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小さいけど本格派!超小型ストロボ「Profoto A2」レビュー

新トランスミッター「Profoto Connect Pro」も試してみた

Profotoから驚くほどコンパクトなモノライト「Profoto A2」(以下A2)が発表された。いち早く試用することができたので、レポートしたいと思う。

350ml缶とほぼ同じ大きさ

A2はClicカテゴリー初のモノライト(いわゆるモノブロックストロボ)。コンパクトで軽量なため移動の多いフォトグラファー、アマチュアフォトグラファーなど幅広いユーザーに最適なモノライトになるだろう。

初めて触った時はそのコンパクトさとデザインのよさに驚いた。350ml缶に近いサイズと重量495gという軽さ。バッテリーとスタンドアダプター込みでも773gだ。フルサイズの標準ズームレンズくらいの大きさなので、多くのカメラバックに収納しやすいのもポイントだ。まさに筆者のような旅や取材撮影が多いユーザーにはピッタリの製品と言える。

350ml缶との比較
左がProfoto A2。右がこれまでProfotoで一番小さかったモノライトのProfoto B10X

さらに、価格も14万4,980円(税込)とProfotoのストロボとしては安く設定されており、これからモノライトに挑戦しようという方も手に取りやすいだろう。

Clicカテゴリー初のモノライト

A2が属するClicカテゴリーの製品として、クリップオンスタイルのProfoto A10(以下A10)がある。A10はオンカメラとオフカメラの両方で使用でき、一方A2はオフカメラ専用のモデルという違いがある。オンカメラが必要なユーザーはA10、オフカメラがメインのユーザーはA2といったように使い分けができるわけだ。

左からProfoto A2、Profoto A10

A10で使用できるClicアクセサリーも共用できる。すでにA10でシステムを組んでいる方にも、サブのライトとして有効な選択肢になりえるだろう。

ちなみにA10の場合、アンブレラなどのアクセサリーを直接装着できないが、A2にはアンブレラホルダー装備のしっかりしたスタンドアダプターが同梱されている。

余談ではあるが、スタンドアダプターは右利き、左利きどちらのユーザーでも使用できるような仕上げになっているのもポイントだ。

バッテリーはA10と共有

最大出力は100Ws。A10(76Ws)と比べると少し光量がアップしている。ポートレート撮影の場合、バストアップくらいであれば、快晴の夏空、逆光でも十分に日中シンクロできそうなレベルだ。ただし全身で日中シンクロなどする場合は、最大出力250WsのProfoto B10Xなどの上位モデルの方が安心だろう。

リサイクルタイムは最大1.6秒で、フル発光でもそこそこのテンポで撮影可能だ。今回の撮影でもフル発光に近い撮影が続いたが、筆者の撮影ペースやライティングにおいては十分な出力だと感じた。

また、バッテリーはA10などと同じリチウムイオンバッテリーを使用できる。最大出力での発光回数は約400回となっている。今回の撮影ではほぼ1日中撮影したが、バッテリーは2本で十分だった。

バッテリーはProfoto A10などと共用できる

Profoto製品共通のシンプルな操作

A2の操作はProfoto製品らしくとにかくシンプル。説明書なども読む必要はないほど直感的に行える。大型のディスプレーは見やすい上、背面ダイヤルとクリック操作だけで必要な撮影が行える。

操作計は他のProfoto製品とほぼ共通。反応も速い

もちろん、モデリングライトも搭載しているので光の当たり方など確認することはできる。

新トランスミッター「Profoto Connect Pro」

今回、A2と共に発表になったのがProfoto Connect Pro(以下Connect Pro)だ。既存のトランスミッター「Profoto Air Remote TTL」の後継製品になる。

大きな画面で数値を確認しやすく、直感的な操作ができるようになった。グループA~Fまで選択できるので、多くのライトを使う場合にも役立つだろう。

Profoto Connect Pro
左がProfoto Connect Pro、右がProfoto Air Remote TTL

Coneect Proでは個々のライトの出力を確認することができるため、的確なライトコントロールが可能になる。特に多灯ライティングや高い位置にあるライト、アンブレラ+ディフューザーなどでライトが包み込まれるような場合、手元で出力設定をすぐ確認できるようになったのは大きい。

これまでは専用アプリを導入したスマートフォンやタブレットで確認していたため、撮影中は手間に感じてしまうユーザーもいただろう。Connect Proを使えば数値をスマートフォン無しで確認できるのでとても楽になるはずだ。

注意点もある。個々のライトの出力を確認できるというと、まるで双方向で通信しているように思えるが、実は通信自体は今まで通り一方通行だ。そのため、モノライト側で変更した出力はConnect Proに反映されず、Connect Pro側で設定した光量にリセットされるので注意が必要だ。Connect Proを使用する際はライトは触らず、Profoto Connect Pro側で設定すると良いだろう。

ちなみに単4電池3本で動くようになっている。今回から充電式の電池にも対応する。

なおA2とConnect Proを組み合わせることで、100チャンネル、グループA〜Fから選択できるようになった。スタジオやイベント会場でチャネンルが被る心配はないだろう。

Connect Proでは100チャンネルまで選択が可能になった

コントロールアプリがmacOSに対応

また、スマートフォン用アプリ「Profoto Control」がMacやiPadでも使用になるという。

今回はベータ版のmacOS用を試用したが、デスクトップにBluetooth接続したA2の出力を表示し、テザー撮影しながら光量を調整できた。物撮りはもちろん、テザー撮影時に人物撮影でも手元でライトコントロールできるのはありがたい。

macOS用の正式リリースは2022年10月に予定されている。

撮影時のデスクトップ。左がmacOS用のProfoto Control、右はCapture One

さすがProfoto! 美しい光に驚く

Profotoの製品は光の質をとても大事にしており、直当てでも美しい光を堪能できるようになっている。

A2の発光管はProfoto B10Xなどが採用するラウンドタイプではなく直管タイプで、A10などと共通している。ただし発光部を工夫して光が美しくなるようにしてあるという。A10と違いズーム機構がないことも寄与しているのだろう。ナチュラルでムラのない美しい光を実現している印象だ。

使ってみると、直当てでも問題ないと感じる美しい光に驚いた。ライトシェーピングツールを使わず、単に発光させただけの下の例を見ても分かるように、白い背景にライトが作るムラなど感じられない。

Profoto A2のみ(直当て)
Profoto A2なし

Profoto A2+Clic ソフトボックス オクタ型+リフレクター

プロフォトの魅力のひとつでもあるライトシェーピングツール。A2ではClic用が使用可能だ。様々なライトシェーピングツールを活用し、クリエイティブなライティングができる。

今後発売されるClic用のアイテムで楽しみなのは、「OCFアダプターII」(2022年9月発売予定)だろう。OCFシステムの多彩なソフトボックス類が使用できるからだ。

今回「OCFアダプターII」の試用は間に合わなかったが、Clic用をはじめとした様々なライトシェーピングツールをA2で使ってみたので、ぜひご覧いただきたい。

最初の例は「Clic ソフトボックス オクタ型」との組み合わせで、座りの全身撮影を行ったものだ。

Profoto A2+Profoto Clic ソフトボックス オクタ型(専用グリッド装着)

ソフトボックス側に専用ソフトグリッドを装着し、その反対からリフレクターで光を起こしている。オクタらしいミディアムコントラストの光の広がりが印象的だ。

Profoto A2+Clic ソフトボックス オクタ型(グリッド装着)
Profoto A2なし

Profoto A2+アンブレラ

Profotoの「アンブレラ ディープ ホワイト M」にディフューザーを被せて、柔らかいライティングとした例。

Profoto A2+アンブレラ ディープ ホワイト M

こうすると1灯ライティングでも十分光を回らせることができる。A2のスタンドアダプターにはアンブレラホルダーがあるため、こういう運用も楽々だ。

Profoto A2+アンブレラ ディープ ホワイト M(ディフューザー装着)
Profoto A2なし

日中シンクロ撮影

撮影当時はあいにくの曇り空ではあったが、印象的な雲をバックに日中シンクロ撮影した。

A2は小さいながらも100Wsの最大出力があるので、HSS(ハイスピードシンクロ)撮影でも思い通りの光が得られた。絞りは開放にしてシャッタースピードで背景の明るさをコントロールしている。

Profoto A2+Clic ソフトボックス オクタ型
Profoto A2なし

Profoto A2+Profoto A10+CTOフィルター+アンブレラ トランスルーセント

A2にA10を加えた2灯ライティング。A10もファームウェアアップデートでConnect ProのAir 2 コントロールモードを使用できる。

ここではA2に「アンブレラ ディープ トランスルーセント」にオプションのバックパネルを装着。

Profoto A2+アンブレラ ディープ トランスルーセント

A10には「Clic カラーフィルター フルCTO」を装着し、モデルの後ろに配置。逆光を演出した。さらにH&Yのブラックミストフィルターを使い、ふんわりとした印象にした。

Profoto A2+Profoto A10+CTOフィルター+トランスルーセント
Profoto A2なし

まとめ

今回、A2&Connect Proを使用してみて、魅力的なサイズ感に加えProfotoクオリティーの美しい光を十分に堪能できた。

A2はとにかくコンパクトで、オフカメラライティングが多いユーザーにはぜひ、手に取っていただきたいモノライトだと感じた。ライティングの自由度も上がり、気軽にライティングができると思う。

現在Profoto A1シリーズやA10ユーザーのプラス1ライトとして、Bシリーズのライトを使用している方にもクリエイティブに使える小型ライトとして使用していただきたい。

光が変われば写真も大きく変わるので、ぜひモノライトを使用したライティングにも挑戦してもらいたいと思う。

モデル:MoMo
ヘアメイク:齊藤沙織
制作協力:プロフォト株式会社

上田晃司

フォトグラファー/映像作家。米国サンフランシスコに留学し,写真と映像を学び,CMやドキュメンタリーを撮影。帰国後,写真家塙真一氏のアシスタントを経て,フォトグラファー,映像作家として活動開始。新しい技術をいち早く取り入れ,写真や映像表現に活かしている。2014年頃からはドローンを取り入れた撮影も行っている。現在は,雑誌,広告を中心に,ライフワークとして世界中の街や風景を撮影。講演や執筆活動も行っている。YouTubeチャンネル「写真家夫婦 上田家」でカメラや旅について情報を発信中。ニコンカレッジ講師、LUMIXアカデミー講師、Hasselbladアンバサダー2015、プロフォトトレーナー。