新製品レビュー
ニコン ZR【静止画編】
Z6III譲りの高画質と“RED”のルックをスナップで楽しむ
2026年5月7日 07:00
先日のニコンZR「動画編」に続いて、今回は静止画の実写を中心にお伝えしたい。外観などについては動画編の記事を参照してもらえれば幸いだ。発売は2025年10月で、ボディの実勢価格は30万円ほどとなっている。
Z6III同等の画質を実現
ZRは同社初のシネマカメラで、最大6KのRAWよる高画質な動画撮影機能が受けてユーザーも増えつつあるようだ。一方、静止画の画質は基本的に「Z6III」を継承したものとなっている。
Z6IIIよりも小型・軽量のボディとなるため、スナップ撮影や旅行での写真撮影用として気になっている人も多いのではないだろうか。ZRはファインダーレスのボディのためバッグへの収まりもよい。重さはZ6IIIが約670g(本体のみ)なのに対して、ZRは約540g(同)なので約130gも軽くなっている。
外観でほかに省略されているのはグリップだろう。ZRはしっかり握れるという感じのグリップは付いてないが、幸いSmallRigから専用グリップが登場している。今回の試用でも装着して使ってみたが、ボディとの一体感が高く非常に持ちやすくなる。ZRユーザーにはおすすめのアクセサリーだ。
イメージセンサーは有効2,450万画素のFXフォーマット。常用最高感度はISO 64000で、ISO 204800相当までの増感が可能だ。画像処理エンジンはEXPEED 7。このあたりの数字はZ6IIIと同じになっている。
Z6IIIよりもスペックアップしている部分もある。それは背面モニターのサイズで、Z6IIIの3.2型に対してZRは4型とデジタルカメラの中でも大きい部類。EVFの代わりになるとは言わないまでも、一般的な3型クラスのモニターよりもかなり見やすいのは確かだった。
ISO 6400でもクリーンな画質
今回はスナップを想定したシューティングとし、ぶらぶらと街を歩きながら撮影してみた。まずはピクチャースタイルをスタンダード(特記無きものは以下同)にして、素の実力を見た。
レンズが大三元の新モデル「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II」ということもあり、細かい部分まで文句なしの描写。色味やコントラストもニコンらしいパキッとしたもので抜けも良い。
続いては高感度性能を確認した。よく使われるであろうISO 6400で夜景を撮影してみた。撮って出しのJPEGでもかなりノイズ感はなく、実際の鑑賞サイズではほとんどノイズが気にならないレベルであろう。
ところで当初、ZRに大三元の標準ズームは重すぎて使いにくいのでは? と思ったのだが、Z 24-70mm f/2.8 S IIは約675gと軽くなり、インターナルズームなことも相まって実際に使ってみると”前重”という感じにはならず、かなり取り回しが良かったことを記しておきたい。
ニコン×REDの新イメージングレシピを試す
ZRは動画記録ではREDのシネマカメラと同じカラーサイエンスを使った「R3D NE」が用意されているが、静止画ではそうしたRED由来のRAWフォーマットは特に用意されていない。
その代わり、ZRの発売後にニコンとREDのテクノロジーを融合したというイメージングレシピが新たに公開され、静止画にも適用できるようになった。ZRに最初から登録されている「CineBias RED」のほか、8種類が使える。
イメージングレシピは「Nikon Imaging Cloud」を経由して、あらかじめボディに転送しておくことで利用可能になる。イメージングレシピはZR専用というわけではなくZ6III、Zf、Z5II、Z50IIでも使用可能となっている。
今回はその中からいくつかを試してみた。「CineBias-C」は、鮮明で際立ったコントラストを与えるというレシピ。落ち着いた発色で高層ビルと相性が良かった。
「CineBias-CC」は、青と緑を際立たせる一方でクールな雰囲気をもたらすというレシピだ。かなり個性的だが陰影のトーンもよく表現できているようだ。
そして「CineBias-TC」は、全体的に緑系の色調を強めたレシピとのこと。先のCineBias-CCほど極端ではないので、普段遣いにも良さそうなルックと思った。
ニコンとREDのレシピの中では唯一モノクロとなるのがこの「CineAchromic」。調和の取れたトーンとしっかりとしたコントラストが特徴という。モノクロとしてはキツさのない自然なルックに感じた。スナップにも適するようで、一度試してみてほしいレシピだ。
「CineBias-BB」は、BBからわかるようにブリーチバイパス風のレシピとなっている。高いコントラストと低彩度ということで、都市スナップにはもってこいのレシピだ。
「CineBias-T」は、ムーディーでシネマティックな雰囲気を演出するというレシピ。シャドウに青緑、ハイライトに赤黄といった色味を加えた、いわゆるスプリットトーンのルックだ。簡単に映画を彷彿とさせる写真が撮れる。
ベストマッチのパンケーキレンズ
パンケーキレンズ「NIKKOR Z 26mm f/2.8」も試してみた。重さが約125gとレンズを付けている感覚がほとんどないほどの重量が魅力だ。ZRにベストマッチの1本とも言えよう。
26mmという比較的広めの画角でスナップにも向いている。絞り開放がF2.8と単焦点レンズとしては暗めだが、それでも大きな前ボケを作りやすい。このあたりはFXフォーマットの恩恵かもしれない。
同じレンズで頭上に現れた飛行機に咄嗟にピントを合わせた。かなり小さな被写体だがバッチリ合焦。絞り開放でも安心して使える画質のレンズだった。
まとめ
以上、静止画カメラとしてもなかなかハイクオリティであることがわかった。他方でウィークポイントとなるのがZ6IIIと異なり、メカシャッターが非搭載という点だろう。そのため、動いている被写体の条件によってはローリング歪みが生じる。走る電車を近距離から撮影した下の写真ではローリング歪みが確認できた。
ほかにも動きモノの写真がメインだと、グリップを握りEVFを覗くZ6IIIが適している面はある。また、今回試用していてそれほど使いにくいという感じはなかったが、操作ボタンの数もZRではかなり省略されている点にも注意したい。
このあたりに目を瞑るなら、連写速度が同じながらZ6IIIよりも実売で10万円ほど安い価格も大きな魅力になる。写真に加えて動画も作品として撮影するならZRは良い選択肢になりそうだ。



















