交換レンズ実写ギャラリー

SIGMA 60mm F2.8 DN

E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約7.3MB / 3,456×4,608 / 1/200秒 / F2.8 / +1.3EV / ISO200 / プログラムAE / WB:オート / 60mm(モデル:夏弥

 現在シグマのレンズラインナップは2012年に発表された「Art」、「Sports」、「Contemporary」の三つの新プロダクトラインに集約されようとしている。そのなかでも「Art」ラインに属するレンズは非常にクオリティも高く、また描写特性も個性的な仕上がりとなっている。今回紹介する「SIGMA 60mm F2.8 DN」もこのArtラインに属するレンズだが、マイクロフォーサーズおよびソニーEマウントに対応した、ミラーレスカメラ専用のレンズである。

OLYMPUS OM-D E-M5との組み合わせ。発売は5月17日。実勢価格は1万9,800円前後。

 このレンズはマイクロフォーサーズ機に装着すれば35m判換算120mm相当に、ソニーEマウント機に装着すれば同90mm相当と、いずれの場合でも中望遠域となる単焦点レンズだ。開放絞り値はF2.8でありレンズ構成は6群8枚。非球面ガラスとSLDガラスのレンズがそれぞれ1枚ずつ採用されており、それによって倍率色収差、軸上色収差およびコマ収差を高いレベルで補正しているという。実際に撮影した画像を見ても、その収差の少なさには正直驚かされる。収差の少なさは被写体のクリアさに繋がり、また逆光撮影時のレンズフレアを最小限に抑えてくれている。これによって人物ポートレートなどで多用する半逆光ライティングでも安心して撮影することができる。また開放絞りでの撮影でも画質の低下に繋がるハロがほとんど見られず、非常にクリアな描写となるのがうれしい。

 AFの速さも気持ちよい。フォーカスはレンズ鏡筒の繰り出しのないインナーフォーカスタイプで、駆動にはメカ駆動ではないリニア駆動を採用している。それによりAFの反応は非常に素早くまたとても静かだ。ミラーレス機のコントラストAF特有のフォーカス時の迷いもとても少ない。特にコントラストAFでは望遠になるほど迷い易いものだが、今回使用したOLYMPUS OM-D E-M5との組み合わせでは、頻繁にAFを行なうポートレート撮影でも非常にストレスが少ない。

 レンズの外観は、おなじくシグマから発売済みのミラーレス機用交換レンズ「30mm F2.8 DN」、「19mm F2.8 DN」と同様に鏡筒表面にパターンが一切無いツルツル仕上げのシンプルなデザイン。カラーはブラックとシルバーが用意されているが、いずれもこれまでのレンズデザインとは一線を画するものとなっている。このデザインはひとにより好き嫌いも出てくることだろうが、実際に続けて使用しているうちに馴染んでしまった。MF時のリング操作も思ったよりスムーズに行なえるので、これもアリと思えてきてしまうのが不思議だ。

 Artラインの名に恥じない高画質と非常に斬新なデザインで世に送り出されてきたミラーレス機専用レンズの存在は、さらなる高画質化および高性能化が進むミラーレス機の能力を十二分に発揮することだろう。ミラーレスカメラがデジタルカメラのメインストリームとなる日もそう遠くない、と思わされる1本だと言える。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約8.9MB / 4,608×3,456 / 1/250秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO200 / シャッター速度優先AE / WB:5,300K / 60mm(モデル:夏弥
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約9.3MB / 3,456×4,608 / 1/320秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:5,300K / 60mm(モデル:夏弥
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約9.3MB / 3,456×4,608 / 1/60秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:5,300K / 30mm(モデル:夏弥
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約7.4MB / 3,456×4,608 / 1/320秒 / F4.5 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm(モデル:あおい)
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約8.9MB / 3,456×4,608 / 1/500秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm(モデル:あおい)
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約8.5MB / 3,456×4,608 / 1/1,000秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約7.3MB / 3,456×4,608 / 1/2,000秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約8.6MB / 3,456×4,608 / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:5,300K / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約7.9MB / 3,456×4,608 / 1/80秒 / F4 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約10.6MB / 4,608×3,456 / 1/80秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO3200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約8.6MB / 3,456×4,608 / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:5,300K / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約11.4MB / 3,456×4,608 / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約7.6MB / 3,456×4,608 / 1/500秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約9.9MB / 3,456×4,608 / 1/2,000秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約7.9MB / 3,456×4,608 / 1/250秒 / F4 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約7.9MB / 3,456×4,608 / 1/160秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / プログラムAE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約9.1MB / 3,456×4,608 / 1/160秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約7MB / 3,456×4,608 / 1/160秒 / F3.2 / -1EV / ISO200 / プログラムAE / WB:オート / 60mm
E-M5 / SIGMA 60mm F2.8 DN / 約8.2MB / 3,456×4,608 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / マニュアル / WB:オート / 60mm(モデル:あおい)

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校(現ビジュアルアーツ)卒。広告プロダクションを経たのちに独立。人物ポートレートから商品、建築、舞台、風景など幅広く撮影。撮影に関するセミナーやワークショップの講師としても全国に赴く。近著「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド(玄光社)」「今すぐ使えるかんたんmini オリンパスOM-D E-M10基本&応用撮影ガイド(技術評論社)」Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy