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画質と機動力で勝負!ポートレート写真家・魚住誠一さんが撮る「ソニー FE 28-70mm F2 GM」
小型軽量な“F2ズーム”が登場 単焦点レンズ4本分が1本に
- 提供:
- ソニーマーケティング株式会社
2025年1月14日 15:00
ソニーから新たな標準ズームレンズ「FE 28-70mm F2 GM」が2024年12月13日(金)に登場した。αレンズで初めてとなる(※)ズーム全域F2通しということで、大いに話題になっている。
※2024年11月広報発表時点。ソニー調べ
単焦点レンズ4本分を1本に
ポートレートなどでは背景を大きくぼかす必要があるため、明るいレンズが好まれるのはご存じの通り。そのため単焦点レンズをメインに使う人も多い。一方で、単焦点レンズの面倒なところと言えばレンズ交換の作業。やはりズームレンズのようにレンズ交換無しで撮影できると使い勝手は各段に向上する。
すると大口径の標準ズームレンズということになるが、これはF2.8通しの「24-70mm F2.8」が高級ズームレンズの代名詞として人気が高い。開放F2.8もズームレンズとしては明るいほうだが、単焦点レンズの開放F1.4に比べると2段ほど暗い。今回、FE 28-70mm F2 GMではF2通しを実現したことで、明るさは開放F1.4のレンズに対してついに1段差まで近づいた。
FE 28-70mm F2 GMで言えば、単焦点レンズの28mm、35mm、50mm、70mmと4本分をカバーできる。スナップやポートレートでは使用頻度の高い焦点距離だ。そこで今回、写真家の魚住誠一さんがFE 28-70mm F2 GMだけでポートレートを撮影する現場に密着し、実際の使い勝手や画質などを探った。
比較的小型軽量でバランスは悪くない
今回は、代官山界隈を歩きながら撮影することになった。恵比寿駅で落ち合いFE 28-70mm F2 GMを受け取った魚住さんは、さっそく自分の「α7R V」に装着。
「『ズーム操作感切り換えスイッチ』があるのがいいですね。僕はTight側にしてズームリングを重めにするのが好きなんです。単焦点レンズ感覚で使いたいので、そのシーンで一度決めた画角からずれないのが助かるんです」(魚住さん)と評価。
サイズや重さも他社の同クラスのレンズに比べると小型設計なので「ボディとのバランスは心配したほど悪くない」とのファーストインプレッションが聞かれた。
音楽ライブの撮影ではズームレンズも使うが、ポートレートでは28mm、50mm、85mmといった単焦点レンズ使うことが多いという魚住さん。単焦点レンズ派のプロから見たFE 28-70mm F2 GMの実力はいかほどなのか大いに気になるところだ。
ズームレンジをチェック。「ぼけが上品」
手始めにズームレンジの確認として28mm、50mm、70mmの3ポジションで撮り比べることにした。いずれも絞りは開放だ。
28mmの写真は背景が広く写り込んで状況がよくわかる作品。モデルは壁のすぐ前に立っているが、壁がぼけているのがわかる。「明るいレンズなのでこうした壁もぼけに使えるのがいいですね」と魚住さん。
続いての50mmは魚住さんが好きでよく使っているという画角。「モデルが浮かび上がってくる感じがこれまでのズームレンズとは一味違います。単焦点レンズに近いぼけ方ですね。F1.4のレンズは1段ほど絞ると顔全体にある程度ピントが合うのでよく使うF値。F2は使いやすい明るさなんです」(魚住さん)。
望遠端の70mmは植木の脇に座ってもらって前ぼけも入れた写真だ。「単焦点レンズで撮ったの? というくらいのきれいなぼけでしょ。とにかく上品なぼけ方なのが気に入りました」と魚住さんはモニターを見せながら教えてくれた。
この3枚を見ただけでもズームレンジが十分なのがおわかり頂けると思う。そして圧倒的なぼけはカメラの小さなモニターで見ても感動するほどのきれいさで、モデルの山口夏弥さんも何度も見入っていた。
解像力とぼけの質の両立
続いては絞り開放時の解像力を確認した。ピントの合った瞳部分は拡大して見てもバッチリ。大口径レンズは絞り開放付近でソフトになるタイプもあるが、FE 28-70mm F2 GMは絞り開放から存分に解像力を発揮するレンズということがわかった。
魚住さんも「解像力とぼけのきれいさが両立しています。ズームレンズで撮ったとは思えないほどの画質ですね」と太鼓判。絞り開放からしっかりした画質が担保されているのは安心感に繋がるところだろう。
28mmでスタイリッシュなカットも撮れる
先にも記したとおり、いま標準ズームレンズといえば24mmスタートが主流になっている。その点本レンズは28mmからということで、不安を覚えるかもしれない。そこで、28mmを活用した作画で撮ってもらったのが次の写真だ。
このように、ポートレート写真で好まれるスタイル良く写す撮り方は28mmでも十分可能。階段などを利用して、撮影者に対してモデルに少し上に来てもらって見上げるように撮るのがコツだそう。
28mmを含むズームレンズは他にもあるが、上の写真のようにF2で撮れば背景の階段や樹木を結構ぼかせるのが本レンズならでは。「望遠側でぼかすのは簡単だけど、28mmでぼかせるのがこのレンズの美味しい部分」と魚住さん。
一方70mmにすれば、うってかわって誇張感の無い自然さが得られる。ズーム比は2.5倍と大人しめだが、ぼけのコントロールも含めた表現力としてはかなり幅広いのは間違いなさそうだ。
動く被写体の瞳もしっかり追従
これまで描写力を見てきたが、もう1つ気になるのはAF性能だろう。動いていてもしっかり瞳を追いかけるなど、αのAF性能の高さは定評があるところだが、FE 28-70mm F2 GMとの相性はどうか?
まずは動体へのAF性能検証の意味で、モデルに回転してもらって連写して選んだのが次の写真だ。“望遠側で絞り開放”という被写界深度の1番浅くなるところだが、見事に瞳にピントが合っていた。魚住さんも「カメラのAF性能を信用して撮れるのは大きい」と話す。
今回組み合わせたα7R Vとの相性も良かったようで、ピントを外して撮り直しといったケースは皆無。それもあってロケ全体を通してサクサクと撮影を進めることができた。この辺りはさすが純正レンズといったところ。
そしてもう1つ試したのが暗所でのAF性能。次の写真は薄暗い場所での撮影だが、こちらもピントはバッチリと瞳に来ていた。本レンズは明るさという点で夜に使いたくなるが、暗所でのAF性能という点でも積極的に夜間撮影にも活用できるレンズといえそうだ。
動画撮影においても、その実力は健在だ。ズーミング操作を行っても安定してピントを保持し続け、自然な追随性能を見せてくれる。背景の美しいぼけ味と相まって、まるで単焦点レンズで撮影しているかのような錯覚すら覚える。
「単焦点レンズの空気感を大切にしたい人に」
撮影中に魚住さんがよく口にしていたのは「ぼけのきれいさ」と「抜けの良さ」。ロケ日は晴天を期待していたもののあいにくの薄日。写真のコントラストが低くなることを心配していたが、それも無用だった。
このいくつかの写真を見てもらうと、魚住さんが言うようにとても抜けが良いのを実感する。解像力の良さもあり、どの写真も非常にクリアだ。最近流行の”カラーグレーディング”をするにしても撮って出しでこのクォリティなら後加工もしやすいだろう。
玉ぼけについても「単焦点に匹敵する」と魚住さん。輪郭が強調されたり年輪が現れたりといったこともなく、理想的な玉ぼけになっていたようだ。
ちなみに最短撮影距離はズーム全域で0.38m。望遠側では単焦点レンズよりも多少寄れるので「顔のアップも撮りやすいですね」(魚住さん)とのこと。もちろん寄りカットの解像力も申し分ないものだ。
本レンズは「FE 24-70mm F2.8 GM」に比べてサイズと重量がさほど増えていないのもポイント。魚住さんによると、「1日持っていましたが機動力が違いますね。ずっと提げていてもストレスにならない」とのこと。例えば、単焦点レンズ3本を持って交換しながら撮ることを考えると、明るさと引き換えに機動力はグッと落ちるのだろう。
最後に「このレンズをどんな人に勧めたいですか?」と魚住さんに聞いてみた。すると「”単焦点レンズの空気感を大切にしたい人”にぜひ使ってほしい。今までのズームレンズとは一線を画すレンズだと思います」との答え。
単焦点レンズをメインに使っている魚住さんをしてそう言わせるFE 28-70mm F2 GM。ズームレンズでさらに表現力を高めたい人はもちろんだが、単焦点レンズ派の人にこそ試して欲しい1本だと思った。
モデル:山口夏弥