新製品レビュー
ヴォータンクラフト「PILOT 10L」
ナイロン素材で1kg未満 普段使いできる“味わい“カメラバッグ
2020年11月10日 06:00
株式会社オリエンタルホビーが9月14日に発売したカメラバッグ、WOTANCRAFT（ヴォータンクラフト）の「PILOT」（10Lモデル）の試用レポートをお届けする。
ラインアップは10L（希望小売価格：税別2万2,500円）と7L（希望小売価格：税別1万8,000円）の2モデル。カラーはチャコールブラックとチャコールブラウンの2色を展開している。
WOTANCRAFTとは
ビンテージ品やミリタリーを愛するという職人同士で集まり、2009年に台湾で発足したレザークラフト工房。カメラバッグをはじめ、日常用バッグや時計のバンドなどを製作している。その製品はいずれも“ミリタリーテイスト”を感じさせるものとなっている。
元々はイタリアの腕時計ブランドであるPANERAI（パネライ）のレザーバンドをリメイクするところから始まったのだという。現在でもPANERAIやApple Watch用のバンドをラインナップしている。カメラバッグを製作するキッカケとなったのは、製作者たちがカメラや写真が身近にあるライフスタイルに魅力を感じており、“自分たちのスタイルで持ち歩きたいバッグ”を作りたかったからだという。
同社がリリースしたカメラバッグは、今回紹介する「PILOT」の他にも「TROOPPER」「RIDER SLING」「BACKPACK」「RYKER」といったシリーズを展開しており、それぞれ異なるコンセプトを持っている。
PILOT 10L
“使いやすさ“へのこだわりをチェック
今回試用したカメラバッグ「PILOT」は、“使いやすさ”を追求したモデルであり、特に旅を意識してデザインしているという。実際に使ってみて、細部にわたってその“使いやすさ”におけるこだわりが垣間見えた。
まず使ってみて感じたのが、その味のある質感とは反対に、とても“軽い”ということだった。同社には、アウトドアシーンでの使用においてカメラバッグは軽くあるべきだという考えがあるのだという。本バッグも素材にコーデュラナイロンを採用し、耐摩耗性と耐引裂性を向上させながら軽量化も実現したとしている。ちなみに重量はカタログ値で10Lが約900g、7Lが約700gとなっている。
表面に撥水テフロンコートを、生地の裏側に防水PUコートを施したことで防水性を高めたとしている。実際に水をよくはじく印象だが、軽量化ゆえに生地厚の薄いコーデュラナイロンを使用しているため、断続的に雨に打たれるといったような状況は避けたいなと感じた。
また、表面にワックス処理を施すことで、ナイロンでありながら綿布のような手触りを再現しているという。このバッグの特徴にもなっている灰白色の模様は、このワックス処理の影響からくるもので、使用するほどに“デニムジーンズが色落ちするように”その変化を楽しめるのだとしている。
ショルダーストラップには、クッション入りの肩パッドが付いている。この肩パッドで驚いたのは、内側に施している滑り止めの効きの良さだ。少々の動きではまったくずれることがなく、カメラを取り出すためにバッグを体の前に持ってきた際など、とても安定しており使いやすく感じた。
ストラップとバッグの接続部は回転する仕様となっており、身体の動きに対してバッグが不要にぶれることがない。使用中はいい意味でバッグの存在を感じさせないものとなっている。バイクに乗る際にも使用してみたが、動きを邪魔することもなく、身体にフィットしていたように思う。
メイン収納部へのアクセスにはジッパーがなく、フックを利用した開閉機構のみ。このフックもひっかけやすいわりに外れにくく、使用中はとくに不安を感じることがなかった。
フラップの両側にはカバーが備えられており、バッグを閉めた際に隙間を生じさせることがなく、横から雨などが侵入することを防いでいる。アウトドアシーンでの使用を想定したつくりとなっていることがわかる。しかし、それでいて開口時には機材の取り出しを妨げることもないため、ストレスがない。
収納スペース
メインのカメラ収納部内寸は38×11×24cm。2枚の中仕切りが付属しており、柔軟にレイアウトを変えることができる。13インチのノートPCの収納にも対応するが、仕切りを取り外しできる仕様となっている。PCの持ち運びがない場合は、多少カメラ収納部を広くすることができる。
フロント面にはジッパー式のポケットを装備。寸法は27×23cmで、B5ノートがすっぽりと入るくらいのサイズだ。ポケット内部には小物類を分けて収納できるインナーポケット（14×1.5cm）2個を備えている。
フロントのジッパー式ポケットと、バッグ本体の間にも実は収納部が隠れている。書類やノート関係を差し込める隙間と、さらに隠しジッパー式ポケットが搭載されている。パスポート類などが入るようなサイズ感となっており、これも旅先での使い勝手を意識したコンセプトの現れといえよう。
小さめの「PILOT 7L」とサイズ比較
「PILOT」シリーズはチャコールブラックとチャコールブラウンの2色を展開、サイズは10Lと7Lの2モデルを用意している。旅行向けを謳った10Lモデルと比較して、7Lモデルは通勤やスナップ撮影向けとして訴求している。カラーの雰囲気やサイズ感の違いを見てみたい。
容量に3Lの差があるので、見た目のサイズ感にも多少の違いを感じられる。以下は身長180cmの男性が身に着けた際のサイズ感を比較。
別売の拡張ポーチも試してみた
「PILOT」シリーズには、バッグ本体に装着することで、拡張バッグとして使用できるポーチがラインアップされている。
ボトルなどを収納できる「ドローストリングポーチ」と小物類の収納に対応する「ジッパーポーチ」の2種類だ（いずれも希望小売価格は税別4,500円）。それぞれポーチの背面にバックルを装備しており、これをバッグ本体表面のループ部分に装着する。
バッグ本体への装着方法は、状況に応じてアレンジもできそうだ。バッグの蓋を、ポーチに被せるように配置したり、ドローストリングポーチにペットボトルを収納する際は取り出しやすいように外側に出すことなどもできる。
これらは付属のストラップを装着して、個別のポーチとして使用することも可能。
用途や好みに応じてカスタマイズできる点がとても楽しい。
まとめ
ヴォータンクラフトのカメラバッグといえば、肉厚のレザー素材を配し、マニアックなまでにユーズド感のカッコ良さを追求したデザインというイメージがあるだろう。そうした味のあるカメラバッグはどうしても重量級になりがちだが、PILOTシリーズはワックスキャンバスのような素材感をナイロン素材で再現し、徹底してバッグ全体を軽量に仕上げている。
先に述べた“旅行向け“というポケット類の装備や、別売されている外付けポーチのカスタマイズ性なども含め、こわだりのバッグで毎日の気持ちを上げたいという普段使いのニーズにもフィットする新モデルといえるだろう。
