何がすごいの? キヤノンのアプリ

Vol.04 Neural network Upscaling Tool×うさぎ写真家uta

ウサギのかわいらしさを引き出したい

キヤノン EOS-1D X/EF300mm F4L IS USM+EF1.4×II/420mm/絞り優先AE(F8、1/400秒、+0.7EV)/ISO 800/WB:曇り
アップスケーリング前
アップスケーリング後
アップスケーリングにより画素数が縦2倍、横2倍、面積が4倍にアップする(写真をクリックするとオリジナルの解像度で拡大画像が表示されます)

画素数を4倍に引き上げる「Neural network Upscaling Tool」。EOS R1やEOS R5 Mark IIに内蔵されていますが、こちらはPC用アプリなのでほかのEOSでも効果を体験できる。うさぎ写真家utaさんに、その効果を交えながら紹介してもらいました。

うさぎ写真家uta

ウサギの撮影を専門とする写真家ユニット。2000年から広島県大久野島に通い始め、島で暮らすウサギを撮影している。ウサギの環境保護活動にも力を入れており、そのほか、全国を回りペットのウサギの撮影もしている。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年12月号』より転載・加筆したものです。

簡単操作で画素数が4倍に高解像度化

キヤノンの「Neural network Upscaling Tool」は、AI技術(ニューラルネットワーク)を活用した高解像度化アプリだ。色や輝度、ノイズ感を変えることなく、被写体の本来持っている精細感を維持したまま画素数をアップする。ファイルをアプリにドロップ&ドラッグするだけの簡単な操作で高精細かつ自然な質感で、縦横の画素数を2倍、全画素数を4倍にアップスケールできる。

Neural network Upscaling Tool
[対応OS]
Windows 11
macOS 13、macOS 14、macOS 15
[推奨環境]
CPU:インテルCore i7以上、または、Apple M1チップ以上
RAM:16GB以上
[利用料金]
275円/31日間
1,100円/365日間

Digital Photo Professionalの変換時にアップスケーリングが選べる

Neural network Upscaling Toolはアプリをダウンロードして使う以外にも、Digital Photo Professional(バージョン4.19.30)からも使えるようになった。

現像処理をしたあと、ファイルメニューから「変換して保存」を選び、出力設定の「ニューラルネットワーク アップスケーリング」のチェックボックスにチェックを入れると4倍にアップスケールされた画像が保存される。保存方法はJPEGとTIFF(8bit/16bit)が選べる。「一括保存」でも使えるので、まとめてアップスケーリングもできる。

SCENE 01|背景に入った余計なものを排除してすっきりと見せる

背景がきれいな場所でたたずむ子ウサギ。望遠端の200mmではやや短く、画面内に木の枝などが入ってしまった。余計なものが入らないようトリミングし、アップスケーリングを使用した。A3でも余裕のある解像度になり、満足のいく結果になった。

キヤノン EOS-1D X Mark II/EF70-200mm F2.8L IS II USM/200mm/絞り優先AE(F2.8、1/320秒、+0.3EV)/ISO 1600/WB:太陽光
右側の濃い枝がなくなり、視線がウサギに集中できるようになった

SCENE 02|横位置の写真をトリミングして縦位置の画像に切り出す

サザンカの花びらの上でかわいくポーズを決めた瞬間を撮影した。まずは横位置で撮影し、次は縦でと思ったが、構え直したときにはもう違うポーズになっていた。ウサギの撮影ではよくあることで、縦と横で同じ瞬間を切り取ることは難しい。

このようなときはトリミングで対応してきたが、解像度の面で大伸ばしは諦めていたが、Neural network Upscaling Toolを使うとトリミングしても十分な解像度を確保できる。

キヤノン EOS R5/EF400mm F2.8L IS II USM/400mm/絞り優先AE(F3.5、1/1,250秒、+0.7EV)/ISO 800/WB:太陽光
トリミングしても元画像を超える画素数が得られる

SCENE 03|画素数が少ない旧機種を最新機種並みの画素数に

過去に撮影した作品を印刷物や写真展などで使用することもよくあったりする。15〜20年前の作品ともなると、当時のカメラの画素数は1,000万画素程度で大伸ばしするには心もとない。このようなときはNeural network Upscaling Toolの出番だ。

1,010万画素のEOS-1D Mark IIIも約4,040万画素と最新の機種並みの画素数に変化する。大きく印刷して確認したところ、ウサギの毛並みがつぶれることなく、きれいに表現できていた。

キヤノン EOS-1D Mark III/EF300mm F4L IS USM+EF1.4×/420mm/絞り優先AE(F8、1/800秒、-0.3EV)/ISO 400/WB:太陽光
細かい毛のディテールがはっきりとした

近づくことが難しい動物写真でも気兼ねなくトリミングできる

普段、ウサギの撮影で心がけていることは、ウサギに気がつかれることなく、ありのままの姿を伝えること。必然的に望遠レンズで遠くから狙うことになるのだが、どうしても「もう少しアップで撮りたい!」と思うことが多々ある。

また、走ったり跳んだりする姿を撮影する際、激しい動きの中で必ずしも狙った構図で撮れないこともある。こうした場合、トリミングで対応してきたが、やはり画素数の問題がつきまとっていた。この制限を解決したのが「Neural network Upscaling Tool」だ。

EOS R1やEOS R5 Mark IIはカメラ内アップスケーリングを内蔵しているが、それがない機種で撮影した写真も、トリミングなどで新しい作品として生まれ変わるかもしれない。今まで、画素数が減るからトリミングをためらっていた昔の写真も、Neural network Upscaling Toolのおかげで再び日の目を見るのもうれしい。

うさぎ写真家utaのメイン機材

RF100-300mm F2.8 L IS USM
EOS R1

不規則な動きが多いウサギに、EOS R1のAFは驚くほど追従する。40コマ/秒の高速連写で最高の瞬間を逃さない。暗い時間帯の撮影が多く、RF100-300mm F2.8 L IS USMはうってつけのレンズである。

INFORMATION

交換レンズRF/EFレンズは2025年10月22日に累計生産本数1億7,000万本を達成
うさぎ写真家uta