新製品レビュー
HUAWEI P20 Pro
1/1.7インチ4,000万画素の実力を見る トリプルカメラスマホ、ついに日本発売へ
2018年6月12日 12:36
ついに3つのメインカメラを搭載したスマートフォンがNTTドコモから登場した。しかもライカブランドを冠して。その端末は「HUAWEI P20 Pro」。デュアルカメラのパイオニア「HUAWEI」が放ったこの新しいスマートフォンは、3つの眼、最大約4,000万画素、驚きの高感度特性を持つ「デジタルカメラキラー」になり得る存在だった。
発売日:2018年6月15日
キャリア:NTTドコモ
CPU:HUAWEI Kirin970 オクタコア 2.4GHz(クアッドコア)+ 1.8 GHz(クアッドコア) NPU(Neural-network Processing Unit)
RAM:6GB
ROM:128GB
ディスプレイ:2,240×1,080ドット 約6.1インチ
バッテリー容量:3,900mAh
OS:Android 8.1
重量:約180g
デザイン/質感/持ちやすさ
ボディサイズは縦約155mm、幅約74mm、厚さ約7.9mm、重さ約180gで、高級感がある艶やかなカラーを纏う。ミッドナイトブルーとブラックの2色が用意されるがどちらも落ち着きがある色合いだ。
ボディサイドは丸くまとめられながらもエッジ感があり、ケースなしで握った場合もホールド感は悪くない。
右サイドには上からボリュームキーと電源キーが、左サイドにはSIMスロットを備える。
またディスプレイの下部には指紋認証センサーがあるが顔認証にも対応している。
背面はFeliCaロゴの上に”LEICA VARIO-SUMMILUX-H 1:1.6-2.4/27-80 ASPH.”の文字が輝き、その横には3つの眼がズラリと並ぶ。
底面にはUSB Type-C仕様の端子を備えている。またIPX7準拠の防水とIP6X準拠の防塵に対応しているのでハードな環境での撮影でも安心感がある。
画面の見やすさ
ディスプレイは約6.1インチの有機ELだ。解像度はフルHD+の2,240×1,080ドット。ボディのギリギリまで迫る表示領域は撮影時も写真鑑賞時も迫力ある体験を提供してくれる。
105%NTSC色域と100万対1のコントラストを誇るFullViewディスプレイはとても見やすいといえるだろう。
アップルのiPhone Xを発端とした切り欠き問題だが、HUAWEI P20 Proはそのノッチを設定によって隠すことが可能になっている。
カメラ
最大の特徴は何といってもカメラだろう。
従来(HUAWAI Mate 10など)のデュアルカメラも写りに定評があったが、この端末は約4,000画素の標準カメラ(35mm判換算約27mm相当F1.8)、約800万画素の望遠カメラ(同約80mm相当F2.4)、そして約2,000万画素のモノクロカメラ(同約27mm F1.6)と3つのカメラを搭載しているのだ。
しかも約4,000万画素カメラのセンサーサイズは1/1.7インチとスマートフォンとしては大きなものをマウントしている。
これらにより光学的な望遠レンズによる撮影と、大型センサーによる高画素撮影がスマートフォンで可能になったのである。
しかも“AI”によるシーン認識など撮影サポートもHUAWEI Mate10 Proより進化したものを積み、ほぼ端末まかせでコンパクトデジタルカメラを凌駕するような写真撮影が楽しめるのだ。描写はややシャープネスと色合いがキツいAndroid的なものとなるがこれは本当にスゴい。
撮影モードも豊富だ。「アパーチャ」「夜景」「ポートレート」「写真」「ビデオ」「プロ」「その他」となり、「アパーチャ」は擬似的にボケ味を楽しめる。
「夜景」は文字通り暗所撮影モードで、シャッタースピードをAUTO、1/4〜32秒まで設定が可能。またISO感度もAUTO、100〜1600まで変えることができる。
「ポートレート」は従来モデルの「芸術的背景ぼかし」と「ビューティーレベル」に加えて、iPhone Xのポートレートライティングを模した「3Dポートレートライティング」効果も搭載。
「写真」は通常撮影モードで、「ビデオ」は4Kなどムービー撮影、「プロ」は様々なパラメーターを設定できるマニュアル撮影機能、「その他」はスーパースローやパノラマ、タイムラプスなど特殊な撮影モードとなっている。
注意したい点は、どうしても高解像度が欲しい場合以外、4,000万画素(7,296×5,472ドット)ではなく1,000万画素(3,648×2,736ドット)で撮るといい。なぜなら4,000万画素に設定してしまうと光学3倍の望遠カメラや、アパーチャ、ポートレートモードなどが使えないからである。
AI
HUAWEIお得意のAIは、19種類の被写体やシーンを自動で認識。最適な露出やモードで写真を仕上げてくれる。ディスプレイ上に何と認識ししたかが表示されるので、問題なければそのままシャッターを切れば美しい写真が撮れる。
ただ「青空」だと空が鮮やかすぎたり、白い砂利だと「雪」と認識されたケースもあった。AIに従いたくない場合は「×」をタップすればAIがキャンセルされる。
青空モードで撮影したが空が青すぎる印象だ。ちょっとやり過ぎ感が漂う。
こちらも青空と認識された。一般的な被写体はメリハリが効きAndroidらしいシャープ感が強い絵作りが得られる。
曇天下でアジサイを花モードで撮影したが、見た目の印象より色鮮やかにパリッと感溢れる仕上がりとなった。AIはホワイトバランスを晴天寄りに振った印象だ。
やや照明が暗いカフェでサラダをフードモードで撮影。色味とシズル感が実際の見た目より強調され、SNSなどでシェアしても好感が持たれそうな感じとなった。4,000万画素で撮影したため、35mm判換算約27mm相当の画角だ。
日の出/日の入りモードで夕景を撮った。色合いが実際よりも増幅されてドラマチックな写真となった。コントラストもやや高められインパクト重視の仕上がりだ。
オートフォーカス/連写
被写体の動きを予測してピントを合わせる「4D予測フォーカス」はなかなか優秀だ。
踏切待ちで目の前を通り過ぎる江ノ電を連写したが、秒間10コマ程度のスピードで苦もなくピントを合わせ続けながら連続撮影が可能だった。
また連写ではないが、スリープ時にボリュームキーの下側をダブルクリックすれば約0.3秒で撮影できる「ウルトラスナップショット」という機能もある。いずれにせよシャッターチャンスには強い端末だと言えよう。
作例
HUAWEI P20 Proは約4,000画素の標準カメラ(約27mm相当F1.8)、約800万画素の望遠カメラ(約80mm相当F2.4)、そして約2,000万画素のモノクロカメラ(約27mm F1.6)と3つのカメラを搭載している。
解像度を4,000万画素以外に設定すると、ディスプレイ上に表示される「1x」「3x」「5x」というアイコンをタップすればそれぞれの倍率に画角を変更できる。また長押ししてドラッグすると最大10xまでののデジタルズームが可能だ。
「1x」「3x」は光学的なものだが、それ以外の倍率はデジタル処理されたものになるようだ。
この写真は稲村ヶ崎から富士山を撮影したもの。35mm換算約135mm相当のデジタルズーム領域だがまずますの描写になっている。等倍で確認すると塗り絵っぽい印象だが、全体を引いて見ると波の質感、橋の欄干、富士と陸地のディテールなど違和感ない仕上がりだ。
HUAWEI P20 Proは大型センサーと明るいレンズによる味わい深い撮影が可能だ。原っぱにモデルに座ってもらって撮ったカットだが、優しい立体感と細かい描写が同居していい雰囲気に仕上がった。
「3x」の望遠レンズでモデルを大きく捉えてみた。今までのスマートフォンは望遠側がせいぜい2倍程度で、それ以上はデジタルズーム領域になってしまうケースが多かった。
しかしHUAWEI P20 Proなら光学的にここまで被写体を大きく撮ることが可能だ。しかも「アパーチャ」機能で背景ボケを演出したり、再度ピント合わせを撮影後にし直すこともできる。
やや色被りしているが、曇天下の自然な色合いになった。モデルの肌、髪の描写、ニットの素材感、草の精細感など、ただシャッターを切っただけでここまで写ってしまうのだ。
4,000万画素で寝転ぶモデルを撮影した。この解像度だとファイルサイズは約12MB程度になる。解像感は増すが前述のとおり光学3倍の望遠カメラや、アパーチャ、ポートレートモードが使えなくなる。
HUAWEI の端末は「盛れる」セルフィーが撮れることで人気が高いが、この端末も、背景ボケを作る「芸術的背景ぼかし」と美肌モードの「ビューティーモード」が可能だ。
二子玉川のカフェでモデルに自撮りしてもらったが、美しい美肌モードによるスムーズ感と、程よくバックがボケた仕上がりになった。
HUAWEI P20 Proを使って一番驚いたのが「夜景」モードだ。
シャッタースピードはAUTO、1/4〜32秒まで設定が可能で、ISO感度もAUTO、100〜1600まで変えることができるが、細かい設定をしなくてもただシャッターを切るだけで手ブレせずにこのようなカットが撮れるのだ。
この時はISO400の3秒という露出になったが、4画素を1画素として合成して扱う「4in1ライトフュージョン」機能のおかげでノイズ感も手ブレ感も少なくなった。撮影時は秒数に応じたカウントダウンが表示される。ファイル名を見ると秒数に応じて数カットの撮影を行って画像を出力しているようだ。
マニュアル撮影ができる「プロ」モードにするとISO感度を12800、25600、51200、102400まであげることができる。しかし感度を上げられるだけでシャッタースピードなどは固定になりコントロールできない。
なので肉眼で何も視認できないような暗闇で、ISO感度を変化させてちょうどいい露出になるように撮影するしかない。このカットはISO12800、1/15秒だ。
同じ場所でさらに高感度にしたカットはこんな感じ。
手持ちで4秒ものシャッタースピードでこのような夜景を撮影できるのはとても楽しい。もちろん環境によってはより長秒となり三脚使用が望ましい場合もあるが、明るい都会の場合はほぼ手持ちでイージーにこのようなやるのカットを撮れるだろう。これには本当に驚いた。