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直感的な操作で細部まで微補正できる現像ソフト「DxO PhotoLab 9」

AIマスクが追加された最新版を解説【クーポンコードあり】

DxO PhotoLabがバージョンアップして9になった。革新的なAIマスクは、独自のU-Pointテクノロジーと融合し、これまで以上に直感的で正確な部分調整を実現。その使い方を紹介しよう。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年11月号』より転載・加筆したものです。

DxOの独自テクノロジーによる高度な調整が魅力

DxO PhotoLab 9

新規価格:29,999円
アップグレード版:14,999円
対応OS:macOS 14.7(Sonoma)、Windows 10(22H2)/11(22H2)64ビット

多くのRAW現像ソフトがあるが、PhotoLab 9は被写体の微細なディテールまで簡単かつ丁寧に調整でき、仕上がりを追求する写真家にとって頼れる存在だ。

今回のバージョンアップでAIによる被写体検出を使った「AIマスク」が追加された。マスクを作りたい場所を選択するだけで自動的に判別し、自然なぼかしを加えた違和感のない選択範囲が作られる。従来から搭載されているコントロールポイントと組み合わせることで、表現の自由度が格段に広がる。

多彩な部分調整に注目!

部分補正は、被写体の存在感を際立たせられる重要なツールだ。PhotoLab 9は部分補正、いわゆるマスク機能がほかのRAW現像ソフトに比べて充実している。

バージョン9から加わったAIマスクを始め、DxOを代表するコントロールポイント、色で選ぶ色相マスクなどを目的ごとに選べる。高度な補正機能がより細かく適用でき、作品の質を数段階上のステージへ押し上げる。

【AIマスク】被写体を認識して自動的に範囲を設定する

BEFORE|AFTER
富士フイルム GFX 100S/GF32-64mmF4 R LM WR/33.8mm(27mm相当)/マニュアル露出(F16、1/200秒)/ISO 160/WB:オート

AIマスクは、写真内の被写体をAIが自動解析し、空・大地・人物・動物・建物・草木などといった被写体を個別に認識してマスクを生成する機能だ。輪郭などから自動的に境界を検出し、必要に応じて自然なぼかしを加えるため、従来のマスク作業よりも、短時間で高精度な部分補正が可能となる。

被写体ごとに明暗や色合いを個別調整したい場面で特に威力を発揮し、従来の選択ツールよりも高い精度を誇る。ジャンルを問わず被写体と背景など複数の要素を含む写真なら、活用の余地はいくらでも広がる。

作例では、全体を一律に明るくすると被写体のメリハリが失われるため、前景・中景・遠景・背景のそれぞれをAIマスクで個別にマスクを作成し、パーツごとに異なる補正を行って全体のバランスを整えた。

マスクを作りたい場所(山)をクリックする
カーソルを合わせるとマスクされる被写体が赤く表示される。カーソルを動かしながら、個別補正したい箇所を決めてクリックする
明るさや色を調整する
明るさやトーンだけでなく、コントラストや色温度などさまざまな補正が可能だ。全体のバランスを考えながら補正する
近くを選択するとマスクが統合される
一度作ったマスクの場所と近いところをクリックすると、マスクが統合される。補正値も前のマスクの値を引き継ぐ
新しいマスクを作り範囲を分ける
パーツごとに補正したい場合は新しいマスクをクリックし、レイヤーを分ける
個別にマスクを作って補正する
空は太陽の白飛びを抑えることと、山頂から伸びた光と影の境界線を強調するためにわずかに明るさを落とした。中景の湖は湖面を明るくすることで毛嵐と水の存在感を引き立て、前景は岩肌にマスクを置いて岩肌全体と、そこに付いた霜を強調。パーツごとの個別補正はバランスがくずれると写真に違和感が発生するため、数値をあまり上げ下げし過ぎないよう気を付けたい

【コントロールポイント】色や明るさを分析して類似部分にマスクを作る

BEFORE|AFTER
富士フイルム GFX 100S/GF32-64mmF4 R LM WR/44mm(35mm相当)/マニュアル露出(F11、1/250秒)/ISO 200/WB:オート

コントロールポイントは、彩度や輝度を対象として認識しマスク処理ができる機能だ。AIマスクやブラシの部分補正では選択が難しい細かな部分の補正が可能であるため、繊細な花や草木を前景としたシーンなどで威力を発揮する。

操作はシンプルで、ポイントを置いて補正したい範囲を決めて「彩度・輝度・光彩拡散」で反映したい箇所を絞り込み、あとは通常の部分補正と同様に明るさや彩度、コントラストの補正をしていく。作例のような下の桜と空にかかる桜をまとめて選択できる。使い方は独特だが使いこなせれば強力なツールとなる。

補正したい場所(空)にポイントを置く
補正をしたい部分、ここでは空にポイントを置く。円の選択範囲が出てくるので、それを伸縮させてマスクの範囲を決める
オプションで選択範囲を決める
選択したマスクの範囲がうまく絞り込めなかった場合は、マスクの選択幅(彩度・輝度)を調整する。この設定が使いこなしのポイントとなる
明るさや色を調整する
通常の部分補正と同様に多種多様な補正が可能だ。部分補正は調整し過ぎると、範囲外との違和感が生じやすいため、注意が必要だ
ポイントを置いて細かく調整する
枝の部分は花びらを引き立てるように少し明るく調整した。さらに前景となる桜だけを選択して柔らかく明るさを補正した

AIマスクとコントロールポイントの違い

AIマスクは分かりやすい部分は上手に選択できるが、複雑な形状の被写体が苦手だ。AIマスクで上の写真の桜を選択するとこのようになる。細かく複雑な部分補正はコントロールポイントに変えて使い分けるのが良い。

【PureRAW】ノイズを消して解像感を高める

富士フイルム GFX 100S/ニコン AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED/35mm(28mm相当)/マニュアル露出(F2、15秒)/ISO 3200/WB:オート
DeepPRIME 3を適用した。高感度のノイズがきれいに消えて解像感も上がっている

従来の手動ノイズ低減ではノイズを消し過ぎるとディテールが失われるなど、調整が難しかった。PhotoLab 9に搭載されているPureRAWはAIが細部を識別し、ディテールを損なわずに高感度ノイズを除去できる。今まで手が出しづらかった1段階、2段階上のISO感度を許容範囲に引き上げる優れた機能だ。

ノイズだらけで諦めた写真を蘇らせたり、低感度で撮影した写真でも効果が発揮されるので1度試してもらいたい。PureRAWは他社のAIノイズ除去機能よりも圧倒的に処理が速く、細かな設定も可能だ。

処理の方法を選ぶだけでOK。DeepPRIME XD/XD2sはよりノイズが消えるが時間がかかる

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田村梨貴