【新製品レビュー】ニコンD5100

〜小型化を果たしたバリアングル液晶モデル
Reported by 北村智史

 2009年5月に発売されたD5000の後継モデルで、ニコンのデジタル一眼レフカメラにおけるラインナップの中では、下から2番目のポジションとなる。

 撮像素子はD7000(2010年10月発売)と同じスペックの有効1,620万画素CMOSセンサー。画像処理エンジンにはEXPEED 2を搭載する。D5000もバリアングル液晶モニターを装備しているところは同じだが、D5100では手前に開くタイプから左に開くタイプに変更されている。また、スペシャルエフェクトやHDR(ハイダイナミックレンジ)機能の追加や動画機能の強化なども見どころといえる。

 店頭予想価格はボディ単体が7万9,800円。AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR付きのレンズキットが8万9,800円。AF-S NIKKOR 18-105mm F3.5-5.6 G ED VR付きのレンズキットが11万9,800円。AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VRとAF-S DX NIKKOR 55-300mm F4.5-5.6 G ED VRが同梱のダブルズームキットは12万4,800円。


液晶モニターが横開きタイプに

 パッと見の印象はD5000とずいぶん違う。D5000はペンタ部(内蔵ストロボ部といったほうがいいかも)が丸みを帯びていて、肩が張っていたし、グリップの外側のラインが底面に向けて広がっていくフォルムだったが、本機はペンタ部はやや角張った形になって、肩は丸くなった。グリップ部も縦まっすぐだ。

 サイズ的には高さが7mm小さくなっているが、これは液晶モニターのヒンジ位置の関係。D5000の弟分のD3000(2009年8月)は高さが97mmだったが、D5000は液晶モニターの下部にヒンジのあるタイプだった関係で、背が高くなってしまっていた。一方の本機は左ヒンジに変更された分、小さくなった。どちらかというと、ムダに大きくなっていたのが元に戻っただけと考えたほうが近い気もするが。

 それは置くとして、D5000の液晶モニターは2.7型で23万ドット。手前に開いて左右に回転する方式で、レンズ光軸とインライン配置になるのがメリットだが、縦位置撮影時にはインライン配置でなくなってしまうわけだから、ありがたみは半々でしかないし、三脚撮影時に雲台と干渉して可動範囲が狭まってしまうという難点があった。

 本機は左に開いて前後に回転する、オリンパスやキヤノン、パナソニックと同じ方式となった。雲台と干渉しなくなったので、三脚撮影がとても快適だ。

三脚撮影時に邪魔にならない横開きのバリアングル液晶モニターを搭載。3型、92万ドットはいいが、少し暗めに感じた

 なお、サイズは3型にアップ、解像度も92万ドットに上がっている。ただし、初期設定の状態ではちょっと暗めの印象。明るい野外ではちょっと見づらく感じた(もちろん、輝度を上げればいいわけだが、そうすると電池の消耗が激しくなる)。

 背面の操作部は大幅にレイアウトが変更されていて、MENUボタン以外は右手側に集められている。スペースの関係なのか、ライブビューボタンはレバー式のスイッチになって上面に移動。インフォボタンが少し位置がずれて動画撮影ボタンが新設された。

モードダイヤル同軸にライブビュースイッチを装備。操作しやすい位置なので、つい意味もなく触ってしまうのが困りものシャッターボタンそばに動画撮影ボタンが新設。インフォボタンが場所を譲った感じ。母屋を取られなきゃいいんですけど
背面右手側上部の操作部。液晶モニターの左側にあったボタンたちが引っ越してきた関係で、少しにぎやかになってきたマルチセレクター(十字キー)まわり。右手だけで基本的な操作が行なえるようになっている
左手側に残されたMENUボタン。個人的には削除ボタンと入れ替えてもらえるとうれしい気がする。左隣の丸いのはリモコン受光部上がストロボモード/調光補正ボタン。下は機能の変更が可能なセルフタイマー/Fnボタン

 電源はD3100と同じEN-EL14。要領は1,030mAh。CIPA基準の撮影可能コマ数は660枚。実写ではストロボ非発光で動画少々を含めて350枚ほど撮ったあたりの残量表示は「残りわずか」状態となっていた(3分割の電池マークの1個だけ点灯)。

 記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。UHS-I規格に対応している。実写でのファイルサイズはJPEGのLサイズ/ファイン画質で約5.3MB、RAWが約17.0MB(カタログ上の数値はそれぞれ7.1MBと16.4MBだが、カメラ上の表示は同時記録時に32MBとなっており、かなり数値に差が見られる)。

 なお、使用説明書によるとRAWは14ビットの圧縮RAWとのこと。D3100など、これまでのエントリー系は12ビット固定だったが(D7000より上位は12ビットと14ビットが選択可能)、今後は14ビットが標準になっていくのだろう。

 個人的に気になったのは、グリップ上部の赤いデザインモチーフ。近年は逆三角形だったのが、本機ではニョロっとした形のものに変わっている。赤い三角も賛否両論あったし、難に見慣れていないのが問題なだけかもしれない。

有効1,620万画素の撮像素子のスペックはD7000と同じ。下側のスリットはエアフローコントロールシステム用の空気流制御孔バッテリーはD3100と同じタイプ。容量は1,030mAh。CIPA基準の撮影可能枚数は660枚
記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。高速通信規格のUHS-Iに対応している

動画機能は1,980×1,020/30pに対応

 いちばんの注目ポイントは、新装備のスペシャルエフェクトモード。いわゆるアート系作画機能で、カラースケッチ、ミニチュア効果、セレクトカラー、シルエット、ハイキー、ローキー、ナイトビジョンの7種類がある。

 オリンパスのアートフィルターなどに比べると、もうひとつ地味な感じのものが多い気がするが、セレクトカラーやナイトビジョンはおもしろそうだ。前者は特定の色だけ残したモノクロ写真が撮れるもの、後者は最高ISO102400までの超高感度撮影が可能なもの。

 カラースケッチやミニチュア効果、セレクトカラーは画像編集メニューにも同様のものがあって(ほかに、魚眼効果とか塗り絵とかアオリ効果などもある)、撮影済みの画像に適用することは可能だったが、撮影時にリアルタイムで仕上がりイメージを見ながら撮れる便利さはいうまでもない。

 ただし、ジオラマ効果などは処理がとても重くて、画面表示の更新が遅く(ひどいパラパラになっちゃうのだ)、動きのあるものを撮るのはかなり難しい。また、カラースケッチなども撮ったあとの処理待ちが長いのが気になった点。このあたりは気の長さ(もしくは短さ)にも関係してくるので、興味のある方は店頭などで我慢できる範囲かどうかお試しいただきたい。

新設されたスペシャルエフェクトモード。ファインダー撮影時にも使える(セレクトカラーなどはライブビューが必須ですけど)。

 新しくHDR機能も追加された。2枚を連写して合成する方式で、2枚の露出差はAUTO、1EV、2EV、3EVから選べる。また、合成する境界部分のつながり具合のなめらかさに影響するスムージングは弱め、標準、強めから選べる。

 2枚の画像の時差のせいで動きのある被写体には不向きだが、画像処理のみのアクティブD-ライティングよりも効果は大きい。しかし、エントリークラスだからということなのか、1回撮影するごとに自動的に解除されるのが辛気くさい。念のために段階露光を、などと考えると、いちいちメニューに入ってHDRをオンにしないといけない。FnボタンにHDRを割り付ければ多少は手間を軽減できるものの、今度はセルフタイマーのセット(こちらも1回ごとに自動解除される)が面倒になる。できれば、撮影後に自動解除するかどうかを選択できる機能が欲しかった。

おなじみのインフォ画面。こちらは上位モデルの表示パネルを模したクラシックデザインこちらはグラフィックデザイン。クラシックデザインとも、背景色は3色から選べる
「i」マークのインフォ設定ボタンを押すと、さまざまな機能の変更が可能となる。メニューに潜らなくてもいいので効率がいい
カスタムメニューのセルフタイマー/Fnボタンの機能の設定画面。このボタンに何を割り当てるかが使いこなしのキモといえる
AE/AFロックボタンの機能の設定画面。AE-L(ホールド)はボタンから指を離してもロック継続となる。AF-ONは「親指AF」となるコマンド(電子)ダイヤルの回転方向が選べる。上位モデルで設定変更していて本機をサブとして使いたい人にはうれしい
インジケーターの方向の変更も上位モデルと統一できる(キヤノン機と、という説もあるが)ライブビューの画面。上下左右に見える白い線は動画の撮影範囲を示すガイド
最大まで拡大した状態での倍率は約7.7倍。MFで精密なピント合わせをしたいとき用

 動画機能が強化されたのも大きなトピックだ。D5000は1,280×720ピクセルの24fpsで最長5分だったが、本機では1,920×1,080ピクセルの30p(約30fps)で最長20分にスペックアップ。ライブビュー/動画用のAF-F(常時AFサーボ)モードや動画撮影ボタンも装備された。スペシャルエフェクトを使っての動画撮影も可能となっている。

 動画撮影はライブビュー状態から動画撮影ボタンで開始、再度押すと停止となる。コントラスト検出AFは思っていたより速くて快適。ミラーレス機と比べればまだまだの部分ももちろんあるが、ずいぶん頑張ってるなぁ、というのが第一印象だ。AF-Fモードでは動画撮影中でもAFが作動し、被写体の動きを追ってピントを合わせてくれるが、ときどき迷ったり、勝手に外れたりもする。もう少し落ち着きが欲しい感じがした。

 音声は内蔵のモノラルマイクによるが、外部マイク端子を備えている。別売のステレオマイクロホンME-1(税込み価格12,600円)を使うと、AF時のレンズ駆動ノイズを大幅に軽減できるとのこと。従来からのニコンユーザーも注目すべきアイテムだろう。

こちらは動画撮影中の画面。右上に撮影可能な残り時間が表示される。フルHDモードだと最長20分まで

まとめ

 本機のいちばんのライバルは、やはりキヤノンのEOS Kiss X5だろう。最高感度や連写パフォーマンス(本機は4枚/秒でRAWでも16枚撮れる)、アート系作画機能がライブビューで使えること、コントラスト検出AFが速い、HDR撮影機能などの部分は上まわっている点。一方、実売価格はライバルより1万円ほど安い(ボディ単体とAF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR付きキットの場合)。コストパフォーマンスの高さは見逃せない。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・ピクチャーコントロール/スペシャルエフェクト

 画像仕上げ機能のピクチャーコントロールは従来と同じ。スペシャルエフェクトは全部で7種類あるが、ハイキーやローキー、シルエットあたりはちょっと効果が地味な感じだ。個人的に使ってみておもしろそうだったのは、ミニチュア効果、セレクトカラー、ナイトビジョン。

ピクチャーコントロールはポートレート、風景を含む6種類がプリセット。もちろん、好みに合わせて微調整が可能だ。
スペシャルエフェクトのカラースケッチいわゆるジオラマ風のミニチュア効果
選択した色だけ残したモノクロ写真が撮れるセレクトカラーシルエットは背景との輝度差が大きい条件じゃないとあまり効果は出ないらしい。
明るい雰囲気のハイキー黒ものを撮るのにぴったりのローキー
最高ISO102400までの高感度撮影が可能なナイトビジョン

ピクチャーコントロール:スタンダード / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 300mm(450mm相当)ピクチャーコントロール:ニュートラル / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 300mm(450mm相当)
ピクチャーコントロール:ビビッド / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 300mm(450mm相当)ピクチャーコントロール:モノクローム / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 300mm(450mm相当)
ピクチャーコントロール:ポートレート / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 300mm(450mm相当)ピクチャーコントロール:風景 / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 300mm(450mm相当)
スペシャルエフェクト:カラースケッチ / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO1,400 / WB:オート / 300mm(450mm相当)スペシャルエフェクト:ミニチュア効果 / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/125秒 / F9 / 0EV / ISO640 / WB:オート / 300mm(450mm相当)
スペシャルエフェクト:セレクトカラー(菜の花のイエローをセレクト) / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 300mm(450mm相当)スペシャルエフェクト:シルエット / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 300mm(450mm相当)
スペシャルエフェクト:ハイキー / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO2,200 / WB:オート / 300mm(450mm相当)スペシャルエフェクト:ローキー / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/1000秒 / F5.6 / 0EV / ISO720 / WB:オート / 300mm(450mm相当)
スペシャルエフェクト:ナイトビジョン / D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/1000秒 / F11 / 0EV / ISO6400 / WB:太陽光 / 300mm(450mm相当)

・アクティブD-ライティング/HDR

 1コマ撮影+画像処理によるアクティブD-ライティングはこういうシーンではわりと効果が目立ちにくい傾向がある(よく言えば誇張がなくて自然な仕上がり)。

 それに対して、2コマ合成のHDRはわりと中間調に近いあたりからシャドー部がぐいぐい出てくる感じ。強い逆光などでも効果が期待できるだろう(いずれもスムージングは標準で撮影している)。

アクティブD-ライティングは従来どおりHDRの設定画面。1回ずつ解除されてしまうのがちょっと難点
連写する2枚の露出差の設定画面撮影シーンによって輝度差の大きい部分が不自然になることがあるらしく、その場合はスムージングの設定を変えてみるといいらしい

アクティブD-ライティング:しない / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)アクティブD-ライティング:弱め / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)
アクティブD-ライティング:標準 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/320秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)アクティブD-ライティング:強め / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/400秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)
アクティブD-ライティング:より強め / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/500秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)アクティブD-ライティング:オート / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)
HDR(露出差:オート) / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)HDR(露出差:1EV) / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)
HDR(露出差:2EV) / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)HDR(露出差:3EV) / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)

・感度

 撮像素子はD7000と同等のものと思われ、感度の設定範囲も同じ。ベース感度はISO100で常用最高感度はISO6400。ISO6400に対して2段増感(Hi 2のISO25,600相当)が可能だ。

感度自動制御はニコン式の感度オート。設定がちょっとややこしそうに見えるが使ってみると便利で楽

 高感度ノイズ低減は初期設定の標準で試写を行なった。ISO1600までなら安心して常用できそうな印象。ノイズは多少出ているが、ディテールはよく残っているし、彩度の低下も見られない。ISO3200になると暗い部分のエッジが少しあやしくなりはじめ、明るい部分もノイズが乗ってクリーンでなくなってくる。が、ISO6400でも条件によっては使えなくはない画質といえる。ISO12800以上は非常用の考えるべきで常用は避けたい。

ISO100 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/10秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)ISO200 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/20秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)
ISO400 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/40秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)ISO800 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/80秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)
ISO1600 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)ISO3200 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/400秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)
ISO6400 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/800秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)ISO12800 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/1600秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)
ISO25600 / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/4000秒 / F13 / 0.3EV / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)

・自動ゆがみ補正

 以前は処理待ちが長くて実用に耐えないレベルだった自動ゆがみ補正だが、本機ではほとんと待ち時間が気にならなくなっている。純正のGタイプまたはDタイプレンズにしか対応できないのはこれまでと同じ。なお、画像編集メニューにもゆがみ補正機能がある。

レンズの歪曲収差を自動的に補正してくれる。処理待ちはほとんどないので常用できるのがありがたい。

自動ゆがみ補正:しない / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/50秒 / F11 / 0.3EV / ISO100 / WB:オート / 20mm(30mm相当)自動ゆがみ補正:する / D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/50秒 / F11 / 0.3EV / ISO100 / WB:オート / 20mm(30mm相当)

・作例
処理がかなり重いので動くものを手持ちで撮るのは至難の業だが、他社と異なり縦位置にも対応できるのはうれしい。D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / ミニチュア効果 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 125mm(187.5mm相当)本機にはちょっと大きすぎだが、自前のVR 70-300mmも使ってみた(DXの55-300mmよりAFが速いし、M/Aモードが便利)。D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F5.3 / 0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm(300mm相当)
ピントが合っている部分はいいのだけれど、周辺部の画質がよくない。カメラの問題じゃなくて、レンズの偏芯だと思う。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 35mm(52.5mm相当)歴史を感じさせる喫茶店。フレアがちょっと気になるけど。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 18mm(27mm相当)
セレクトカラーでオレンジ系の色を残す設定で撮ったカット。被写体から色を抽出して、その色だけ残すように設定できるので簡単。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / セレクトカラー / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm(27mm相当)ホワイトバランスを太陽光にセットして撮ったカット。オートホワイトバランスだと桜の淡い色が抜けてしまうから。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/40秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 30mm(45mm相当)
キットレンズのVR(手ブレ補正)の効き目は公称でシャッター速度3段分。ちょっと暗いくらいなら手持ちで十分に撮れる。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/25秒 / F5.6 / 0.7EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(27mm相当)露出レベルはおおむね良好で、露出補正が必要な場合でも±0.7EVの範囲におさまってくれている。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/20秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 18mm(27mm相当)
「家具」や「多様」に比べて「表札」のボケ具合が目立つ。たぶん、お借りしたレンズのせいだろうとは思うが、ちょっと気になる。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/60秒 / F4 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 22mm(33mm相当)道ばたで値付けや髪飾りとかを売ってたのをちょっと離れた位置から。D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 300mm(450mm相当)
古い街並みの中に今ふうの建物が混じってたりするのが面白い。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm(42mm相当)いつもネコだらけになっている場所。人慣れしているので近づきすぎなければ逃げることはない。毛並みがあまりよくないのが心配だけど。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / 1/80秒 / F5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 38mm(57mm相当)
こちらは置物。モノクロになっているせいもあるが、ISO6400なのに、思ったよりもなめらかでディテールもよく残っている。D5100 / AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF) / 4,928×3,264 / ナイトビジョン / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO6400 / WB:太陽光 / 300mm(450mm相当)照明を全部消して撮ってみた。ISO100ならF5.6で20秒露光が必要な暗さ。画質はすごいけど、撮れること自体に価値があるといえる。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 4,928×3,264 / ナイトビジョン / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO102400 / WB:太陽光 / 55mm(82.5mm相当)

・動画
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AF-Fモードでの撮影。頭の部分で一度、ピントが迷ってしまっている(最後のほうでもピンボケあり)。AF駆動音は大きくはないが耳にさわる。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 1,920×1,080 / 30p / H.264 / WB:オート / 11秒
パソコンの画面で見るとややソフト気味だが、テレビ画面で見る分には良好な画質。こちらもAF-Fモードで、ピントが迷う現象が見られた。D5100 / AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR / 1,920×1,080 / 30p / WB:オート / 21秒


北村智史
北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら

2011/4/18 00:00