特別企画
Nikon Z 6 & 50mm単焦点レンズの魅力
ミラーレスならではの軽快感 フルサイズらしいボケも堪能
2019年1月28日 12:41
ニコンの35mm判フルサイズミラーレス機「Z 6」を発売日に手に入れてから、様々なシチュエーションで色々な被写体を撮影してきた。そしてZ 6の良さがさらに感じられるシチュエーションに出会うこととなった。それは「旅」である。
シャープさとボケ味のバランスが良いZマウント版50mm F1.8
旅先での撮影は目に入るすべてのモノを写したくなるほど楽しいのだが、持てる荷物に限界があるので機材は厳選しなくてはならないのが悲しいところ。しかし、今までニコン「D850」を入れていた旅行用のカメラリュックのスペースにZ 6を入れると、何とも言えない素敵な空間が! お陰でバッグの仕切りを移動させて、レンズ1本分のスペースを増やすことができた。
どこに旅するのでも、バッグ内のスペースを埋め尽くすかのように色々なレンズを持って行くのだが、筆者は単焦点レンズが大好きで、ズームレンズを持って行っても旅行後の写真を見返すと8割を単焦点レンズで撮影していたりする。今回もほとんどの写真を「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」で撮影していた。
2018年12月に発売されたばかりのZマウントのこのレンズは、ピントが合っているところのシャープさと被写界深度外のとろけるようなボケ味のバランスがとても良く、被写体の温度まで伝えてくれるような高い解像度で筆者好みの画を作り出してくれる。今回の旅先の沖縄のような太陽の光が強いところでは、ゴーストやフレアーを抑えてくれるナノクリスタルコートが採用されていることも重要だ。
普段の旅スナップでは、F5.6程度に絞りを絞って背景をボカしすぎないで撮ることが多かったのだが、被写体に存在を感じさせない小型ボディのZ 6と、開放絞りのボケ味が美しいNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sのコンビネーションで撮影をしていると、被写体にどんどん近付いて絞り開放で大きなボケを作り出すことが楽しくなり、結果、被写体との距離感の近い写真が多くなったのが面白かった。
作品
沖縄にはネコがとても多い。この奥武島は天ぷら屋とネコの天国だ。静かで素早いステッピングモーター採用のお陰であくびの瞬間をキャッチできた。Zシリーズには新しくクリエイティブピクチャーコントロールが搭載されている。このサンデーはハイライト部をさらに明るく、全体を爽やかに仕上げてくれるモードで、コントラストを自然なイメージのまま強くしたいときにお勧めだ。
天ぷら屋では持ち帰ることもできるが、その場で食べている人のほうが多い。その為か、ジュースの自動販売機もあちこちで見かけた。のぼりと自動販売機を黄色と赤色で統一しているのだろうか。観光客らしいミーハー目線で撮影してみた。
天ぷらの袋を持っていると寄って来るネコは多いが、筆者はこのときはカメラしか持っていなかった。じーっと見つめられても何もあげられない……。このネコのような白と茶色のグラデーションを綺麗に出したいときは、ピクチャーコントロールの風景を使用している。
天ぷら屋に飾られていた小物たち。ネコ科繋がりか!? 絞り開放で雑多になりがちな周囲をボカして、クリエイティブピクチャーコントロールのポップでよりカラフルに仕上げた。撮影最短距離の40cmぎりぎりくらいまで近付いて撮影。
静かな店内でも小型ボディと静かなAF音のお陰で撮影がしやすくなった(※許可を得て撮影)。沖縄に行くと必ず寄るのが、うるま市の海中道路の入り口に店を構える「うるま陶器」さんだ。やちむんと呼ばれる沖縄の陶器に、琉球ガラスや海をテーマにした青色を取り入れた青い器シリーズに魅せられてしまい、毎回、これどうやって飛行機で持って帰ればいいんだと悩むくらい購入している。
自然光が入り込む店内にはかわいらしい陶器の置物も多数。青い器ならコントラスト高く写したいが、かわいらしい置物ならふんわりと優しく写したい。
ピントを合わせた置物と手前の白い花とはさほど距離がないはずなのに、ぐっと綺麗なボケを作り出してくれたのがこの1枚。レンズの性能は開放絞りのときに出ると実感した。
陶器と木、ロープの質感をしっとりと描き出してくれて、沖縄にしては少し寒い気温まで表現してくれたお気に入りの1枚。暗部をしっかり落としたかったので、アクティブD-ライティングは弱めに設定してコントラストを強くした。
沖縄のローカルフードのタコスとタコライスは沖縄そばと同じく必ず食べている。特に「キングタコス」は来沖の際はぜひ訪れて頂きたい店だ。この後、このタコスには辛いタコスソースが思いっきり掛かり真っ赤になった。
とにかくボケ味が綺麗で、寄りたい病になっていたときに見付けた、前ボケにピッタリの被写体。クリエイティブピクチャーコントロールをドリームにして、全体を暖かい色調にし、ボケ味を強調した。色合いや彩度などで遊びたいと思わせるのは、小さなボディで気持ちが軽やかになっているお陰かも知れない。
金魚好きの筆者としては撮らずにはいられない金魚柄の浮き。もう使用されておらず、店先にオブジェとして飾られていた。赤い浮きをノスタルジックに表現するために、クリエイティブピクチャーコントロールのレッドを使用した。
まとめ
被写体との距離感が縮められて、優しい画を作り出してくれたZ 6とNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sのコンビネーション。単焦点好きとしては、しばらくこのレンズから浮気はできなさそうだ。