特別企画
小さいけど本格派!超小型ストロボ「Profoto A2」レビュー
新トランスミッター「Profoto Connect Pro」も試してみた
2022年6月30日 07:00
350ml缶とほぼ同じ大きさ
A2はClicカテゴリー初のモノライト(いわゆるモノブロックストロボ)。コンパクトで軽量なため移動の多いフォトグラファー、アマチュアフォトグラファーなど幅広いユーザーに最適なモノライトになるだろう。
初めて触った時はそのコンパクトさとデザインのよさに驚いた。350ml缶に近いサイズと重量495gという軽さ。バッテリーとスタンドアダプター込みでも773gだ。フルサイズの標準ズームレンズくらいの大きさなので、多くのカメラバックに収納しやすいのもポイントだ。まさに筆者のような旅や取材撮影が多いユーザーにはピッタリの製品と言える。
さらに、価格も14万4,980円(税込)とProfotoのストロボとしては安く設定されており、これからモノライトに挑戦しようという方も手に取りやすいだろう。
Clicカテゴリー初のモノライト
A2が属するClicカテゴリーの製品として、クリップオンスタイルのProfoto A10(以下A10)がある。A10はオンカメラとオフカメラの両方で使用でき、一方A2はオフカメラ専用のモデルという違いがある。オンカメラが必要なユーザーはA10、オフカメラがメインのユーザーはA2といったように使い分けができるわけだ。
A10で使用できるClicアクセサリーも共用できる。すでにA10でシステムを組んでいる方にも、サブのライトとして有効な選択肢になりえるだろう。
ちなみにA10の場合、アンブレラなどのアクセサリーを直接装着できないが、A2にはアンブレラホルダー装備のしっかりしたスタンドアダプターが同梱されている。
余談ではあるが、スタンドアダプターは右利き、左利きどちらのユーザーでも使用できるような仕上げになっているのもポイントだ。
バッテリーはA10と共有
最大出力は100Ws。A10(76Ws)と比べると少し光量がアップしている。ポートレート撮影の場合、バストアップくらいであれば、快晴の夏空、逆光でも十分に日中シンクロできそうなレベルだ。ただし全身で日中シンクロなどする場合は、最大出力250WsのProfoto B10Xなどの上位モデルの方が安心だろう。
リサイクルタイムは最大1.6秒で、フル発光でもそこそこのテンポで撮影可能だ。今回の撮影でもフル発光に近い撮影が続いたが、筆者の撮影ペースやライティングにおいては十分な出力だと感じた。
また、バッテリーはA10などと同じリチウムイオンバッテリーを使用できる。最大出力での発光回数は約400回となっている。今回の撮影ではほぼ1日中撮影したが、バッテリーは2本で十分だった。
Profoto製品共通のシンプルな操作
A2の操作はProfoto製品らしくとにかくシンプル。説明書なども読む必要はないほど直感的に行える。大型のディスプレーは見やすい上、背面ダイヤルとクリック操作だけで必要な撮影が行える。
もちろん、モデリングライトも搭載しているので光の当たり方など確認することはできる。
新トランスミッター「Profoto Connect Pro」
今回、A2と共に発表になったのがProfoto Connect Pro(以下Connect Pro)だ。既存のトランスミッター「Profoto Air Remote TTL」の後継製品になる。
大きな画面で数値を確認しやすく、直感的な操作ができるようになった。グループA~Fまで選択できるので、多くのライトを使う場合にも役立つだろう。
Coneect Proでは個々のライトの出力を確認することができるため、的確なライトコントロールが可能になる。特に多灯ライティングや高い位置にあるライト、アンブレラ+ディフューザーなどでライトが包み込まれるような場合、手元で出力設定をすぐ確認できるようになったのは大きい。
これまでは専用アプリを導入したスマートフォンやタブレットで確認していたため、撮影中は手間に感じてしまうユーザーもいただろう。Connect Proを使えば数値をスマートフォン無しで確認できるのでとても楽になるはずだ。
注意点もある。個々のライトの出力を確認できるというと、まるで双方向で通信しているように思えるが、実は通信自体は今まで通り一方通行だ。そのため、モノライト側で変更した出力はConnect Proに反映されず、Connect Pro側で設定した光量にリセットされるので注意が必要だ。Connect Proを使用する際はライトは触らず、Profoto Connect Pro側で設定すると良いだろう。
ちなみに単4電池3本で動くようになっている。今回から充電式の電池にも対応する。
なおA2とConnect Proを組み合わせることで、100チャンネル、グループA〜Fから選択できるようになった。スタジオやイベント会場でチャネンルが被る心配はないだろう。
コントロールアプリがmacOSに対応
また、スマートフォン用アプリ「Profoto Control」がMacやiPadでも使用になるという。
今回はベータ版のmacOS用を試用したが、デスクトップにBluetooth接続したA2の出力を表示し、テザー撮影しながら光量を調整できた。物撮りはもちろん、テザー撮影時に人物撮影でも手元でライトコントロールできるのはありがたい。
macOS用の正式リリースは2022年10月に予定されている。
さすがProfoto! 美しい光に驚く
Profotoの製品は光の質をとても大事にしており、直当てでも美しい光を堪能できるようになっている。
A2の発光管はProfoto B10Xなどが採用するラウンドタイプではなく直管タイプで、A10などと共通している。ただし発光部を工夫して光が美しくなるようにしてあるという。A10と違いズーム機構がないことも寄与しているのだろう。ナチュラルでムラのない美しい光を実現している印象だ。
使ってみると、直当てでも問題ないと感じる美しい光に驚いた。ライトシェーピングツールを使わず、単に発光させただけの下の例を見ても分かるように、白い背景にライトが作るムラなど感じられない。
Profoto A2+Clic ソフトボックス オクタ型+リフレクター
プロフォトの魅力のひとつでもあるライトシェーピングツール。A2ではClic用が使用可能だ。様々なライトシェーピングツールを活用し、クリエイティブなライティングができる。
今後発売されるClic用のアイテムで楽しみなのは、「OCFアダプターII」(2022年9月発売予定)だろう。OCFシステムの多彩なソフトボックス類が使用できるからだ。
今回「OCFアダプターII」の試用は間に合わなかったが、Clic用をはじめとした様々なライトシェーピングツールをA2で使ってみたので、ぜひご覧いただきたい。
最初の例は「Clic ソフトボックス オクタ型」との組み合わせで、座りの全身撮影を行ったものだ。
ソフトボックス側に専用ソフトグリッドを装着し、その反対からリフレクターで光を起こしている。オクタらしいミディアムコントラストの光の広がりが印象的だ。
Profoto A2+アンブレラ
Profotoの「アンブレラ ディープ ホワイト M」にディフューザーを被せて、柔らかいライティングとした例。
こうすると1灯ライティングでも十分光を回らせることができる。A2のスタンドアダプターにはアンブレラホルダーがあるため、こういう運用も楽々だ。
日中シンクロ撮影
撮影当時はあいにくの曇り空ではあったが、印象的な雲をバックに日中シンクロ撮影した。
A2は小さいながらも100Wsの最大出力があるので、HSS(ハイスピードシンクロ)撮影でも思い通りの光が得られた。絞りは開放にしてシャッタースピードで背景の明るさをコントロールしている。
Profoto A2+Profoto A10+CTOフィルター+アンブレラ トランスルーセント
A2にA10を加えた2灯ライティング。A10もファームウェアアップデートでConnect ProのAir 2 コントロールモードを使用できる。
ここではA2に「アンブレラ ディープ トランスルーセント」にオプションのバックパネルを装着。
A10には「Clic カラーフィルター フルCTO」を装着し、モデルの後ろに配置。逆光を演出した。さらにH&Yのブラックミストフィルターを使い、ふんわりとした印象にした。
まとめ
今回、A2&Connect Proを使用してみて、魅力的なサイズ感に加えProfotoクオリティーの美しい光を十分に堪能できた。
A2はとにかくコンパクトで、オフカメラライティングが多いユーザーにはぜひ、手に取っていただきたいモノライトだと感じた。ライティングの自由度も上がり、気軽にライティングができると思う。
現在Profoto A1シリーズやA10ユーザーのプラス1ライトとして、Bシリーズのライトを使用している方にもクリエイティブに使える小型ライトとして使用していただきたい。
光が変われば写真も大きく変わるので、ぜひモノライトを使用したライティングにも挑戦してもらいたいと思う。
モデル:MoMo
ヘアメイク:齊藤沙織
制作協力:プロフォト株式会社