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ニコン初のシネマカメラ「ZR」が登場。REDと同じカラーサイエンスを搭載

ニコンは、同社初のシネマカメラを謳う「ZR」を10月24日(金)に発売する。価格はオープン。店頭予想価格はボディ単体が29万9,200円、24-70レンズキットが37万4,000円。

“Z CINEMA series”に属するZマウントカメラ。製品名に冠した“R”は、同社が2024年に子会社化したRED社に由来。シネマカメラ業界をリードしてきたREDのカラーサイエンスを搭載したモデルで、ニコンで初めてシネマカメラとしての要素を強く訴求していくモデルという。

コンパクトなボディに、多彩かつ高性能な動画モードやオーディオ技術を凝縮。ワンオペもしくは少人数での映像制作者をメインのターゲットに据える。高価格なRED機と同等の映像制作環境を、約30万円という価格帯で実現した点もポイントとしている。

ちなみにZ CINEMA seriesには、今年2月にRED社がリリースしたZマウントカメラ「V-RAPTOR [X] Z Mount」と「KOMODO-X Z Mount」がある。

大きなアピールポイントは、REDの機材と同じ色味やワークフローを手軽に再現できるところにあるという。REDのRAWである「R3D」形式を、ニコンのEXPEEDエンジンで最適に映像記録できるように新開発したという専用コーデック「R3D NE」を搭載。カラースペースやガンマカーブをREDカメラと統一できるため、例えばREDカメラを含むマルチカメラでの撮影体制においても、カラーグレーディングの互換性も高く統一感のある映像表現が可能としている。

イメージセンサーにはZ6IIIと同じ35mmフルサイズフォーマットの部分積層型CMOS(有効約2,450万画素)を採用。読み出し速度の速さが特徴で、ローリングシャッター歪みを抑えながら12bit 6K 59.94pのN-RAW、FHD 239.76pなどの内部収録に対応するという。ダイナミックレンジは最大15ストップ以上。

画像処理エンジンはEXPEED 7。ディープラーニングを活用したAI技術による被写体検出に対応し、人物(顔、瞳、頭部、胴体)、犬、猫、鳥、飛行機、クルマ、バイク、自転車、列車を検出・追尾できる。

「シネマティック動画」モードを搭載。ピクチャーコントロールには、シネマティックな雰囲気に仕上がる「CineBias_RED」が設定されている。

ニコンのクラウドサービス「Nikon Imaging Cloud」には、新たにREDが監修した9種類のイメージングレシピを追加。ダウンロードしてカメラに登録・適用することで、撮って出しでもシネマクオリティの映像を撮影できるという。

ボディ内5軸手ブレ補正を搭載。動画撮影で中央7.5段、周辺6.0段分の補正効果をもつほか、電子手ブレ補正も利用可能としている。

本体はファンを持たない“ファンレス設計”としているが、優れた静音性と放熱性を実現。内蔵マイクを使用する場合でもノイズの少ない音声を収録できるという。

背面には4.0型・約307万ドットのモニターを搭載。輝度は1,000cd/㎡で、色域はDCI-P3を100%カバー。

外部マイク無しで、32bitフロート録音が可能。3つのカメラマイクを内蔵しており、ノキア社が開発したOZO Audio技術を搭載。シーンに応じて5種類の指向性から選択できる。

カメラのトップ部には、デジタルインターフェイス規格のアクセサリーシューを搭載する。

CFexpress Type BおよびmicroSDカードのスロットを備えている。

外形寸法は約134×80.5×49mm。質量は約630g(バッテリーおよびメモリーカードを含む)。

本誌:宮本義朗