特別企画

クリエイター向け新ノートPC「DAIV 6N」を写真家 吉村和敏さんはどう評価したのか?

写真家が求めるスペック&装備が軽量薄型の筐体に

吉村和敏さんとDAIV 6N。スイス→帯広と続いた約3週間のロケで試用してもらった。その感想は?

国産BTOパソコンメーカーのマウスコンピューター。中でもクリエーター向けのDAIVシリーズは、パワフルな性能がウリだ。今回は、16型のノートパソコンでCPUにCore i7、さらにGPUを搭載した「DAIV 6N」を、写真家の吉村和敏さんに使ってもらった。

吉村和敏

1967年、長野県松本市で生まれ。高校卒業後、東京の印刷会社で働く。退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビューする。以後、東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、意欲的な撮影活動を行っている。2003年 カナダメディア賞大賞受賞、2007年 日本写真協会賞新人賞受賞、2015年 東川賞特別作家賞受賞。

7月のスイス渡航で撮影した未発表作品より

撮影:吉村和敏
EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM/46mm/1/330秒/F6.3/ISO 200
撮影:吉村和敏
EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM/54mm/1/250秒/F5.6/ISO 200
撮影:吉村和敏
EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM/59mm/1/60秒/F16/ISO 320
撮影:吉村和敏
EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM/59mm/1/400秒/F7.1/ISO 250

クリエイター向けPC「DAIV」の新モデル

写真制作においても、デジタルカメラの画素数が増えたことによりパソコンの性能は重要になっている。低スペックのパソコンにおいても、レタッチやRAW現像といった画像処理だけではなく、単にファイルを開くだけでも時間がかかってしまう。

クリエーター向けを銘打って展開するマウスコンピュータのDAIVシリーズは、マウスコンピュータの中でも比較的高性能に振ったシリーズになる。

今回紹介するDAIV 6Nは、16型WQXGA、CPUに最新世代のCore i7-12700Hを採用し、グラフィックにGeForce RTX 3060 Laptop GPUを搭載した高スペックでありながら、重さ約1.64kgに抑えたノートパソコンだ。

DAIV 6N
DAIV 6N 主な仕様

CPU:インテル Core i7-12700H
グラフィックス: GeForce RTX 3060 Laptop GPU
メモリー: 16GB(最大64GB/DDR5-4800)
モニター: 16型 液晶2,560×1,600ドット(ノングレア / Dolby Vision対応)
ストレージ: 512GB SSD(NVMe)
OS : Windows 11 Home 64ビット
インターフェイス: USB3.0×2(右/左側面 Type-A)、USB3.1×(左側面 Type-C)、Thunderbolt 4(右側面 Type-C)、SDカードスロット
大きさ:約353.7×245.3×18.5ミリ
重さ:約1.64キロ
動作時間:約11.5時間

デジタル化された現在の写真制作において、パソコンの性能は重いウエイトを占めている。

CPU性能は高いにこしたことはありませんし、ディスプレイは大きく高解像度であればレタッチもしやすくなる。外付けのハードディスク/SSDやカードリーダー、ディスプレイを接続するなら端子類も重要になってくる。ノートパソコンであれば可搬性を考えると軽いことも大切だ。

DAIV 6Nは、そういった写真制作に必要なスペックを満たしたノートパソコンといえる。

ノートパソコンは旅先で欠かせない存在

国内外問わず旅の中のでの風景/人物の写真を撮り続けている吉村和敏さん。旅先では、どんなパソコンの使い方をしているのだろう。

「1日撮影を終えたら、必ずメモリーカードから外付けSSDに写真をバックアップします」

「それ以外にも原稿を書いたり、ブログを書いたり、Youtubeの配信をしたり、オンラインでの打ち合わせなど、パソコンは絶対必要ですね。ないと仕事になりませんね」

そんな吉村さんにDAIV 6Nの感想を聞くと、開口一番、

「Type-AとType-CのUSB端子が複数用意されているのはいいですね。数が少なかったり、あるいはType-Cだけだと、アダプターが必要で荷物が増えてしまいます」

左側面に装備されたインターフェイス類。左からUSB3.1 (Type-C、10Gbps)、USB3.0(Type-A、5Gbps)、SDカードスロット(UHS-I)、ヘッドホン出力・ヘッドセット/4極
右側面。右から電源端子、HDMI(Type-A)、USB3.0 (5Gbps)、Thunderbolt 4

SDメモリーカードリーダーが搭載されていることも高評価のようだ。

「カードリーダーを持ち歩かなくていいのは助かります」

「普段は64GBくらいで安いSDメモリーカードを使っています。風景写真ではそれほど連写するわけでもなく、速度も要りませんし64GBが1日の撮影ではほぼ十分な容量です」

DAIV 6N内蔵のSDメモリーカードリーダーはUHS-I対応で、より高速なUHS-IIのカードであってもUHS-I相当での転送になる。

「僕の使い方では、問題ないですね。荷物が減るというほうがありがたいです」

メリットの多い軽量ボディ

持ち運ぶパソコンとしては、重さも重要になってくるそうだ。

「旅先では常に移動していますから、軽いにこしたことはありません。移動中/撮影中にはあまりパソコンを開くことはなく、スーツケースにいれていますが、カメラやレンズ、衣類なども含めたトータルでの重さを減らす必要があるからです」

DAIV 6Nのボディはマグネシウム合金製で重さは約1.64kg。16型ノートパソコンとなると2kg前後のものが多い中で軽量といえる。

「軽くていいですね。さっと取り出して、さっとしまいやすいし。タフな感じもあってラフに扱っても平気そうです」

「ヒンジの作りもしっかりしていて開け閉めもスムーズです。普段は移動中、例えば飛行機の中などではあまりパソコンを開こうと思わないのですが、今回はちょっと取り出したくなりました」

風景写真家を唸らせる高品位なモニター

DAIV 6Nのモニターは16型でノートパソコンの中でもかなり大きい。解像度は2,560×1,600ドットで、sRGBカバー率100%の高色域パネルを採用している。

「普段写真の調整は自宅のモニターに繋いだデスクトップパソコンで作業しています。やはり画面の広さは重要なので。ただこのDAIV 6Nのモニターはいいですね。出先でも写真のセレクトやRAW現像といった作業をしようという気になります」

「モニターの枠が黒なのも写真が締まって見やすいです。特にノングレア(非光沢)なのがいいですね。普段は外光の反射が嫌って、光沢のモニターに保護フィルムを張っているのですが、ちょっと解像感が落ちたように見えてしまいます。これはそのままでもしっかり見え、家で使っているEIZOのモニター同様に使えます」

近年主流のグレア(光沢)のモニターは、一見すると写真などが奇麗に見えるが、照明と使用者の位置関係によっては、照明が映り込み画面が見づらくなってしまう。吉村さんは非光沢の保護フィルムを貼って使っているそうだ。

「シャドー部の再現もいいですね。シャドー部は落とした方が自然に見えるのでそうした調整をすることが多いのですが、DAIV 6Nのモニターではその辺りもしっかり再現されています」

帰宅してから役立つ4画面同時出力

DAIV 6Nは、USB(Type-C)、Thunderbolt 4(Type-C)、HDMIそれぞれ3,840×2,160ドットでの出力が可能。内蔵モニターと合わせて4画面同時出力が可能なのは、GPUが別途搭載されている恩恵だ。

「外部モニターを接続すれば仕事でもガッツリ使えそうです。特にHDMI端子があるのがいいですね。外部モニターに繋ぐにしても、プロジェクターに繋ぐにしても、アダプターを介さなくて済みます」

ハイスペックでかつバッテリーの持ちが良い

DAIV 6Nは最新のIntel Core i7 12700Hを搭載。

「性能面での不満はありませんでした。写真のセレクトや編集には、PhotoshopとBrideを使っているのですが、普段使っているノートPCよりも起動も操作も体感でちょっと速いように感じます」

性能重視のPコア(Performance-cores)が6、高効率のEコア(Efficient-cores)が8の14コアのCPUだ。消費電力の低いEコアによりバッテリーの持続時間が伸びる。DAIV 6Nでは公称約11.5時間だ。

「バッテリーの持ちはいいですね。今回取材に持って来て約1週間ですが、いつ充電したっけ? と忘れてしまうほどでした(笑)」

キーボード下にあるタッチパッドは約154×100mmと大きい。タッチパッドの上部を2回押すことで、操作を無効にしたり半分だけ使うようにしたりする機能もある。

「不満なく使えました。(無効にする機能は)原稿を書くときは、手を浮かすので個人的には必要がないのですが、利便性を考えた面白い機能ですよね」

総じてDAIV 6Nに好感触の吉村さん。

「今回持ち出して使ってみて、DAIV 6Nに不満はありません。軽さと性能のバランスをはじめ、ロケの多いクリエイター向けに、よくできているなあという印象です」

BTOでさらなる強化も

DAIV 6NはOSの変更(Windows 10 Pro(11 Proのダウングレード権を利用)/11 Pro)のほか、Microsoft Office 2021の有無、メモリー容量の変更(32GB/64GB)、SSDの容量や速度による選択(512GB〜2TB)容量の変更に加え、さらにもう1本内蔵できるカスタマイズが可能だ。より高い性能を求めるならCore i9 12900HとGeForce RTX 3070 Tiを組み合わせたDAIV 6Hという選択もありえる。

クリエーター向けのDAIV 6Nは写真制作の一助になるノートPCといえるようだ。

制作協力:株式会社マウスコンピューター

猪狩友則

(いがり とものり)フリーの編集者、ライター。アサヒパソコン編集部を経て、2006年から休刊までアサヒカメラ編集部。新製品情報や「ニューフェース診断室」などの記事編集を担当する傍ら、海外イベントの取材、パソコンやスマートフォンに関する基礎解説の執筆も行う。カメラ記者クラブでは、カメラグランプリ実行委員長などを歴任。