カメラバカにつける薬 in デジカメ Watch

旭はまたのぼる(その1)

これまでのお話

フィルムカメラのスタンダードといえばライカ判たる135フィルム(35mmフィルム)です。デジタルカメラ黎明期、135フィルムと同等のサイズのイメージセンサーは非常に高価で、代わりにデジタル一眼レフカメラでは、APS-Cフォーマット相当のイメージセンサーを採用する製品が主流となりました。ただやはり勝手が違いますから、135フォーマットが欲しかったわけです。フルサイズ機、という呼称は小さなイメージセンサーの物足りなさに対する裏返しだったのでしょう。キヤノンが「買える価格のフルサイズ」を出したこと、その大きいイメージセンサーから産まれる画質のよさ、フィルム時代のレンズが「その焦点距離の意味する画角で使えること」などで、庶民のフルサイズ願望はピークに。とうぜん、ペンタックスユーザーにも待望論はありました。

思えばペンタックスは2000年のフォトキナでフルサイズセンサーを搭載したカメラを参考出展していましたし、2010年にはフルサイズを超える「買える価格の中判」、645Dも発売しました。しかしフルサイズ機が出る気配は一向にありませんでした。漆塗りの645Dや後継機の645Zが出ましたが、フルサイズ機は出ません。

その間、ニコンが衝撃的な高画素機、D800を発売したり、ソニーがミラーレスカメラのα7を発売したりしました。フルサイズ機が目移りするほど選べる時代になったいま、ペンタックスからようやく登場したフルサイズ機が「K-1」だったのです。次回はK-1のK-1たる所以を考えてみたいと思います。

※本コンテンツはフィクションであり、実在の製品・団体・人物・地名とは関係ありません。

飯田ともき

2011年に漫画サークル「ていこくらんち」をはじめる。2015年に発表した「カメラバカにつける薬」が注目を集め、人生に起死回生のチャンスを得ることとなる。好きなLXはゴールド。