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FUJIFILM フジノンレンズ XF33mmF1.4 R LM WR

富士フイルムのAPS-Cミラーレスカメラ・Xシリーズ用の交換レンズ「フジノンレンズ XF33mmF1.4 R LM WR」が9月29日に発売される。今回、発売に先立ち実機を手にする機会を得た。X-T4と組み合わせた際のサイズ感やハンドリング、実写カットをお伝えしていきたい。

Xシリーズの新スタンダードレンズライン

9月2日、YouTubeを通じて配信された「X Summit PRIME 2021」は大型センサー機GFXシリーズの新モデル「GFX50S II」をはじめ、Xシリーズの次期フラッグシップモデルに積層型X-Trans CMOSセンサーの搭載がアナウンスされるなど、数多くの話題が詰め込まれた内容だった。

この中でXシリーズに関しては、XF23mm F1.4の第2世代モデル「フジノンレンズ XF23mmF1.4 R LM WR」がお披露目され、同時にXユーザー待望とも言える35mm判換算50mm相当となる「フジノンレンズ XF33mmF1.4 R LM WR」の発売がアナウンスされた。

配信内容と同日付で報じられた資料によれば、これら2本のレンズは2021年5月に発売された「フジノンレンズ XF18mmF1.4 R LM WR」とともに、“新世代「大口径プライム」シリーズ”と位置づけられ、イメージセンサーの高画素化を見据えた解像性能を有するレンズとして訴求していく考えであることが示されている。

同配信では、これら3本を軸にレンズの設計デザインについて語られる場面もあり、Xシリーズのこれからが言葉の端々から伝わってくる内容となっていた。それでは同社が示す“新世代”とはどのような点にあるのだろうか。外観デザイン面から改めてその一端を紐解いてみたい。

X Summit PRIME 2021より

X-T4とのバランス感は?

センターファインダースタイルのカメラX-T4との組み合わせで感触を確かめていった。サイズ自体は大きめの印象を抱かされる面はあるものの、太すぎない鏡筒が手への収まりを良くしてくれていると感じた。

鏡筒はほぼ円筒形といっていいデザイン。ストレートな形状が清新な印象だ。マウントからそのまま垂直に伸びた印象で、握りやすさにも寄与しているサイズ感となっている。

数値上は最大径が67mm・全長は73.5mm・フィルター径58mmとなっているため、XF35mmF1.4 R(最大径×全長:65.0×50.4mm・フィルター径52mm)よりもひとまわり以上大柄になっていることが読み取れる。サードパーティレンズとはなるが、Tokinaの「atx-m 56mm F1.4 X」(最大径×全長:65×72mm)が装着イメージ含め最も近い感触だと感じた。

重量面ではXF33mmF1.4 R LM WRが360g、atx-m 56mm F1.4 Xは315gとなっている。どちらも金属外装を採用しているレンズだが、10群15枚と贅を凝らしたレンズ構成を採用していることもXF33mmF1.4の重量に関係しているのだろう。187gのXF35mmF1.4 Rに手が慣れていると、余計に重みが実感される部分だ。

X Summit PRIME 2021より

付属フードは円筒形のプラスチックタイプで深めのつくりとなっている。今回確認することはできなかったが、別売で金属製の角型フード「LH-XF23 II」(希望小売価格は税込1万1,000円)もラインアップされている。XF23mmF1.4 R LM WRと共用できる点も嬉しいポイントだ。

光学系の特徴

XF33mmF1.4 R LM WRのレンズ構成は10群15枚となっている。この内、非球面レンズが2枚、EDレンズは3枚が用いられている。

X Summit PRIME 2021では贅沢なレンズ構成を採用することで「収差を丁寧に取り除いていった」と語られた。レンズグループは第1群に6枚、第2群に6枚を配した構造を採用。特に第2群の6枚を凸凹凸・凸凹凸の対称構成とすることで、この中で収差をきれいにとりきることを意図した設計がなされているのだという。

また、この第2群はフォーカスユニットとなっており、第1群と第2群の間に絞りを配置することでユニットの小型化とAFの高速化も達成しているのだという。

最短撮影距離は30cm。最大撮影倍率は0.15倍と控えめながら、至近側を含めどのレンジでもシャープに写る1本に仕上げられているという。

実写からみえてきたこと

後日、写真家によるインプレッションをお届けする予定だが、絞り開放時の遠景と至近側の描写について、お伝えしたい。

1点目は遠景の場合。晴天で光量の多い条件だったこともあり、シャッター速度はメカニカルシャッターの最高速度1/8,000秒となった。若干露出はオーバー気味ではあるが、手前側の架線と画面奥側のビル群にかけて、かなりシャープな描写となっていることがおわかりいただけるものと思う。

X-T4 / XF33mmF1.4 R LM WR / 絞り優先AE(F1.4・1/8,000秒・±0EV) / ISO 160 / Provia

2点目は最短撮影距離付近の描写となっている。柵手すり上のヘアラインや水滴の切れ味するどいシャープさが、質感にリアリティを与えている。合焦面がカッチリと描写されていることもあり、ピント面の薄さがより強調されて感じられる。周辺部に口径食はみられるものの、非球面レンズにつきものの年輪ボケは確認されなかった。

X-T4 / XF33mmF1.4 R LM WR / 絞り優先AE(F1.4・1/50秒・-0.3EV) / ISO 800 / Provia

本誌:宮澤孝周