特別企画

キヤノン純正のスピードライトEL-5で魅せる「Lighting Portrait」——東雲うみ

イメージしたのは舞い降りてきた天使。床にピンクと白、水色のチュールを敷き詰めて、その上に寝てもらった。スピードライトのセッティングは本文中のSCENE 1と同じ。表情が見える左サイドからカメラ目線を狙った
キヤノン EOS R6 Mark II/RF24-70mm F2.8 L IS USM/41mm/マニュアル露出(F5.6、1/160秒)/ISO 400/WB:5,250K/EL-5×3灯

キヤノン EOS R6 Mark IIと同時に発表されたスピードライトEL-5はコンパクトでありながらガイドナンバーは60と大光量。マルチアクセサリーシューに対応していることからEOS R6 Mark IIとの連携に優れている。このシステムのメリットはポートレートでこそ生きるはず。発売前の最新フラッシュを使った閃光マジックで誰も見たことのない東雲うみを誕生させる。

東雲うみ

1996年、埼玉県生まれ。グラビアアイドル、モデル、女優。ガンダムのプラモデルを作るYouTube配信「うみちゃんねる【東雲うみ】」が人気

スピードライトEL-5
発売予定日:2023年3月
価格:6万6,000円(キヤノンオンラインショップ)

SPECIFICATION
照射角:24~240mm(14mm)
ガイドナンバー:60(照射角200mm設定時、ISO100・m)
発光回数:約350~2,450回
連続フル発光回数:40-95回以上
バウンス角:120°(上)、7°(下)、180°(左右)
マニュアル発光:1/1~1/1,024
外形寸法:約80.2×139.9×123.3mm
質量:約491g(バッテリー含まず)
※照射角35mm、レベル2の発光制限までの連続フル発光可能回数。新品・フル充電のLP-EL使用時。マニュアル発光時、キヤノン測定基準による。
ST-E10
発売日:2021年11月27日
価格:1万6,500円前(キヤノンオンラインショップ)

発光モード:E-TTL II自動調光/マニュアル発光/マルチ発光/ Gr(個別グループ制御)[E-TTL II自動調光/マニュアル発光/外部調光オート]
調光補正:1/3段または1/2段ステップ、±3段
ハイスピードシンクロ:対応
後幕シンクロ:対応
通信チャンネル:1〜15ch(設定:オート/マニュアル)
通信可能距離:約30m
グループ:最大5グループ(A・B・C・D・E)
センダー台数:最大15台(2台目以降はサブセンダーに)
レシーバー台数:最大15台
外径寸法:45.5×37.8×53.6mm
質量:48g

EL-5 & ST-E10はEOS R6 Mark IIでコントロールが可能!

マルチアクセサリーシューを介してEOS R6 Mark IIにストロボメニュー画面を表示させると、背面モニターをタッチすることでメニュー設定が可能になる。EL-5背面にあるジョイスティックをカメラマークに合わせる。

EL-5をワイヤレスで使用するために、トランスミッターST-E10を使用する場合は、MENUボタンを押すことで、EOS R6 Mark IIの背面モニターにメニュー設定が表示される。

背面モニターに表示されたストロボ機能設定メニューで発光量などを設定する。EOS R6 Mark IIと、操作したいEL-5が離れている場合に、カメラから光量などの調整ができるのは便利だ。

このシステムを4シーンで使ってみる。

SCENE 1|顔を明るくするのはメインライト 全体のバランスは2灯でフォロー

画面全体に光を回しつつも顔の部分にはメリハリが欲しいのでメインライトにはトランスルーセントアンブレラを使用。光の芯が残るのでわずかにコントラストがつく。顔の向きと平行にEL-5を置くと美しい陰影が生まれる。

メインライトをフォローする2つのフィルインライトを使って全体を均等に明るくしたいので、モデルの左右に1灯ずつ置いている。天井の広い面を生かして柔らかくて均等な光を作りたかったため、フィルインライトは真上に照射してバウンスさせている。

天使のうたた寝。脚立を使い、顔の上から俯瞰で捉えている。「夢かわ」の世界を作りたかったので、肌感の出る足はあえてフレームから外した。画面内にチュールの空間ができないように注意
キヤノン EOS R6 Mark II/RF24-70mm F2.8 L IS USM/42mm/マニュアル露出(F5.6、1/160秒)/ISO 400/WB:5,250K/EL-5×3灯
外光を完全にシャットアウトしてスピードライトのみでライティングした。衣装とチュールのディテールを出したいのでF5.6に絞る必要があり、その分の光量はフラッシュで補う

SCENE 2|自然光によってできる顔の影を飛ばす

窓から入ってくるきれいな外光で撮影したいが、顔に影ができるのは避けたい。背景を飛ばさずに撮影するには室内の明るさが足りない。

そんなときは、できる限り大きな白い面(壁や天井)にスピードライトを照射し光量の不足を補う。

スピードライトの光量は、外光に対して30%くらいにすると、自然光とナチュラルになじんでくれた。

グラビア写真の場合、肌の質感描写はとても大事。大きな窓の光をふんだんに使いつつ、爽やかな寝起きのイメージを狙った。顔に影を作ることなく、きれいな肌を表現することができた
キヤノン EOS R6 Mark II/RF24-70mm F2.8 L IS USM/52mm/マニュアル露出(F3.2、1/125秒)/ISO 2000/WB:4,350K/EL-5
外光が入ってくる角度の反対側からスピードライトの光を当てたかったので、壁にバウンスさせている。壁や床の色によっても光の回りやすさは変わる。ここでは白い壁を生かして朝のような柔らかな光を作っている

コントロールリングに発光量を割り当てられる

ポートレートにおいては、撮影のテンポが大事。EOS R6 Mark IIの場合、EL-5の発光量の設定をコントロールリングに割り当てることができ、スピーディーに進行できる。

SCENE 3|逆光でも顔の露出を確保する日中シンクロのレフ板効果

強い逆光のため、背景に露出を合わせると顔は真っ暗になってしまう状況。顔の明るさに加えて、髪の毛のハイライトや衣装の透け感もきれいに見せたい上、背景はきれいにぼかしたい。そのため、開放F1.2での撮影となり、1/800秒のシャッター速度が必要だった。

ハイスピードシンクロでの日中シンクロ撮影を行えば、煩雑になりがちなストリートでも背景をぼかしたポートレートが撮影できる。

低い位置まで落ちてきた太陽を利用して、光に包まれる女神を表現。逆光での表現の場合は透け感のある衣装にこだわると、より光の印象が強まる
キヤノン EOS R6 Mark II/RF85mm F1.2 L USM/85mm/マニュアル露出(F1.2、1/800秒)/ISO 100/WB:4,150K/EL-5
柔らかい光を当てて背景の光となじませたいのでトランスルーセントアンブレラを使用。太陽と反対側からスピードライトで光量を補う。撮りたい背景に露出を合わせてからスピードライトの光量を調整する

カスタム撮影モードにEL-5の設定も登録できる

EOS R6 Mark IIのモードダイヤルにあるカスタム撮影モードにスピードライトの設定も登録することができる。いつも使っている設定は登録しておけば、簡単に再現が可能だ。

SCENE 4|夕暮れ時のニュアンス光はほのかなバウンス光で生かす

夕方になり窓には低い位置からの外光が入り込むシチュエーションに、影を生かした撮影をしようと考えた。

そのため順光での撮影となる。コントラストが強くなるため、ハイライトに合わせて撮影すると表情が分からなくなってしまう。

そこで、スピードライトをいかにも当てた感じを出さずに天井にバウンスさせることで優しい光を演出した。

薄暗くなった部屋に差し込むブラインドからの光。影の印象を強めた写真にしたかったため、スピードライトの光量はあえて抑えている
キヤノン EOS R6 Mark II/RF85mm F1.2 L USM/85mm/マニュアル露出(F2.8、1/125秒)/ISO 320/WB:6,800K/EL-5
バウンスさせたスピードライトの光を柔らかく使いたいときは、できる限り大きな面に光を当てるようにスピードライトの位置を調整する。補助光として考えるため光量は少なめにして、ヒストグラムも確認しながら黒つぶれしないラインを目安にする
順光でブラインドが面白い影を作っていた。上の写真とは対象的に、明るい光の中にできる影のラインを表現している
キヤノン EOS R6 Mark II/RF24-70mm F2.8 L IS USM/46mm/マニュアル露出(F3.2、1/125秒)/ISO 250/WB:3,750K/EL-5
ポートレートの場合、顔の向きや手の位置を固定すれば露出をコントロールできるが、モデルに自由に動いてもらうときはスピードライトで調整する。今回は背後から天井バウンスさせた

少人数かつスピーディーに撮影できるのが魅力的

従来のスピードライトよりも小型・軽量かつ非常に安価な製品だと感じた。キヤノン純正ならではのカメラとの操作連携が魅力で、コントロールリングやメニューの呼び出しなど、ポートレートの撮影現場の進行をテンポアップしてくれる。

多灯でのライティングが必要な場合も、カメラ側ですべてコントロールできるのでロケやスタッフの数が限られていても効率が良い。

使用バッテリーLP-ELは約350~2,450回の発光が可能
操作しやすいジョグダイヤル

SCENE 5|夜景を背景にして2灯でサンドイッチ

ドレスが輝くようなイメージにしたかったため、衣装用に1灯用意。モデルの背後に設置した。ドレスが白飛びしないような光量を意識して、ここでは1/128としている。

顔側の照明はルーセントタイプのアンブレラを使用して前方から照射。バックフラッシュからの光を拾いつつ1/1,024の光量で柔らかく癖のない光を当てている。モデルを2灯でサンドイッチすることで夜景と人物の明るさを両立できる。

対岸の街夜景を玉ボケとして表現したかったのでF値は開放F1.8にしている。2灯のフラッシュで明るさをサポートすることで表情と衣装のディテールをはっきり見せることに成功した
キヤノン EOS R6 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/135mm/マニュアル露出(F1.8、1/100秒)/ISO 4000/WB:5,000K/EL-5×2灯
背後からのフラッシュ光が白いドレスを浮かび上がらせてくれた。美しく広がったドレス形状を見せるため、腕を広げるポージングをお願いしている
キヤノン EOS R6 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/135mm/マニュアル露出(F1.8、1/50秒)/ISO 3200/WB:5,000K/EL-5×2灯
夜景がきれいに撮れる露出設定にしてから、スピードライトを配置。撮影現場は街灯もなく真っ暗だったので、モデリングランプを使用しながら設定を追い込んだ

前方からのスピードライトは1/1,024の超微弱発光としている。1/128の光量だと明る過ぎてしまい、顔が白飛びする。

超微弱発光ができると、条件によっては諦めていたような表現が可能となる。

AF補助光にもなるモデリングランプ

EOS R6 Mark IIにクリップオンで使用する場合、モデリングランプはAF補助光としても機能する。AF補助光はモデルがまぶしくない明るさに自動で調整される。

ヘアメイク:Sayuri
スタイリスト:moco
衣装協力:Epetice
制作協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

清田大介