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真夏の尾道で街スナップ&モデル撮影にチャレンジ!
上田晃司さんが講師のニコン「Z6III」GANREF撮影セミナーレポート
- 提供:
- 株式会社ニコンイメージングジャパン
2024年8月28日 12:10
弊社インプレスが運営する写真SNS「GANREF」における「注目製品レビュー ニコンZ6III」のイベントとして、尾道を舞台にした撮影セミナーが8月11日(日)と翌12日(月・祝)に開催された。GANREFメンバーの7名が参加するセミナーで、撮影を通じて「Z6III」の特徴を知り、それをGANREF内で発信してもらう企画となっている。
今回のセミナーは講師に写真家の上田晃司さんを迎え、広島県尾道市で撮影が行われた。JR尾道駅周辺はしまなみ海道にも近く、風光明媚な観光スポットとして有名だ。一泊二日のセミナーでは上田さんからからレクチャーを受けつつ、スナップ撮影やモデル撮影、講評会が行われた。
レビュアーに選ばれたメンバーには「Z6III」のほか、希望するレンズが約1カ月間貸し出された。今回のセミナーを含めて、実際に使った使用感などが続々とGANREFにアップされているので、ぜひご覧頂きたい。
注目製品レビュー ニコンZ6III
https://ganref.jp/common/monitor/nikon/z6iii/
「Z6III」は7月12日に発売されたばかりのミラーレスカメラ。中級機の位置づけながら、高速連写やZシリーズで最高画質というEVFを搭載するなどハイレベルな1台となっている。
今回はスナップやポートレート撮影が主体になることから、上田さんは「NIKKOR Z 20mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 24mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 85mm f/1.8 S」を推奨レンズとして挙げていた。
「iメニュー」のカスタマイズで使いやすく
初日は13時に尾道駅近くにある「しまなみ交流館」に集合。メンバー同士の自己紹介に続いて、「Z6III」や今回の撮影ポイントについて上田さんが1時間ほどレクチャーした。
メイン機材として普段は「Z9」を使っているという上田さんだが、軽量という点も気に入ってさっそく「Z6III」を購入したそうだ。上位機種の路線をほぼ引き継いでいる「Z6III」はオールラウンダーのカメラとのことだった。
まずは「Z6III」を使いやすく設定するところから始まった。シャッター方式やモニターの明るさ、プリキャプチャーモードなど、変えたいときにすぐ設定を呼び出せるように、よく使う機能はiメニューボタンに割り当てることが大切とのこと。iメニューは12の機能が割り当てられるが、上田さんはプロジェクトに応じて入れ替えるなどかなり使い込んでいる様子だった。
またあまり知られていない機能として、2点拡大モードの説明もあった。画面の2カ所を拡大する機能で、建物や水平線などを傾かずに撮れる機能だそうだ。
新型のEVFについてはディテールまでしっかり見えると評価。ポイントとしてEVF内のライブビュー表示を小さくできるモードがあり、メガネ使用者は見やすくなると教えてくれた。
AF性能も「Z6II」に比べて別物になったとのことで、被写体認識機能もデモを示しながら性能の高さを説明した。またAFモードが多機能になっているため、シングルAFとコンティニュアスAFでの設定できる項目の違いや、被写体認識の設定の仕方に時間を割いた。
AFエリアの限定も自在にできるということで、このエリアに入ったときだけ人物を認識するといった使い方を提案していた。
自在な色作りできる「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」機能にも触れた。ホワイトバランスの調整だけでは今までできなかった細かい調整ができることから、ぜひ使って欲しい機能の1つと紹介。今回は上田さんオリジナルの設定ファイルをメンバーに配布する特典もあった。
そして上田さんが撮影した尾道の作品を例に、どういった撮影モードとレンズで狙うのかというお手本が提示され、参加者も興味深く聞き入っていた。
ちなみにスナップ撮影で写真の印象を変えるために重要なことは、高さだそう。バリアングルモニターを活用して例えば低い位置に構え、前ボケなどを入れるのがポイントとのことだ。
そのほか、講評会用の作品セレクトに向けてのレーティングの設定方法も伝えられた。
さっそく海岸沿いをスナップ
レクチャーが終わると散策&撮影へ。まずはしまなみ交流館を出て、海沿いを進んだ。この日は天候に恵まれ、青空と青い海が広がる絶景を撮影できた。対岸となる向島のドックや山並み、行き交う船舶のほかレトロな街並みなど被写体には事欠かない場所だった。
写真家と同行できるのがこのセミナーの大きなメリットとなっており、疑問点などがあればいつでも上田さんからアドバイスがもらえる。メンバー同士もコミュニケーションしつつ、和やかなに撮影が進んで行った。
レトロな雰囲気の商店街は単焦点レンズで
午後とは言え猛暑の夏。炎天下での撮影はいったん切り上げ、アーケードのある尾道本通り商店街を中心としたスナップ撮影となった。この商店街も風情あるお店が多く、どこにカメラを向けても絵になるのではという雰囲気だ。
上田さんによると商店街の撮影には、画面の整理がしやすい単焦点レンズが向いているそうで、50mmまたは85mmを勧めていた。今回も主催者側である程度レンズを持ち込んでいるので、その場で希望するレンズを借りることもできた。上田さんからは焦点距離別のラインの作り方や被写体との距離のアドバイスもあった。
ロープウェイで千光寺の展望台へ
続いて一行は、街並みを一望できる千光寺の展望台に向かった。展望台は山の上にあるが、ロープウェイですぐに登れる。眼下には向島を含むパノラマが広がっており、広角でも望遠でも色々な切り取り方ができるロケーションとなっていた。
線路も見えるので、電車を絡めた構図で狙うメンバーの姿もあった。また、船を利用した作画も効果的というアドバイスも上田さんからあった。そしてレンズの解像力もよくわかる場所ということだった。
帰りは撮影しながら徒歩で下山。途中にも面白い被写体が多い。三重塔はそれ自体と街並みを一緒に写せるポイントだが、明暗差が大きい。こういうときは「アクディブD-ライティング」が効果的とのことだった。
ところで尾道といえば猫が多いことで知られ、この道も猫を撮れるポイント。ただ、訪れたのが日中のため猫の姿はほとんどなく、寝ている猫が少しいるだけだった。そのため、翌日の早朝にトライし、見事な作品に仕上げたメンバーも少なくなかった。
夜景撮影では進化した手ブレ補正が活躍
再度アーケードを通り海沿いへ。陽が落ちてきたのでマジックアワーの撮影時間となった。ここでも街灯や釣り人など被写体やシーンには事欠かない。ホワイトバランスは「太陽光」にすると色味が綺麗になると上田さん。絵作りでは「手すりを前ボケにしては」といった助言もあった。
夕景撮影も進んだところで、海沿いのお店「尾道渡し場 たまがんぞう」へ。上田さんの乾杯の音頭と共に交流も兼ねた夕食会となった。料理に舌鼓を打ちつつ、写真や機材の話で盛り上がり楽しい時間になったようだ。
夕食後は陽が落ちた景色の撮影に繰り出した。ライトアップされるクレーンや水面の反射など美しい景色だ。夜の撮影では手ブレ補正機能もかなり威力を発揮していたようだ。
その後またアーケードの商店街に戻り、人通りが少なくなった夜のスナップ撮影を敢行。商店街の路地は電飾があったりと、大口径レンズでボケを作るのに好適なシーンも多く、チャレンジするメンバーも見られた。
アーケードでは、隣を走る列車を入れたショットも撮影することができた。ここでも上田さんから「スローシャッターで列車をブラすのもよい」といったアドバイスが聞かれた。
2日目は向島の砂浜でポートレート撮影
最終日となる2日目は9時30分にホテルを後にして、スナップ撮影をしながらフェリー乗り場を目指した。フェリーで向かうのはしまなみ海道も通っている向島(むかいしま)。モデルの初音えまさんと合流して一行は船に乗り込んだ。
乗船時間はあっという間で、すぐに向島に到着。砂浜に移動し撮影となった。今回はレフ板やライトは使わずナチュラルな撮影ということで、モデルがやや逆光で顔が影になるようなセッティングとなった。
レンズの焦点距離別に広角レンズのメンバーは近づいて、望遠レンズメンバーは離れて順番に撮ることで被らないように撮影が進んだ。
アドバイスとしては、大口径レンズの場合は電子シャッターにすることで最高1/16,000秒が切れるので、絞りを開けることができるとのことだった。
「ピクチャーコントロール」は柔らかくなる「PT」を基本としつつ、少しコントラストが欲しい場合は「PR」も試してほしいとのことだった。また必要に応じてアクディブD-ライティングの併用も良いとのこと。
砂浜ではモデルと撮影者がお互い動きながら撮るシーンもあったが、コンティニュアスAFで人物認識ならお互いが動いても問題無いとのこと。
その後は、場所を変えて小屋を使ったり堤防のラインを使ったシーンなど一通り撮って向島の撮影は終了。フェリーで本土に戻り、最後に堤防の突端をからめたショットを撮り、2日にわたる撮影が終了した。
盛り上がった講評会
その後「尾道WHARF」で昼食を摂り、しまなみ交流館で講評会となった。講評会では1人2点をセレクトし、うち1点をプリントした上で撮影意図などを発表。それを受けて上田さんから講評が行われた。
作品はエプソンの「SC-PX1V」でA3にプリント。どの作品もレベルが高く、プリントが仕上がるとメンバーから歓声が上がっていた。
今回、GANREFメンバーのうち3名に作品のお話を伺った。
尾道での撮影ということで、猫は絶対に撮りたいと思っていました。朝の7時頃に撮りに行ったのですが、出会った猫が全部寝ていたので、その気持ちよさそうなところを柔らかく表現しました。
「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」は上田先生のレシピを使っていて、それも柔らかくて合いました。これまで、後からPCでフィルターを掛ける方法でもいいと思っていましたが、最初から仕上がりが見えていると普段とは違う被写体にも目が行くのが良いと思いました。
この写真は手前に結構邪魔なものがあるのですが、ちゃんと猫を認識してピントを合わせてくれたのも良かったですね。85mmのレンズを初めて使ったのですが、すごくボケが柔らかな感じになって楽しかったです。
尾道なので猫を撮りたいという想いがあったのですが、1日目は日中だったので暑さで猫の元気がありませんでした。そこで2日目に早起きして路地を散策すると結構いました。その中でもこの猫は、奥が抜けているポジションに座っていたのでカメラを向けました。
するとスクッと立ち上がってこっちに向かって歩いてきたんですね。この瞬間を3D-トラッキングでピントを合わせて1枚撮りました。6時過ぎくらいだったと思います。
レンズは「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」です。ピントの合っている面がすごく薄いのですが、きちんと猫に合っていました。あとはレンズが持っている独特のボケ感で、奥がとろけるような感じで表現できたと思っています。「Z6III」もなかなか良くて欲しくなりました。
「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」を借りてふんわりとしたボケの絵が撮れまして自分としては満足していたのですが、上田先生が「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」を使ってみたら、と勧めてくれて、85mmから35mmに変えて撮り始めました。
うまい具合に放射状に画面が構成されたのが良かったと思います。そしてお互い動いているから、動きのある写真になりました。昔のカメラだったらブレているところかも知れませんが、ブレもなくピントもしっかり合っていてポートレートにも凄いカメラだと思いました。
フルサイズはデジタル一眼レフカメラを使っていますが、AFをはじめ、ミラーレスカメラの「Z6III」はまったく違いますね。
撮影旅行にもうってつけの「Z6III」
短い時間だったがスナップ、ポートレート、動物、建物、夜景、乗り物など盛りだくさんの被写体を撮影できた2日間だったと思う。
上田さんからも最初に「オールラウンダーなカメラ」という説明があったが、まさに撮影旅行で遭遇する様々なシーンに対応できる1つの基準となるマシンだと感じた。
単焦点レンズを使ったメンバーが多かったが、例えばズームレンズの「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」は上田さんもイチオシの高性能レンズ。これ1本で旅行というのも荷物を減らせて良さそうな印象だった。
「Z6III」のレビューもさることながら、各メンバーが使ったレンズも20mmから600mmと幅広く尾道以外の作品もGANREFにはたくさん掲載されている。その辺りもぜひチェックしてみると自身の作品の幅も広がるのではないだろうか。