ソニーNEX-5【第5回】

スイングパノラマいろいろ

Reported by 小山安博


今回は、撮影の一部にE 16mm F2.8用のフィッシュアイコンバーターを使用した

 NEX-5では、発売当初から「3Dスイングパノラマ」機能への対応が予告されており、当初の7月中旬より早まった7月1日にファームウェアアップデートが提供され、実際に「3D対応」が実現している。

 3Dスイングパノラマの前に、普通のスイングパノラマ機能について確認してみよう。この機能は、コンパクトデジタルカメラ「サイバーショットDSC-WX1」、「サイバーショットDSC-TX1」から搭載されてきた。CMOSセンサー「Exmor R」の高速連写と、画像合成機能を生かし、短冊形の画像を連写してそれを合成することで、カメラを上下左右に振るだけでパノラマ画像が撮影できる、というものだ。

 DSC-WX1では最大256度、DSC0-TX1では最大185度という広大な範囲を撮影できるというのが特徴で、気軽にカメラを振るだけでパノラマ写真が撮影できるのが便利で、それ以降のサイバーショットシリーズにも機能向上して順次搭載されてきている。

 そしてデジタル一眼レフを含めたレンズ交換式カメラで初めてこのスイングパノラマ機能を搭載したのがNEX-5/3だ。機能としては、基本的にはDSC-WX1およびDSC-TX1のころのスイングパノラマ機能と同等で、人の顔や動きを検出してより自然な合成を行なう機能は搭載されていないが、カメラを振るだけでパノラマ写真が撮影できる手軽さは変わっていない。

 利用するには、撮影モード変更画面を呼び出し、スイングパノラマに変更する。メニューの「カメラ」にある「パノラマ撮影方向」では、カメラを振る方向を上下左右の4方向から選択できる。メニューの「画像サイズ」ではパノラマ撮影時の画像サイズを「標準」(8,192×1,856ピクセル)、「ワイド」(1万2,416×1,856)の2種類から選択できる。

撮影モード。ファームウェアバージョンアップ前は、スイングパノラマのみだったファームウェアアップデート後。3Dスイングパノラマが増えた

 パノラマ撮影時は、露出補正、ホワイトバランス、測光モード、クリエイティブスタイルの変更が可能。ピントや露出は撮影前に設定した内容がそのまま使われるので、カメラを振っている途中に明暗差の激しい被写体があると、白とび・黒つぶれが起こりがちだ。あらかじめ撮影したいシーンを見て、露出を合わせたい部分でAFと露出を合わせてからパノラマ撮影をするといいだろう。

撮影時の表示。ガイドに従って上下左右に向かってカメラを振る

 サイバーショットシリーズと同様、撮影を開始するとカメラが自動的に連写を行ない、その間にカメラを振ることでパノラマ撮影が行なわれる。撮影後の合成時間も1〜2秒程度で、ほとんど待たされる感覚はない。

 実際に撮影してみると、これが以外に難しい。特にDSC-WX1などのサイバーショットシリーズでのスイングパノラマに比べると、撮影に失敗したり、うまく合成できていない例が多いのだ。

撮影した画像。単独表示だと横長の画像が1枚見えるコントロールホイールの中央ボタンを押すと、横長の画像の場合は縦幅いっぱいに、縦長の場合は横幅いっぱいに画像が表示され、そのまま撮影方向に向かって自動でスクロールする

 サイバーショットシリーズの場合、かなりおおざっぱなスイングでも精度の高い合成が可能なのに対して、NEX-5の場合、じっくりと撮影しないとうまくいかない。

 そもそも、サイバーショットの場合、秒間10コマという高速連写ができるのに対して、NEX-5は最高でも秒間7コマで、動作からすると秒間2.3コマの通常の連写で撮影しているようだ。一度に撮影できる枚数が多くないので、合成が難しいのではないかと思う。なお、7月1日公開の新ファームウェアには、「スイングパノラマの性能向上」という内容もあった。実際に劇的な変化は感じないが、わずかに合成がうまくいく例が多くなったように思える。

撮影中によくある失敗が、最後まで撮影できないという状況。足りなかった部分は真っ黒になってしまう(リンク先は800×176ピクセル)

 ただ、実際に多少失敗したとしても、できあがりの楽しさが失われるわけではない。ワイドで撮影すると左右226度の広大な景色が一度に撮影でき、いちいちガイドに合わせて1枚ずつ撮影して自分で合成する、といった従来のパノラマ撮影にはない手軽さで、積極的に撮りたいという気にさせるのがスイングパノラマだ。

 ちなみにサイバーショットでのスイングパノラマは、レンズが広角端固定となる。NEX-5の場合、レンズ交換をしたり、画角を変えた上でスイングパノラマを撮影することも可能だ。基本的にソニーでは標準ズームレンズの広角端での撮影を推奨しているようだが、レンズや焦点距離を変えても撮影は可能だ。

 たとえば中間域の35mm、テレ端の55mmでも撮影できるし、パンケーキレンズ「E 16mm F2.8」でもパノラマ写真は撮影できる。さらにフィッシュアイコンバーターの「VCL-ECF1」を装着しても撮影でき、特にフィッシュアイコンバーターを使えば360度一周をそのまま撮影できる。

 望遠にすればするほど画角は狭くなるし、スイングパノラマでは手ブレ補正も活用しているため、それがないE 16mm F2.8での合成ではずれが大きくなるようだし、フィッシュアイコンバーターを使った場合は合成の失敗や撮影できない場合も多かった。

 しかし、広角端だけではなく、さまざまな焦点距離で撮影できるのは面白い。さすがにパノラマ撮影途中に焦点距離を変えると撮影失敗となったが、360度を見渡せる画像が撮影できるのは楽しい体験だ。多少の合成失敗は目くじらを立てずに、素直に楽しみたい。

 さて、そして7月1日に公開された新機能が、3Dスイングパノラマ機能だ。使い方はスイングパノラマと同じで、撮影時に右目用と左目用の2枚のパノラマ画像を同時に記録して、それを3D対応テレビで表示すると3Dに見える、というものだ。

 撮影時には通常の合成されたJPEG画像と、複数枚の画像を1つにまとめるファイルフォーマットであるMPO形式のファイルが生成されるので、3D対応テレビにHDMIケーブル経由で接続してMPOファイルを再生すれば、3Dとして表示される、という仕組みとなる。

 撮影できるのは左右方向の2方向のみで、画像サイズは標準、ワイドに加えて「16:9」を搭載。16:9の場合、1,920×1,080ピクセルのフルHDサイズに収まる範囲で撮影されるため、テレビに表示したときに収まりがいい。撮影できる範囲は狭いが、パノラマとしての撮影だけでなく、特定の被写体を3D画像に切り出す、といった使い方もできそうだ。ちなみに、標準のスイングパノラマに比べて、3Dスイングパノラマの方が画像サイズは小さくなり、「標準」で4912×1080、「ワイド」で7,152×1,080ピクセルとなる。

 ただ、現在のところ筆者の手持ちの環境には3D対応機器がないため、撮影された3Dパノラマ写真を閲覧することはできない。とはいえ、MPOファイルとJPEGファイルの両方が生成されるので、将来的に3D対応テレビを買うのであれば、3Dスイングパノラマで撮影しておくのも良さそうだ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
E 18-55mm F3.5-5.6 OSSのワイド端で撮影した「標準」のスイングパノラマ画像
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約3.3MB / 8,192×1,856 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート
同様に撮影した「ワイド」のスイングパノラマ画像
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約4.7MB / 12,416×1,856 / 1/320秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:オート
上方向に撮影した「標準」のパノラマ画像
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約3.3MB / 2,160×3,872 / 1/320秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:オート
焦点距離を変えてみたところ。こちらは35mm
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約2.8MB / 8,192×1,856 / 1/320秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:オート
テレ端の55mm。範囲が狭くなるため意味があるかどうかは別として、撮影だけはできる
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約3.1MB / 8,192×1,856 / 1/320秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:オート
レンズをE 16mm F2.8に変更しての「標準」のパノラマ画像
NEX-5 / E 16mm F2.8 / 約2.7MB / 8,192×1,856 / 1/500秒 / F10 / 0EV / ISO200 / WB:オート
こちらは「ワイド」のパノラマ画像
NEX-5 / E 16mm F2.8 / 約4.5MB / 12,416×1,856 / 1/500秒 / F9 / 0EV / ISO200 / WB:オート
さらにフィッシュアイコンバーターを装着して撮影したところ。かなり合成失敗の部分もあるが、面白い写真になった
NEX-5 / E 16mm F2.8+フィッシュアイコンバーター / 約6.6MB / 12,416×1,856 / 1/500秒 / F9 / 0EV / ISO200 / WB:オート

 参考までにここから下は、3Dスイングパノラマで撮影した際、生成されたJPEGファイルを掲載する。。左から標準、ワイド、16:9。16:9で撮影する場合、風景以外にも活用できそう。

標準
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約1.6MB / 4,912×1,080 / 1/320秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:オート
ワイド
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約1.6MB / 7152x1080 / 1/320秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:オート
16:9
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約1.2MB / 1,920×1,080 / 1/320秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:オート
16:9
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約1.2MB / 1,920×1,080 / 1/100秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート

 3Dスイングパノラマで撮影したMPOファイルには、3D用に2枚の画像が含まれている。MPOファイル内の画像を表示できるリコーのソフト「VM-1」を用いて、2枚の画像を表示してみた。




小山安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2010/7/16 00:00