トピック

動画・静止画に「同じ光」を――Profotoが示すハイブリッドワークフローの新基準

LEDライト「L600」が変える少人数制作の現場

Profotoといえば、かねてよりそのストロボ製品の品質と信頼性の高さから、グローバルで多くのファンを持つライトシェーピングカンパニーだ。そんなProfotoが今、ストロボではなく撮影用LEDライトの市場にプロダクトを投入しているのをご存じだろうか。このページでは、今年1月に登場したLEDライト「L600シリーズ」を紹介したい。

まず初めに伝えておきたいのは、この「L600シリーズ」が、 1人または少人数体制で静止画と動画を同時に制作する「ハイブリッドクリエイター」 をメインターゲットに据えた製品であるということだ。

今回は、カメラマンの上田晃司さんが実際にワンマンでのハイブリッド撮影をこなす現場に密着。短時間で静止画と動画を、それも複数パターンを撮影するという状況の中で製品のポテンシャルを検証するとともに、スペック表の数字だけでは見えてこない、プロの感覚に響く「現場のリアルな感想」も合わせてお届けする。

撮影を担当した上田晃司さんと「L600C」

求められる「照明の共通化」

なぜ今、Profotoがこの「L600シリーズ」を投入したのか。

昨今、広告などのプロモーション撮影において、これまでは完全に分業されていた「静止画」と「動画」の境界線が曖昧になっている状況があるという。

その背景にあるのは、SNSの普及に伴うオーガニックコンテンツの需要拡大だ。現代のクリエイターには、商業レベルのクオリティを維持しながら、同時にSNSへタイムリーに供給するためのスピード感も求められる。そのため、現場では1人、あるいは少人数体制で、写真と動画を同時に撮影する「ハイブリッド制作」が今後のスタンダードになりつつあるというのだ。

しかし、従来の現場では「動画にはビデオライト、スチルにはストロボ」と、それぞれ別の機材をセッティングするのが定石だった。これは限られた時間と人員で動くハイブリッドクリエイターにとって、機材の切り替えの手間やワークフローの複雑化というシビアな課題に直結している。

こうした「写真と動画で色がズレる」「セッティング変更に時間がかかる」という課題に対し、Profotoが導き出した答えが「照明の共通化」だ。静止画と動画の双方に妥協しない“光のクオリティ”を提供しながら、1台でワークフローを劇的に効率化する。それこそが、今回紹介する「L600シリーズ」の立ち位置だ。

L600D

デイライト、フルカラーの2モデル構成

「L600シリーズ」は、クリエイターの表現スタイルに合わせて選べる2つのモデルで構成されている。

5,600Kのデイライト光を出力し、正確かつ自然な色再現(TLCI 99)を誇る「L600D」(47万9,600円)。そして、2,000Kから15,000Kという超広域CCTレンジを備え、1,600万色のフルカラーコントロールや300種類以上のデジタルジェル(カラーフィルター)・エフェクトプリセットによる自由な色づくりを可能にした「L600C」(53万3,280円)だ。

ワンマン運用のハイブリッド撮影において、この2モデルの特長は、公式ページでも掲げられている3つのアプローチに集約される。

・より速く:バラスト不要の一体型設計

・より軽く:高い機動性を追求したクラス最軽量設計

・より明るく:卓越した明るさと、妥協のない光の品質

より速く:バラスト不要の一体型設計

独自の液冷技術「HydroCTech™」をランプヘッドに内蔵。従来の同クラス製品に不可欠だった重くかさばる外部バラスト(電源部)や、コントロールユニットを不要にした。

機材周りがすっきりし、電源ケーブル1本を繋ぐだけで即座に起動。セットアップの時間や設置作業の手間を大幅に削減し、現場での迅速な撮影を可能にする。

ランプヘッドと電源ケーブル1本だけで、すぐに起動できる手軽さが特徴
スタンドにセッティングした様子。バラストがないためすっきりとしており、セッティングの微調整もしやすい

より軽く:高い機動性を追求したクラス最軽量設計

液冷システム「HydroCTech™」がもたらす高い冷却効率により、600Wという高出力クラスでありながら、本体重量はL600Dが5.9kg、L600Cが6.1kgという軽さを実現している。

堅牢さと軽さを両立した本体は、フットワーク軽く持ち出すことが可能。アシスタントのいないワンマン体制の現場でも、体力的・心理的な負担を大きく軽減してくれる高い携帯性を備えている。

本体には側面と天面にスリットを設けており、放熱性も高い

より明るく:卓越した明るさと、妥協のない光の品質

革新的な「Profoto Core」ライトエンジンを搭載し、余裕のある光量と高い色再現性を両立。さらに、0.1%~100%のフリッカーフリー&ステップレス調光(16-bit)に対応し、シームレスで精密な光の制御が行える。

そして、100種類以上のProfotoライトシェーピングツール(アクセサリー)に対応しており、既存のProfotoユーザーであれば、使い慣れた光の質をそのまま写真と映像の双方に活用できる。

Profotoマウントを採用しており、対応アクセサリーの着脱もスムーズ
操作部は従来のProfoto製品と同様のデザイン。画像はカラータイプの「L600C」で、ジェルモードのUIを表示したところ

ソロ~少人数現場の最適解

Profotoのシネマラインには、さらに強力な先行機が存在する。映画のセットなど大規模スタジオに対応する1,600Wの超高出力機「L1600D」や、2,000Wのフルカラー・ソフトLEDパネル「ProPanel 3x2」だ。

これらは照明チームで扱う最高峰の機材だが、本体重量は前者が約14kg、後者が28.5kgと、1人で軽快に扱うことが難しいサイズ感でもある。

これらモンスターマシンの存在があるからこそ、今回の「L600シリーズ」の絶妙なパッケージングが際立つ。

L600シリーズは、上位機種譲りの「バラスト不要の一体型設計」や「卓越した光の品質」を完全に継承しながら、軽快に扱える約6kgにまでダウンサイジングされている。最高峰のクオリティを犠牲にせず、ワンマンでの機動力を極限まで高める。この明確なポジショニングこそが、「L600シリーズ」が現代のハイブリッドクリエイターにとって最も現実的な「正解」とされる理由だ。

L1600D
ProPanel 3x2

【実践】L600シリーズで描く、6つのシューティングパターン

ここからは、実際にカメラマンの上田晃司さんが「L600D」「L600C」を使ったモデル撮影の現場に密着。

今回のミッションは、タイトな時間の中で動画を撮影し、その直後に同一のライティングのまま静止画撮影へと移行するハイブリッドワークフローの検証だ。

結論から先に言うと、およそ3時間半の間に6パターンのセットで、静止画と動画の撮影を実施できた。それをワンマンで実現した、と聞くとそのスピード感が伝わるだろうか。

撮影には「L600D」と「L600C」を1台ずつと、さらにProfotoライトシェーピングツールを組み合わせて使用した。

使用機材

・L600D×1

・L600C×1

・ソフトボックス オクタ型 シルバー×1

・ソフトボックス オクタ型 ホワイト×1

・アンブレラ ディープ ホワイト L×1

・マグナムリフレクター ホワイト×1

・グリッド 10° 337 mm×1

・ホワイトグリッド 10˚ 337mm×1

・バーンドア234mmキット×1

・スモールスポット×1

今回の撮影に使用したアクセサリー

パターン1

まずは「L600D」の1灯ライティングから。「L600D」に「アンブレラ ディープ ホワイト L」を装着して柔らかい光をモデルにあてる。発光した瞬間から、光の質の高さに上田さんは感心した様子だった。

動画の撮影を終えた後、三脚を外してすぐに静止画の撮影に移行。その間のセッティングチェンジはなし。

動画撮影状況。スライダーを装着した三脚で実施
静止画撮影状況。三脚を外したのみで、すぐに静止画の撮影に移行した。
「アンブレラ ディープ ホワイト L」の装着状況。ライトの本体にアンブレラホルダーを備えているので、「挿すだけ」で利用できる
静止画作例

パターン2

パターン1で試用したキーライトに、ホワイトグリッドを装着した「L600C」をタッチライトとして追加した2灯ライティング。キーライトにした「L600D」の光にカメラ側の色温度を合わせて、タッチライト側の色調整により、温かみのある印象に整えた。

静止画作例

パターン3

キーライトの「L600D」に、「Profoto ソフトボックス オクタ型 シルバー」を組み合わせてモデルに向けてライティング。前ボケとして使用した観葉植物に、グリッドを装着した「L600C」の光を照射した。

Profoto ソフトボックス オクタ型 シルバー
静止画作例

パターン4

続いてはモデルをソファに座らせたシチュエーション。キーライトにはグリッドを装着して照射範囲を狭めた「L600D」をセッティング。ソファを含めた背景には、「スモールスポット」を装着した「L600C」でライティングした。

「スモールスポット」は光のコントロールの精度を高められるアクセサリーで、「L600C」はジェルモードによるカラーライトを発光している。

スモールスポット
静止画作例

パターン5

パターン5と似たシチュエーションだが、今度はキーライトの「L600D」にバーンドアを組み合わせた。タッチライトとなる「L600C」は、オレンジ色のカラーにして発光。また、演出としてスモークを炊いている。

バーンドアの装着状況
静止画作例

パターン6

最後は「ソフトボックス オクタ型 ホワイト 」を組み合わせた「L600D」をキーライトに、「L600C」のジェルモードで青い光をタッチライトとして照射したパターン。モデルの髪から背中にかけて当たっている青い光をみると、それがいかにきれいな光であるかがよくわかる。

静止画作例

上田晃司氏さんが体感した「L600シリーズ」の実力

6パターンにおよぶタイトな撮影を、ワンマンで終えたカメラマンの上田晃司さん。L600シリーズを実際の現場で使ったリアルな感想から、プロの機材としての真価を紐解いていく。

各パターンの作例を編集でつないだ動画

表現に100%集中できる堅牢性と操作性

上田さんが最も高く評価したのは、現場で余計なストレスを溜めさせない高い堅牢性と操作性だ。安価なLEDライトにありがちなプラスチックのチープさが一切なく、プロダクトとしての品質が高い。操作メニューもシンプルで、既存のProfotoユーザーなら説明書なしで即座に現場へ投入できるし、すでに所有しているアクセサリーをそのまま活用できるのも強みとなるだろう。

特に作り込みの良さを実感したのが、120cmクラスの大型ソフトボックスを装着した瞬間だ。他社製品ではロックを解除した時点で、重みにより灯体がお辞儀をしてしまうような場面でも、「L600シリーズ」は手を離した位置でピタッと確実に止まる。テンポよく撮影を進めたいワンマン現場において、こうした「機材の挙動に気を遣わなくていい」という物理的な信頼性は、仕様表の数字にはあらわれない、大きなメリットをもたらす。

本体右側面に備えたロックを解除して手を放しても、灯体が傾かない。事故の防止にも期待できる

「バラストレス×水冷」がもたらすタイムパフォーマンス

1人体制の現場において「軽さとシンプルさ」は正義。従来の同クラスLEDに不可欠だった重くかさばる外部バラスト(電源部)を排除したオールインワン設計により、コンセントケーブル1本で即座に起動する。ライト位置の微調整もワンオペならではの身軽さでサッと行えるのが魅力だ。

また、液冷システム「HydroCTech™」による静音性と熱対策もコストに見合う価値があると上田さんは語る。ファン音は耳を澄ましても聞こえないほど静かで、インタビュー同録でも十分に活用できるだろう。

しかも使用直後でも素手でヘッドに触れるほど熱を持たないため、冷めるのを待つロスタイムがなく即座に撤収できる。このスピード感は、限られた時間で動くクリエイターにとっても武器となるはずだ。

L600D

価格に見合う「プロの道具」としての価値

安価なLEDライトの選択肢は数多くあるが、上田さんはL600を実際に現場で使うことで、本機の価格設定に深く納得したという。現場での不具合やセッティングの手間は、プロにとって大きな機会損失に直結するからだ。

安価な製品にはない圧倒的なタフさ、優れた操作性、そしてワークフローの効率化。それらをトータルで手に入れるための投資と考えれば、「決して高くはない、むしろ大いに価値がある選択だ」というのがL600シリーズに対する評価となった。

L600C

まとめ

SNSと商業撮影の垣根がなくなり、少人数での効率的な制作が求められる現代。機材選びの基準は、単なるスペックの比較だけではなく、「いかに表現の時間を生み出すか」という部分も重要なポイントとなりそうだ。

今回、上田晃司さんが現場で実証したように、L600シリーズは、動画と静止画のシームレスな切り替えによる照明の共通化、バラストレスと水冷システムがもたらす作業の高速化、そしてプロの要求に応える堅牢性と信頼性を、高いレベルで融合させている。

機材の重さや切り替えの手間というノイズから解放され、目の前の被写体と光の表現に100%集中できる。1分1秒を争う現場でクオリティを追求したいすべての表現者にとって、L600シリーズは価格以上の未来を切り拓く相棒となってくれるはずだ。

撮影:上田晃司
モデル:長瀬礼華(サトルジャパン・プロモーション)
ヘアメイク:Luna Yoshikawa

本誌:宮本義朗