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“動きモノ撮影”の専門家が、Nextorage「NX-B1PRO」を使って感じた印象は?

連写で被写体を追うのにぴったりの高速性能 EOS R3/R5との相性も◎

撮影:高橋学

昨年12月に「世界最速」のCFexpressを発売したことで話題のNextorage(ネクストレージ)株式会社。発売から半年を経て、すでに多くのプロや写真愛好家のあいだで好評を得ているようです。

今回は写真家・高橋学さんにNextorageのCFexpress「NX-B1PRO」を一定期間試用いただきました。

その後に高橋さんの飛行機撮影に同行して、「NX-B1PRO」の使用感や、メモリーカードにまつわる体験談や考え方をインタビューさせてもらったのがこのページになります。

飛行機はもちろん、スポーツ、鉄道などを主な撮影ジャンルとする高橋さん。大切な撮影データを保存する媒体として、常にメモリーカードの進化と信頼性に注目しているとのことです。

高橋学

1975年、福島県福島市生まれ。父が新聞社のカメラマンをしていた影響で物心付いたころからカメラが好きになり、父と鉄道などを撮り始めた。高校卒業後は専門学校東京ビジュアルアーツ写真学科でスポーツフォトを専攻。1996年より有限会社ジャパンスポーツでスポーツカメラマンの仕事に就き、実績を重ねてフリーランスへ。現在はフィギュアスケート、フットサル、サッカー、陸上などの様々なスポーツ取材をしている。また、小さいころから好きな鉄道や飛行機なども撮影を続けている。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

撮影:高橋学
撮影:高橋学
撮影:高橋学

撮影ジャンルは「連写が基本」

——主な撮影ジャンルと使用カメラを教えていただけますか?

高橋学さん(以下略):スポーツ、鉄道、飛行機を撮っています。なかでもメインの撮影ジャンルはスポーツになります。現在は「EOS R3」「EOS R5」を使っています。

EOS R3
EOS R5

——いずれも連続撮影で撮ることの多い被写体ですね。

そうですね連続撮影が基本と言っていいくらいです。「EOS R3」だと約30コマ/秒、「EOS R5」だと約20コマ/秒の高速連写ができますし、AF性能も良くなり、被写体を正確に補足し続けられるようになりました。結果的に1回の撮影量は膨大になってしまいます。

——「EOS R3」「EOS R5」ともに、連写性能の高いカメラを使用されていますが、メモリーカードについてはどのように対応されていますか?

カメラの性能が進化するのに合わせて、メモリーカードもカメラ性能を十分に受け止めてくれるものを選ぶようにしています。その時々で最速のものを使っていますし、CFexpressカードの前にはCFastカードも使っていました。

——高性能なメモリーカードを必要とされるのは、連続撮影をするのに必須ということでしょうか?

サッカーの撮影では1試合で1万カットほど、フィギアスケートに至っては1日で4万カット近く撮ることもありますので、メモリーカードは高性能なものでないと撮影に支障がでてしまいます。電車や飛行機の撮影でも同じですが、特にスポーツ撮影シーンでは高速書き込みと大容量のメリットはとても大きいです。

「Nextorage」との出会いと印象

——最近はNextorageの「NX-B1SE」や「NX-F2SE」をお使いとのことですが、導入の経緯をお聞かせください。

CP+2023でNextorageのブースを見かけたので覗いてみたのがきっかけです。ソニーから独立した日本のメーカーということでしたし、WEBサイトを確認すると自分が使っているキヤノンのカメラでも動作確認がとれていましたので安心感が高く、価格も手ごろなこともあり、CFexpressの「NX-B1SE」とSDメモリーカードの「NX-F2SE」を試しに購入しました。それらを選んだのは、「EOS R3」「EOS R5」がCFexpressとSDメモリーカードのダブルスロットだからです。

——ダブルスロットでの保存は同時記録にしているのですか?

同時記録です。でもこの方法だとSDカードの書き込み速度に制限されてしまうため、より高速な書き込みが必要な場合はCFexpressだけを使うこともあります。

——Nextorageという新しいブランドの印象はいかがでしたか?

日本のブランドであること、サポート体制が整えられているというのは、やっぱり印象が良いですね。アフターサービスも購入から5年間の保証期間があるので安心です。

カメラマンにとって撮影データはとても大切なものですから、速度や容量だけでなく耐久性にも優れていてもらいたい。つまり信頼性の高さが重要なわけですけど、Nextorageというブランドにには十分な信頼を感じました。そうでなければ恐ろしくて撮影に使えません。

“世界最速”のCFexpressを使ってみて

——今回はCFexpressの上位製品である「NX-B1PRO」をご試用いただきましたが、実際に使ってみて手応えはありましたか?

主に陸上大会の撮影で試してみたのですが、感触はとても良かったです。撮影中の書き込み速度も、PC保存時の読み出し速度も、とても速く安定していました。RAW+JPEGで連続撮影をした後でも、直ぐにバッファが開放されるので、撮影画像を再生して確認するときもスムーズにチェックできます。あらゆる点でストレスを感じさせることのないメモリーカードだと実感しました。

NX-B1PROは、最大転送速度が読み出し1,950MB/秒、書き込み1,900MB/秒のCFexpress Type B製品。最低継続書き込み速度は1,800MB/秒

——高橋さんの撮影で高速書き込みができるメリットと言いますと、具体的にはどういったことが挙げられますか?

スポーツ撮影ですと、次々にやってくるシャッターチャンスに対応しなければならないため、できるだけ高速な書き込み速度が必要になります。

例えば、サッカーの撮影ですと、ゴール前での攻防、ゴールシーン、さらにはゴールが決まった後の喜びと言ったように、高速連写で撮影する場面が非常に多くあるので、書き込み速度が遅いと肝心なところでバッファがいっぱいになってしまいシャッターが切れなくなってしまいます。

また、フィギアスケートでは、ショートプログラムの2分40秒という演技時間のなかで、すべてのシャッターチャンスをものにしたいところですが、これも書き込みに時間がかかってしまうと大切なチャンスを逃してしまいかねません。

そうした事態を避けるために、スポーツ撮影では基本的にJPEGだけで撮影するようにしていました。まだ試してはいませんが、あるいは「NX-B1PRO」ならRAW+JPEGでも可能なのではないかと期待がもてます。

——鉄道や飛行機の撮影ではいかがでしょうか? この場合もJPEGだけで記録していますか?

鉄道や飛行機の撮影はRAW+JPEGにしています。鉄道や飛行機は70-200mmなどの望遠ズームを使って、向かってくる被写体をテレ端からワイド端へズーミングしながら連続撮影することが多いのですが、この場合でも、書き込み速度が遅いとワイド端になるまでにバッファがいっぱいになり、肝心なところでシャッターチャンスを逃してしまうことになります。

ですので「NX-B1PRO」の書き込み速度の速さと安定性は、どんな連続撮影においても、大きなメリットがあると言えると思います。

撮影:高橋学

——現在お使いのカメラ、「EOS R3」と「EOS R5」と、「NX-B1PRO」との相性は良さそうですね。

はい、NextorageのWEBサイトで動作確認の情報が載っていましたので、それほど心配はしていませんでしたが、実際に使ってみても期待通りの相性の良さがあると実感できました。

Nextorageが公開している動作確認情報

「EOS R3」は連写性能が高く、「EOS R5」はデータ容量の大きなカメラではありますが、どちらも「NX-B1PRO」でストレスなく快適に撮影できました。

——Nextorageのメモリーカードのユーザーは、無料でソフトウェアの「メモリーカードファイルレスキュー」をダウンロードできますが、ご利用されていますか?

Nextorageのメモリーカードを使い始めてからまったく問題を経験していませんので、まだ利用自体はしておりません。ですが、ダウンロードとPCへのインストールはしています。

私の場合、原因は不明ながら、これまでもメモリーカードの抜き差しで撮影データが読み込めなくなってしまったトラブルを経験しています。メモリーファイルレスキューは「記録されているデータの読み出しができなくなった場合や、誤って削除したデータを可能な範囲で復元するソフトウェア」ですので、まさかという時に助けてもらえるかもしれないと考えています。

——「NX-B1PRO」をオススメしたい人や撮影ジャンルはありますか?

連続撮影を多用するような撮影ジャンル、例えば、私がやっているようなスポーツや鉄道、飛行機の他に、モータースポーツなどにも最適だと思います。高速連写を必要とする撮影ジャンルには欠かすことのできない信頼性をもったメモリーカードだと感じました。

——動画撮影での使用はいかがでしょう?

鉄道の撮影では動画の依頼もありますので、撮影中の発熱にも強い「NX-B1PRO」だと安心して撮ることができます。

それと、動画から静止画を切り出す目的で4K動画を撮ることもありますから、やはり撮影中の安定性が優れている「NX-B1PRO」だと心強さがあるというものです。8K動画の撮影も試してみましたが、同様に問題なく撮ることができましたので、今後は4K動画や8K動画を撮る機会が増えていく可能性はあります。将来性という意味でも安心感があります。

CFexpressに対応したカメラでの「NX-B1PRO」はもちろんですが、SDメモリーカードも上位製品である「NX-F2PRO」の使用をオススメできます。

——これからもNextorageのメモリーカードを使っていくうえで、高橋さんならではのご要望はありますか?

CFexpress用のカードリーダーを開発中とのことですが、ぜひ製品化してほしいと期待しています。同じメーカーのメモリーカードとカードリーダーでしたら相性は抜群でしょうから、ますます安心して使えますよね。

Nextorageが開発中のCFexpressカードリーダー(試作機)

その他不満はありません。「NX-B1SE」から使い始めて、今回「NX-B1PRO」を試用させてもらえてよかったです。連続撮影が多い私の撮影ジャンルでは必須だと感じましたので、これからは積極的に「NX-B1PRO」も使っていきたいと思います。

インタビューを終えて

スポーツに鉄道、飛行機の撮影と、次々とやってくるシャッターチャンスをモノにするため、連続撮影で瞬間を捉えつづけている高橋さんのお話をうかがうと、メモリーカードの性能の大切さというものに説得力を感じずにいられませんでした。

そんな高橋さんがNextorageのCFexpressを選んだ理由は、何よりも大切な撮影データの記録を任せるに足るだけの“信頼性”の高さでしょう。それは実際に使われて実感されたからこその結論だと思います。

カメラの性能は日々進化を続けており、カメラの性能がアップすればするほど、撮影枚数やデータ容量は増えていくもの。これは何も連続撮影を基本とする撮影だけではないと思います。

制作協力:Nextorage株式会社

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。