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高画質で広範囲をカバーできる“よくばり”10倍ズーム

SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports

60~600mmという幅広い焦点域をカバーする10倍ズームが登場。レンズ1本で広範囲に、かつ高画質でカバーできるよくばりな高倍率ズームは、目まぐるしく変化する自然風景に最適だ。自然な印象で切り取れる60mm、望遠マクロを楽しめる200mm、広大な北海道を凝縮する600mm。レンズ交換の手間さえ惜しいその一瞬を平井氏が切り取っていく。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年6月号』より抜粋・再構成したものになります。

SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports
●SPECIFICATION
対応マウント:ソニーE、ライカL
レンズ構成:19群27枚
絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
最小絞り:F22~32
最短撮影距離:0.45~2.6m
最大撮影倍率:約0.42倍(200mm時)
フィルター径:φ105mm
外形寸法(最大径×全長):約119.4×281.2mm
質量:約2,485g

●実勢価格
33万円前後(税込)

POINT1 豊富なスイッチ類の搭載でカスタマイズ機能も充実

レンズにはスイッチ類が豊富に搭載されている。マクロ撮影時などに便利なフォーカスリミッタースイッチをはじめ、OSスイッチ、フォーカスモード切り替えスイッチなどが用意されていて設定の変更が直感的に行える。

任意の設定をカメラ側から割り当てられるAFLボタンも3カ所に設置されているので、より使いやすくなるようにカスタマイズしていくのも楽しい。

POINT2 優れた防塵・防滴性能は過酷なフィールドでも安心

マウント接合部やズームリング、カスタムスイッチなどに防塵・防滴構造を採用しているため、吹雪の中でも機材の心配をすることなく撮影に集中できた。

大雨など著しい悪天候時には注意が必要だが、タオルをかけるなどの対策と合わせれば、撮影の幅をより広げてくれることは間違いない。

POINT3 アルカスイス互換の三脚座でスピーディーに着脱が可能

レンズの三脚座がアルカスイス互換となっているため、多くの雲台やアクセサリーに直接固定することができる。プレートを別で用意する手間が省け、強固に固定されるため安定感は抜群。着脱もスムーズに行えるため、手持ちと三脚の切り換えもスピーディー。シャッターチャンスも逃さない。

10倍ズームのフレキシブルな画角を楽しみながら、表情豊かに北海道の大自然を切り取る

エゾエンゴサクの花畑を走り回るエゾリスを手持ちで撮影。シャープな毛並みと滑らかな前ボケが美しい見事な描写。600mmの超望遠があれば野生動物から十分距離を取って撮影できる。

α1/SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS|Sports /600mm/マニュアル露出(F7.1、1/1,000秒)/ ISO 2000/WB:太陽光

広角から標準レンズを使用することが多い風景写真だが、「望遠レンズが標準レンズ」と言われるのが北海道の風景。今回は1本で標準〜超望遠域をカバーするよくばりな高倍率ズームを手に、広大な大自然を切り取っていく。

初めて持ち出したときは、ずっしりとくる重さに驚いた。約2,485gと決して軽くはない。しかし、車移動が多い風景撮影に重さは関係ない。

レンズを使っていくうちに、どんな焦点距離でも精細でクリアな写りを見せてくれることに気が付いた。特に600mmでエゾリスを撮ったとき、毛並みまで繊細な描写に思わずニヤリとしてしまった。さらにボケ味も美しく、これまでの高倍率ズームに対する印象が一変した。

私は普段、移動しながら気になった風景を撮影することが多い。このレンズを使用したとき、暗い中で60mmの手持ちでも1/15秒までぶれずに撮影できた。手持ち撮影という選択肢が増えれば機動力が上がり、それだけシャッターチャンスも増える。標準〜超望遠域を高画質に1本でまかなえる機動力最強とも言える本レンズは、特に風景や野生動物を撮影するカメラマンに新たなシャッターチャンスをもたらしてくれるだろう。

60mm——標準域の自然な視野角で吹雪く池を直感的に切り取る

季節外れの大雪を撮影すべく訪れた青い池。静かにたたずむ立ち枯れと、吹雪の荒々しさを表現するため標準域と長めのシャッター速度での撮影を決める。雪が流れて写る中、木々は驚くほどシャープに描写され、その存在感を引き立ててくれた。

α1/SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS|Sports /60mm/マニュアル露出(F8、1/13秒)/ISO 100/WB:太陽光

60mmは人間の視野角に近い焦点距離のため、目に映る風景を直感的に切り取れるのが良い。防塵・防滴構造を採用しているため、吹雪の中でも安心して撮影できた。

200mm——最大撮影倍率0.42倍の望遠マクロで細部に迫る

最大撮影倍率は200mm時の0.42倍。かなり被写体に接近して撮影ができるのでマクロ表現までも担ってくれる

北海道の森でよく見かける、急激な寒さで木の内部の水分が凍結して膨張し、幹が縦に割れる“凍裂”という現象の痕跡。凍裂痕を観察していると、裂け目にセイタカスギゴケが宿っているトドマツを見つけたので、最も撮影倍率が高くなる200mmでクローズアップ。

コケの小さな葉の1枚1枚がみずみずしく繊細に描写され、マクロレンズを用意する必要がないことを実感した。

α1/SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS|Sports/200mm/マニュアル露出(F16、1/2秒)/ISO 100/WB:太陽光

600mm——超望遠域の圧縮効果で波打つ丘を引き寄せる

波打つ牧草の丘にコブシの木がたたずむ。余計な被写体を排除し視線をコブシと牧草に集中させたいが、被写体がかなり遠かった。最長400mm程度ではトリミングして対応する場面だが、望遠端600mmの本レンズがあれば、画質を落とすことなく、思い通りの画角で撮影可能だ。波打つ丘を超望遠で圧縮することで、緑の濃淡を1枚に凝縮。カバー範囲の広さに改めて魅了されたシーンの1つだ。

α1/SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS|Sports /600mm/マニュアル露出(F14、1/50秒)/ ISO 100/WB:太陽光

制作協力:株式会社シグマ

平井葉月

(ひらい・はづき) 1988年、愛知県生まれ。旅行が好きで、旅先で撮影しているうちに写真の世界に興味を持つ。2017年に撮影目的で一人北海道を訪れたとき、豊かな自然の織りなす風景の美しさや、野生動物と人間が共存する姿に感銘を受け、度々訪れるようになる。次第に北海道をより深く知りたいという思いが強くなり、移住を決意。2018年12月北海道に移住。自然風景と野生動物を撮影する傍ら、作例提供なども行っている。