交換レンズレビュー

ソニー FE 16-25mm F2.8 G

望遠端を割り切って小型軽量に 新機軸の超広角大口径ズームレンズ

α7R Vに装着したところ

ソニーが広角ズームレンズ「FE 16-25mm F2.8 G」を5月17日(金)に発売する。開放F2.8と大口径ながら望遠端を25mmに抑え、小型軽量化を図っているのが特徴だ。店頭予想価格は税込18万5,000円前後となっている。

外観・仕様

16mmスタートの広角ズームレンズは、一眼レフカメラ時代から”16-35mm”として各社がラインナップしており、今でも人気のあるジャンルの製品だ。いわゆる大三元レンズの1本ということで大きく重いのが一般的だ。

しかし、FE 16-25mm F2.8 Gはズームレンジが狭いものの、最大径74.8mm×長さ91.4mm、重量約409gとかなりダウンサイジングされている。フィルター径も67mmと、F2.8の大口径ズームレンズとは思えないサイズ感になる。

先端からピントリング、ズームリング、絞りリングとなる
広角端でレンズが一番伸びる。ただ、伸びてもこの程度なのでジンバルにも使いやすいと思う

ちなみに同社最新の大口径16-35mmというと「FE 16-35mm F2.8 GM II」で、外形寸法が87.8mm×111.5mm、質量が約547g。これでもI型より軽量小型化しているのだが、フィルター径も82mmとなかなかの大きさとなる。

一方FE 16-25mm F2.8 Gはスペックを考えるとかなり小さい印象で、持ち運びも楽だ。また、旅行などで荷物を少なくしたい場合も、広角好きならあえてこれ1本、というのも有りかもしれない。

そうすると、すでに発売済みの「FE 20-70mm F4 G」も魅力のあるレンズで迷うところだが、やはり16mmという広角端の広さはプロに愛用者も多いことが頷ける圧倒的な画角。そして1段明るいF2.8も背景をぼかした表現がしやすいので、今度のFE 16-25mm F2.8 Gの魅力度は高いと感じた。

左側面にはフォーカスホールドボタンやフォーカスモードスイッチがある
絞りのクリックストップを解除することも可能だ
同梱のフードを装着したところ

作例

今回はα7R Vに装着し、都市のスナップで実力を見てみた。まず広角端で絞り込んで全体的な解像力をチェックしたが、16mmという画角を考えると端の方まで十分な描写力を持っているのがわかった。石造りの建物の質感もよく表現できている。

ソニー α7R V/FE 16-25mm F2.8 G/16mm/マニュアル露出(1/320秒、F9.0)/ISO 100

こちらは広角端で明暗差の激しいシーンを撮影。西日がビルに反射して逆光になっているが、目立ったゴーストやフレアは無く、抜けが良い。

ソニー α7R V/FE 16-25mm F2.8 G/16mm/マニュアル露出(1/125秒、F11)/ISO 100

開放F2.8で背景をぼかしたショットを狙った。被写体の像に近づいていることもあるが、16mmでもここまで背景をぼかせる。

ソニー α7R V/FE 16-25mm F2.8 G/16mm/マニュアル露出(1/320秒、F2.8)/ISO 100

最短撮影距離はAF時で0.18m(広角端)、0.24m(望遠端)。ここでは広角端の最短付近で撮影。絞り開放でもピントの合ったラベルの質感が驚くほど鮮明だ。前後のボケも素直で評価できるポイント。

ソニー α7R V/FE 16-25mm F2.8 G/16mm/絞り優先AE(1/200秒、F2.8、−1.0EV)/ISO 100

望遠端はボケの表現がよりしやすいので、絞りを開けた撮影も楽しい。25mmという焦点距離もスナップでよく使われる28mmに近く使いやすい。そして合焦部の解像力はやはり目を見張るものがある。

まとめ

画質やAF速度、ビルドクォリティも最近のGシリーズ同様に不足のないもので、一般的な16-35mmクラスと比べて焦点距離に10mmの差はあるものの、サイズや価格面での優位性も大きい。G Masterのセールスに影響するのでは? と心配になるほどの仕上がりに思えたのが正直なところだった。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。