拝見 写真家の機材

[防湿庫管理編]仕事・趣味・コレクションとランクを分けて保管…大浦タケシさん

写真家の方々は、機材をどのように管理しているのでしょうか? 特別企画「【2020梅雨版】機材管理、保管時のポイントとは?」と連動し、当誌で執筆協力いただいている写真家の方々に防湿庫の中身や管理のコツを教えてもらいました。(編集部)

連動記事「【2020梅雨版】機材管理、保管時のポイントとは?」はこちら
Part1:防湿庫編
Part2:ドライボックス編

――機材の管理はどうしていますか?

機材の使用目的や貴重性・重要性などから、自分なりにA+、A、B、Cと大まかにクラス分けしています。

A+は常に持ち歩き、取材などの仕事でもプライベートでも使うことの多いカメラで、机に置きっぱだったり、日常的に使うバッグのなかに入れたままにしています。したがって、防湿とかはあまり気にしないことが多いですね。

Aは、仕事で使うカメラやレンズ、あるいは仕事で使うことはないけど大切にしているカメラやレンズで、防湿庫(トーリハンNT-103-MII×2台)で保管しています。防湿庫で保管するのはカビの発生を防ぐのは当然ですが、ホコリが機材に付着しないことも目的のひとつとしています。

Bは、コレクションで集めているカメラやレンズで、ドライボックスに収納しています。本当は防湿庫が欲しいのですが、予算と置き場所がなく、泣く泣くドライボックスとしている状態です。

Cは、時々持ち出すことのあるフィルムカメラとそのレンズで、防湿庫の天板の上や本棚などの上においています。当然ホコリがつきますので、時折刷毛などで掃除しています。

なお、所有するカメラ、レンズはいずれも価格的に安いか手頃なものばかりです。高価なものなどはないことを付け加えておきます。

――気温や湿度が高くなるこれからの時期、特別なことはしていますか?

防湿庫は時折庫内の湿度と温度を備え付けられた温湿度計で確認するようにしています。ドライボックスのほうは梅雨前に除湿剤やカビ防止剤を全て新しいものと交換していますね。

あと心がけていることとして、防湿庫やドライボックスは、ともにドアや蓋を開けたら、なるべく早めに閉じるようにしています。

――防湿庫(またはドライボックス)はいくつ使われていますか?

防湿庫は2台で、いずれもトーリ・ハン株式会社の「NT-103-MII」です。ドライボックスは9個を使用しています。取り出しやすいようにグループ分けのような入れ方はしていますが、あまり厳密なものではありません。

――ズバリ、防湿庫の中をみせてください

ここに収めている機材は、自分のランク付けではAの管理とするものです。防湿庫はトーリハン「NT-103-MII」2台となります。

前述のとおり仕事で使うカメラやレンズ、あるいは仕事で使うことはないけれど、大切にしているカメラやレンズです。正面から見て右側の防湿庫には主に仕事で使うカメラやレンズが収まっています。ここが始終空いていると、仕事が忙しい証となります(笑)。

左側の防湿庫はこれまで愛用してきたカメラやレンズ、あるいは趣味で集めたものとなります。とにかくキツキツに入っており、鏡筒の短いレンズは2段重ね、あるいは3段重ねにして入れたりしています。機材を取り出すときもたいへんで、特に床への落下には注意しています。本当はもう一台防湿庫が欲しいのですが、狭い我が家。置き場所が確保できず諦めております。

次に自分のランク付けではBの管理とするもの。ドライボックスはご覧のとおりです。

このところのご時世で自宅にいることが多くなり、本当に不要と思われる機材は処分しましたが、まだまだ残っているという感じです。1個だけドライボックスに装着している湿度計で針が高いものがありますが、この撮影のついでに中身を確認していたら、こんな数値になってしましました。

さいごに、自分のランク付けではA+の管理としている機材について。インダストリアとf64の小型ショルダーバッグに入れています。インダストリアには通常富士フイルム「X100V」と望遠ズームを装着した「X-E3」などを入れており、出番の多いバックとなっています。F64にはライカ「M-monochrome」とそのレンズを入れています。こちらはインダストリアにくらべて持ち出す機会がちょっと少ないので、使わないときは防湿剤をいれるようにしています。

――理想の防湿庫とは? 防湿庫に求めることをざっくばらんに教えてください。

強力でコントラールブルな除湿力をもつ製品があるといいなと思います。あとは、機材を取り出すときに他の機材が落下しないつくりであるとか。小さいけれど収納力が凄い!、なんて製品があっても面白いですよね(笑)。

――これからの時期、管理面でおすすめのアイテムなどがあれば教えてください。

カビ防止剤は防湿庫にも入れています(いいのかどうかはわからないですけれども、お守りとして)。

――今回の内容に関しまして、「これは伝えたい」という内容がございましたらお願いします。

湿度も気温も高い南九州で育った自分としては、カメラやレンズに生えるカビは本当に嫌(笑)。そのため、梅雨前はカビを生やさないための準備を怠らないようにしています。

防湿庫であれば、庫内の湿度をまめにチェックして、必要であればタイマーを調整。ドライボックスは前述のとおり、定期的に除湿剤や防カビ剤を新しいものに入れ替えるように心がけています。

一度カビが生えてしまうと、その修理に費用と時間がかかるし、状態によっては元の光学性能が発揮できない場合があることを考えると、防湿庫は決して高い買い物ではないし、除湿剤などの入れ替えは面倒なことではないと思っています。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。