ヴィンテージ(タイプI)
身近な動物もヴィンテージ調にするとムードのある一枚に!

一方タイプIIは、優しい色あせの退色効果で懐かしい作風に仕上げてくれます。全体的に柔らかいイメージになり、ノスタルジック度合いが一番高いタイプです。

テーブルフォトや、女性や子どものポートレートに使用すると、ふんわりとかわいらしいイメージになるのでオススメです。

アートフィルター:ヴィンテージ(タイプII)
実際はモンブランのクリームはもっと鮮やかなオレンジ色ですが、退色効果でクリーム色になっています。露出補正をプラス0.7して明るさを増してさらにほんわか仕上げてみました

タイプIIIはこれまでの効果よりも大人っぽい、オールドプリントのイメージ。しっとりと落ち着いた上品なトーンに仕上げてくれます。

和風の懐かしい街並みや、逆に金属的な被写体のムードを高めてくれるタイプです。

アートフィルター:ヴィンテージ(タイプII)
日本的な茶屋街の夕暮れ、露出補正をマイナス1にしてさらにシックに演出しました。車のヘッドライトが路地を照らしている所を撮影しました

新アートフィルター「ヴィンテージ」応用編 〜「アートエフェクト」をプラスしてみよう〜

それではヴィンテージにも「アートエフェクト」を追加してみましょう!

パートカラーと同じく、アートフィルターの選択画面から効果の追加をすることができます。

アートフィルター:ヴィンテージ(タイプI+ホワイトエッジ)
アンティークなフラワーベースをタイプIでヴィンテージ調に。さらに四隅がふんわりとボケるホワイトエッジ効果をプラスすることによって、光を感じる作風にしました
アートフィルター:ヴィンテージ(タイプI+左右シェード)
自分の影をタイプIで撮影すると、街灯の色味が混ざって赤っぽい色合いに。シェード効果を加えて上下に陰影の帯を入れ、縦長の写真を強調しています
アートフィルター:タイプII+ソフトフォーカス
カラフルなキャンディーをタイプIIで優しく彩り、露出を+0.3EVだけ補正して明るくふんわりと。そこにソフトフォーカス効果をプラス。とことん優しい風合いを追求しました
アートフィルター:(タイプIII+ピンホール)
湖面に浮かぶボートを懐かしくも硬調に描くために、タイプIIIを選択。ピンホール効果を加えて、覗き見しているようなイメージに

便利な機能「アートフィルターブラケット」

紹介したふたつのアートフィルター以外にも、E-PL7にはさまざまなアートフィルターが搭載されています。また、アートフィルターなしの作品を撮りたいときもあるでしょう。

そんなときに便利なのが、アートフィルターブラケットです。この機能を使うと、1回の撮影で複数のアートフィルターがかかった写真をまとめて作ってくれます。一度の撮影でいろんな作風が得られる欲張り機能なんです!

アートフィルターなし
アートフィルター:パートカラー(タイプI)
アートフィルター:ヴィンテージ(タイプI)

迷うことも写真の醍醐味!

いざ使おうとすると沢山ありすぎて選べない……なんてこともあるアートフィルターですが、そんなときは「今日撮るアートフィルター」をひとつかふたつに絞ってみてください。

ひとつのアートフィルターに数種類のタイプがあるので、自分好みの組み合わせを見つけるためにも、アートフィルターを絞ってみるのがおすすめです。

逆に、いつも同じ組み合わせの人は、日替わりでアートフィルターを変えてじっくりお付き合いしてみる……というのも、新たな発見があるかも知れません。

そして何よりも、使っていて楽しい!これが一番大事ですね。

今回、私はこの2種類のアートフィルターとじっくりお付き合いさせていただきましたが、パートカラーのタイプIIで思わぬ色が表現されることが面白く、コントロールリングを回すのがとても楽しかったです。

また、ふんわりとした作風が簡単に表現できるヴィンテージのタイプIIに、とてもハマってしまいました。

これらにエフェクトをプラスして迷いだすと、時間がいくらあっても足りません。でも、こうやって楽しんで迷えることも、写真の醍醐味ですね。

写真は出来上がりだけじゃなくて、撮るときにこそ楽しんでくださいね!

撮影機材:OLYMPUS PEN Lite E-PL7、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ

制作協力:オリンパスイメージング株式会社

(2014/10/6)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com