特別企画
沖縄旅行にレンズベビーを持って行ったら
独特の描写にうっとりのVelvet 85
2018年5月17日 07:08
ケンコー・トキナーから販売されているLensbabyは、ソフトで美しい独特なボケが味わえる人気のレンズシリーズ。その中でもファンの多いVelvet(ベルベット)シリーズの第2弾として登場したのが、焦点距離85mmの「Velvet 85」だ。
中望遠の圧縮効果と、ベルベットの名の通り優しくしっとりとしたソフトな描写が得意なこのレンズは、ポートレートを撮る方に好まれることが多い。
一方、中心部は芯のある写りをしながら周辺部への滑らかな立体感のあるボケはスナップ撮影でも使いやすく、最大撮影倍率1:2のマクロ撮影が可能なので花や小物などの撮影も楽しいレンズだ。
今回はFUJIFILM X-E3にこのレンズを着けて初夏の沖縄を旅して来た。
作品
絞りを少し絞ればソフトな立体感のある描写になるので、F8~11くらいの絞りで街歩きをするのも楽しい。30度近くに気温が上がって真夏かと思うほどの気候のなか、古民家の屋根を守っているシーサーにカメラを向けてベタな沖縄を楽しむ。
北谷の美浜アメリカンビレッジは、沖縄に行ったら必ず立ち寄る街だ。街中がアメリカンな物で溢れていて日常を忘れられる。ACROSとグレイン・エフェクトで作り出すフィルム調の質感は筆者好みの組み合わせ。
まだ観光客の少ないモーニングの時間帯のアメリカンビレッジはゆっくりと撮影ができてお勧め。ピント操作をすべてマニュアルで行うこのレンズは、微妙なピント位置調節は自分の体を前後させて行う方が合わせやすい。
ソフトで優しい描写のVelvet 85と、X-E3のフィルムシミュレーションASTIAは名コンビ。少し露出を上げて柔らかさを演出すると、南国の刺すような強い太陽に照らされた被写体もドリーミーなムードに演出できる。
海辺のカフェは看板を支えるレンガのブロックさえおしゃれ。同系色の貝殻でデザインされていたのでコントラストを少し上げるためにVelviaで撮影したが、Velvet 85のお陰できついイメージにならずふんわりと仕上がった。
このレンズは中心にピントの芯があり、周辺部に行くにしたがって大きくボケていくので、絞りを開けて使用するときは特に中心付近に主役の被写体を配置する構図が似合う。日の丸構図も恐れることなく取り入れていこう!
レンズのピントリングを「Macro 1:2」に合わせると最短23cmまで寄って撮影できるのが、マクロ好きな筆者の心をつかんで離さないこのレンズの魅力だ。ハイビスカスのめしべとおしべ、どちらにピントを合わせようか悩む瞬間さえ楽しい。
柔らかい花びらを持つ被写体はこのレンズとの相性抜群だ。普段はここまで露出を上げることはあまりしないのだが、このレンズでマクロ撮影をしていると明るめに撮ることが多いことに気が付いた。
黄色い花びらにシベが溶け込むようにボカしたかったので、奥の赤いハイビスカスとの境目のシベにピントを合わせて撮影。微風で揺れる被写体相手で苦労もするが、一瞬を祈りながらシャッターを切る楽しみがマニュアルのレンズにはある。
由布島と西表島の移動手段として使用されている水牛車。30分おきの運行なので休憩中の牛をクラシッククロームで撮影。牛の体の黒色を引き締めるためにシャドウトーンを+1に設定した。
まとめ
筆者は年に数回訪れていて、いわば行き慣れた、見慣れた沖縄なのだが、個性の強いレンズと共に旅をするとまた新たな発見があって撮影を楽しむことができた。
いざ旅行というとき、使い慣れたレンズも大切だが、新たな驚きやひらめきを与えてくれるレンズをラインナップに加えてみてはいかがだろう。