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Leofoto初の「2wayロック機構」を一脚で試す

レバーとナット、2種類のロックを併用する「MPC-326C」

Leofotoから、同ブランド初となる2wayロック機構を搭載した一脚「MPC-326C」が2024年9月に発売された。1段目がレバーロック、2段目以降がナットロックという、異なるロック方式を組み合わせたハイブリッド構造が特徴だ。

筆者は普段、スポーツ撮影で400mm F2.8クラスの単焦点レンズと一脚を組み合わせて使用している。被写体は主に横方向の動きが中心で、一脚の高さを頻繁に変える必要はあまりない。

今回、MPC-326Cを試す機会を得たのは「IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025」での撮影。通常のスポーツ撮影とは異なり、クライミングは選手が壁を登っていくため、上を向いて撮影することになる。角度がつく分、選手の高さに合わせて一脚の伸長を何度も調整する必要があった。

使用ボディはニコン Z9、レンズはNIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR Sの組み合わせ。普段なら一脚を使わないレンズだが、長時間上を向き続ける状況では一脚があると身体への負担を大幅に軽減できる。

12m超の壁を見上げる。通常のスポーツ撮影は横方向の動きが中心だが、クライミングは完全に縦方向だ
安楽宙斗選手。スタート直後は水平に近い角度で撮影できるが、選手が登るにつれて次第に上を向いていく

このような撮影で、MPC-326Cの2wayロック方式がどう機能するのか試してみた。

2wayロック方式の実用性

MPC-326Cは、使用頻度の高い1段目のみをレバーロック、2段目以降をナットロックとすることで、操作性と信頼性を両立している。

クライミング撮影では選手の位置に合わせて頻繁に伸長を調整する必要があったが、1段目のレバーロックは素早く操作できて便利だった。一方、2段目以降のナットロックは1度固定すれば緩む心配がほぼないため、安心して撮影に集中できる。

段数は6段。収納高は470mmなのでカメラバッグへの収納も可能
底面には直径70mmのフラット石突を採用している

上向き撮影で一脚に角度をつけても、底面の設置面積が大きいため安定した撮影ができた。上向き撮影という負荷のかかる使い方でも、十分な安定性を提供してくれた。

上向き撮影での使用例。筆者の身長は約170cm。壁の上部を撮影する際にはこれ以上に傾けることもあったが、底面がずれることはなかった
完登した吉田智音選手。壁の最上部に到達した選手を撮影する際には、ほぼ真上を見上げる形になり、腰を反らせながらの撮影となる

全段レバー式を使い続けてきた理由

一脚のロック方式には、レバー式とナット式がある。筆者は以前から全段レバーロック式を使ってきた。特に壊れることもなく、新しいものに買い換える必要もなかったため、10年前のカーボン一脚を今も使い続けている。

ただし、普段の撮影で伸長調整するのは基本的に上段(1段目)のみ。問題は、レバーに付いているネジ(ナット)が、使用しているうちに緩んでしまうことがある点だ。

こうなるとレバーを操作してもロックが効かなくなる。専用治具があれば締め直せるのだが、必要な時に限って手元にないことが多い。撮影前にこの状態に気づくと、その段の調整ができなくなってしまう。

レバーの硬さも付属の治具で調整する

レバー式は素早く調整できるメリットがあるが、このようなトラブルが起きた際の対応が難しい。MPC-326Cのように、よく使う1段目のみレバー式とすることで、メンテナンスの手間を減らしつつ操作性を確保できるのは理にかなっている。

まとめ

今回のようなクライミング撮影は特殊な例かもしれないが、このハイブリッド方式は他の撮影シーンでも有効だろう。

1段目の素早い調整と、2段目以降の安定したロックという組み合わせは、スポーツ撮影だけでなく、野鳥撮影や航空機撮影など、さまざまな場面で活きるはずだ。長年全段レバー式を使ってきた筆者としても、この2wayロック方式は実用的な選択肢として十分に検討に値すると感じた。

本誌:佐藤拓