第7回のテーマは知多半島だ。光学10倍ズームレンズやGPS機能を搭載したサイバーショットDSC-HX5Vは、旅行用のカメラとしては最適だろう。今回は1日かけてドライブしながら撮影旅行を行なってみた。
撮影日は梅雨に入ったばかりの6月11日だった。筆者が知多半島で撮りたかったのは、観光農園「花ひろば」のひまわり。昨年、カシオの「EXILIM Hi-ZOOM EX-H10」のレビューの時に初めて撮影し、また撮りに行きたいと思っていた。
昨年撮影に訪れたのは6月26日。6月の初めに問い合わせてみると、ひまわりの本格的な見頃は6月下旬か7月とのこと。ほかの花は咲いているとのことだったので、ひまわりは諦めつつも、早朝から撮影に出掛けた。
知多半島道路を南端まで走り抜けた先に「花ひろば」はある。昨年も平日に訪れたが、午後だったのと、大量のひまわりが咲いていたので大勢の観光客がいたが、今年は早い時間ということもあり、訪れている客はまばらだった。撮影前に広い丘陵地の高台から回りを見渡すと、昨年ひまわりで埋め尽くされていた場所に、1本もひまわりが咲いていない。時期が悪いとはいえ、寂しい気持ちになった。この日は青空というほどではなく、湿度が高いせいか空気の澄み具合もいまひとつ。
昨年別の機種で撮った花ひろばのひまわり |
まずは丘陵地の風景をパノラマ撮影した。被写体を撮るだけでなく、撮影場所を記録として残しておくのにも便利な機能だ。
花畑でもパノラマ撮影を行ってみた。この画像の撮影には少しコツがある。普通にパノラマ撮影をすると、次の画像の様に左右に自分自身が立っている通路が写ってしまう。左右180度を撮影する機能なのでこれが正常なのだが、スイングパノラマは、ゆっくり動かすと180度よりやや狭い角度が写る癖がある。逆に早めに動かすと広く写る。
元画像は同じ4,912×1,080ピクセルだが、スイングするスピードで撮影範囲を微調整することが可能だ。ここでは通路が入らないようにゆっくりスイングを行なった。見方によっては花畑の中に入って撮っている様にも見える。今回はノンレタッチで掲載したが、自分用に撮るのであれば、撮ってから左右をトリミングすれば済むことではある。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
スイングパノラマは簡単に撮れるので、撮影のメモとしても便利 DSC-HX5V / 約2.6MB / 4,912×1,080 / 1/1,250秒 / F3.5 / 0EV / ISO125 / WB:オート |
ゆっくりスイングすると180度より狭く撮ることができる DSC-HX5V / 約2.7MB / 4,912×1,080 / 1/1,000秒 / F3.5 / 0EV / ISO125 / WB:オート |
普通に撮ると180度の範囲が写るので左右に通路が写ってしまう(Photoshop CS2でリサイズ) |
三脚と脚立を持って行ったので、高さも変えたりしながら撮影した。DSC-HX5Vは細かな花が並ぶような絵は苦手で、第1回の桜と同様、画質としては今ひとつといった感じは否めない。
あきらめていたひまわりだが、花畑の一角に咲いていた。農園の方に聞いたところ、これは普通のひまわりとは違う品種で、背が高くならないらしい。
DSC-HX5V / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/1,000秒 / F5 / -0.3EV / ISO125 / WB:オート |
このひまわりは背が高くならない品種らしい DSC-HX5V / 約4.3MB / 2,736×3,648 / 1/200秒 / F9 / -0.7EV / ISO125 / WB:オート / 6.6mm | DSC-HX5V / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F5.5 / +0.3EV / ISO125 / WB:オート / 42.5mm |
- 動画のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。
- 再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
【動画】(.mtsファイル)1,920×1,080 / AVCHD / 34.1MB |
現在、観光農園「花ひろば」のホームページでは、満開になった2万本のひまわりの様子を見ることができる。6月29日に咲き始め、9月まで楽しむことができるそうだ。人の背丈より高くなるので、観賞、撮影用の足場も用意される。興味のある方は出かけていただきたい。
「花ひろば」を後にして、北東へ進み海岸線に沿って知多半島の先端を向かう。テトラポットに大量の鳥が見えたので車を駐めて撮影。10倍ズームだから撮れるとも言えるし、10倍ズームでも足りないともいえる。携帯では撮れない絵なので、やはり10倍ズームの守備範囲の広さを感じる。
テトラポットに集まった鳥。もう少し天気がよければ…… DSC-HX5V / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/800秒 / F5.5 / -0.3EV / ISO125 / WB:オート / 42.5mm |
知多半島の先端、師崎港周辺で少し撮影し、半島の西海岸を北上すると、大量の杭が見えたので海岸に降りてみた。海草類の養殖のための杭なのかと思いつつ、ここでも何枚か撮影した。花ひろば、師崎港などは場所が特定できるが、先ほどのテトラポットの鳥やこの場所の様に、思いつきで撮った写真の撮影場所を特定する際はGPSが力を発揮する。
DSC-HX5V / 約3.7MB / 2,736×3,648 / 1/1,000秒 / F5.5 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 42.5mm | DSC-HX5V / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/800秒 / F5 / +0.3EV / ISO125 / WB:オート / 13.7mm |
足元の岩場の模様が気になって撮影 DSC-HX5V / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F9 / -0.7EV / ISO125 / WB:オート / 6.6mm |
岩場の地層とその先の杭を撮影 DSC-HX5V / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F11 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 16mm | 杭に近付いてもう1枚 DSC-HX5V / 約4.3MB / 2,736×3,648 / 1/125秒 / F11 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 27.8mm |
たまたま車を駐めて撮った写真なので、撮影場所が不明だった。こんな時はGPS機能が便利 DSC-HX5V / 約2.4MB / 4,912×1,080 / 1/1,250秒 / F3.5 / 0EV / ISO125 / WB:オート |
各撮影ポイントをPMBランチャーのMapViewで確認してみた。知多半島道路の終点付近が「花ひろば」。そこから北東に海岸に出て、半島先端の師崎港、杭の写真は師崎港からそれほど離れていない場所で撮ったことがわかる。郊外や海外での撮影ではGPSの効果は高く、旅カメラとしての便利さを感じた。
MapViewで撮影ポイントを確認 |
内海、小野浦の海水浴場はシーズン前で人もまばら。この地域のプチデートスポットらしい野間灯台までやってきた。デートスポットとなるのは夕日が沈むときと夜間で、昼間は小さめの灯台があるだけだ。灯台を囲むフェンスに南京錠が取り付けられ、近くには「恋の鍵塚」なるものも設置されている。
余談だが、90年代に恋人同士がフェンスに南京錠を取り付けると恋が成就するというジンクスが広まり、大量に取り付けられた南京錠の重みでフェンスが倒れ、その後新しいフェンスに変更されいる。恋の鍵塚に関しては諸説あるようだが、恋の実った人はフェンスから南京錠を外して鍵塚に収めるとか、フェンス倒壊後、最初からフェンスに取り付けず鍵塚に収めるために用意されたと言われている。冷静に考えると2人で南京錠にメッセージ書いて取り付けている段階で、すでに恋人同士になっていると思われるのだが……。
こちらは小野浦の海水浴場 DSC-HX5V / 約3.5MB / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F11 / -0.7EV / ISO125 / WB:オート / 19.9mm |
恋の鍵塚 DSC-HX5V / 約4.3MB / 2,736×3,648 / 1/500秒 / F9 / -0.7EV / ISO125 / WB:オート / 5.7mm |
灯台を後にして焼き物の街、常滑に向かう。途中、近くを通る名鉄の車両を撮ることにした。第5回で鉄道を撮った際、このあたりまで来れば田舎の風景が撮れると思っていたからだ。
国道から細い道に入ると名鉄を越える陸橋があったので車を駐めてみた。このあたりは単線で、雰囲気はいい感じだ。金網のマス目が細かくコンパクトデジカメのレンズでも四隅に金網が写り込んでしまう。
どうしようかと考え始めたら、列車が近付く音が聞こえたのであわてて撮影をしたが、案の定、金網がしっかり写り込んでしまった。近くで撮影できるポイントはないかと探してみたが、車が走れる道はトンネルの上だったり、陸橋の下だったり、結局撮影ポイントは見つからず諦めることにした。
気まぐれで一瞬撮り鉄。金網のマス目が小さく四隅に写り込んでしまった DSC-HX5V / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/160秒 / F5.5 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 39.3mm |
東海地区は窯業が盛んで、代表的な瀬戸市以外にも、美濃焼、常滑焼きなど有名な焼き物の産地が存在する。常滑は平安時代にはすでに大規模な焼き物の生産地になってたそうだ。現在でもまねき猫の生産量は日本一。トイレで有名なINAXの本社はここ常滑市にある。
常滑には多くの窯や煙突があり、それらを廻る「やきもの散歩道」が設置されている。車が入れない路地を1時間ほどで廻るコースで途中には有名な土管坂や展示工房などがある。
常滑のやきもの散歩道を散策 DSC-HX5V / 約4.3MB / 2,736×3,648 / 1/320秒 / F8 / -0.3EV / ISO125 / WB:オート / 4.2mm | 有名な土管坂 DSC-HX5V / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/250秒 / F8 / -0.7EV / ISO125 / WB:オート / 4.5mm |
廻船問屋「瀧田家」 DSC-HX5V / 約3.8MB / 2,736×3,648 / 1/200秒 / F4.5 / -0.7EV / ISO125 / WB:オート / 8.3mm | 「瀧田家」の前の路地 DSC-HX5V / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/500秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO125 / WB:オート / 4.2mm |
展示された窯の中はかなり暗く、撮影条件が厳しい。ストロボを使用すれば撮るのは簡単だが、雰囲気が出ないので、プログラムオートと手持ち夜景で撮影してみた。
プログラムオートで感度をISO125にするとシャッター速度は1/5秒、1/4秒となった。DSC-HX5Vの手ブレ補正の効果は高く、普通に撮れてしまう。これがISO1600、シャッター速度1/60秒あたりにしないと撮れないなら、手持ち夜景のありがたみをもっと感じるのだろう。
やきもの散歩道のコースから外れたところにも窯がある |
常滑市の沖には中部国際空港、通称セントレアがある。が、諸事情を考慮してセントレアはパス、この日最後の撮影地は新舞子だ。ここは名古屋市内からも近く、過去にも撮影に訪れている。海陽館は何度も撮っているが、今回は天気がいまひとつ。多少変化を付けようと、堤防に寝転んで、波の一部が写るように低いアングルから撮ってみた。
1日かけて知多半島をドライブ&撮影してみたが、微妙な天気のせいもあり、これは……という景色には出会わずに終わった。撮影から時間が経ったので、空いた日にスカっと晴れたら、もう一度ひまわりだけ撮影に行こうかとも思ったが、今年の梅雨は、本当に梅雨らしく、最近青空を見た記憶がない。
DSC-HX5Vは、10倍ズーム、手ブレ補正、GPS、手持ち夜景など多彩な機能で守備範囲が広く、旅カメラとしては便利だと感じられた。今回もPanoramioに画像をアップしてあるので、それぞれの撮影場所を確認することができる。
先ほどセントレアは諸事情でパスしたと書いたが、次回、最終回はそのセントレアからスタートする。
2010/7/20 00:00