一眼レフカメラなどをより快適に携行できるという新発想のアイテムがイタリアからやってきた。今回はこの「b-grip」を紹介したい。
b-grip EVO Camera Belt Holder |
歩きながら一眼レフカメラを携行するとき、ネックストラップだと体にぶつかったりして快適とはいえないし、バッグに収納してしまうととっさの時に取り出すのが面倒……そんな経験は誰しもあることと思うが、そうしたときに便利なのがCPTechのb-gripだ。
b-gripは、ホルダーでカメラを腰の位置に保持できるシステム。豊富なアクセサリーが用意されており、使い方を拡張できるのも大きな特徴だ。国内ではパラゴンジャパンが販売元になっている。設計、デザイン、生産がイタリアで行なわれているとあって、国内のカメラアクセサリーとはどこか違った趣がある。
■意外と快適に持ち運べる
ではb-gripがどのようなものなのかを見ていこう。まず、基本的なセットになるのが「b-grip EVO Camera Belt Holder」(7,480円)だ。
これは腰に付けるベルトとホルダーからなるもので、カメラを腰から提げることができる。ポイントは独自のホルダーの形状にある。ホルダーから下に伸びた板状の部分が太ももに接地することで、カメラの重量を腰と太ももに分散できるようになっている。加えて太ももに接地することにより、カメラを安定して携行できる。
ホルダー部分 | 裏面の曲線が太ももにフィットするようになっている |
クイックリリースプレートまで含んだ厚さは3cm程 | ベルトのバックルもしっかりしている。ベルトの幅は約5cmと十分 |
ホルダーへのカメラの着脱はクイックシュー式なので、素早く取り外しができる。クイックシューはレバーでロックする方式だが、レバーをさらにロックするためのレバーが着いており、不用意に外れることは無い。また、着脱レバーをリリース状態にしてもすぐにシューが外れるわけでは無く、少し上に持ち上げて初めて外れるようになっている。着脱は慣れればそれなりに素早くできるはずだ。
黒い着脱レバーをロックするための赤いレバーも備えている | 着脱レバーのロックを解除したところ |
クイックリリースプレートを外したところ | クイックリリースプレートの背面 |
カメラに取り付ける際には、赤いラバーの部品を外してコインなどでネジを回す | カメラネジを固定したら、ネジが緩まないように赤いラバーパーツを装着する |
半日ほど「D700」+「AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED」の組み合わせで使用してみた。合せて2kg近い重さだが、特に太ももが痛くなるといったことはなかった。小走りしたり軽くジャンプして見たりしたが、一般的なストラップのようにぶらぶらすることも無い。
b-grip EVO Camera Belt Holderを装着したところ | カメラ携行時の様子 |
・カメラ着脱の様子(動画)
CPTechによれば、カメラの重量が太ももにも分散されるという(フォトキナ2010のCPTechブースの展示) | 脚を大きく上げる必要がある場合は、カメラの位置をやや後方にするとぶつからない |
このEVOは携行時以外も便利な使い方ができるよう工夫されている。このクイックリリースプレートは逆にも装着できるので、レンズを上にして付ければレンズ交換がやりやすい。
カメラを上向きに取り付ければ、レンズ交換がしやすくなる |
さらにクイックリリースプレートには反転する支えが組み込まれており、これを起こすことで台座になる。レンズが地面に接触しないので汚れから守ることができる。このあたりもアウトドアでの使用を意識しているのだろう。またホルダー部分にカメラを付けたまま壁のフックなどに吊して保管することもできる。
クイックリリースプレートにはスタンドになる支えが組み込まれている | 写真の組み合わせはニコンD700+AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G EDだが、スタンドを使用すれば、レンズフードも地面に着くことなく置ける |
ホルダーやクイックリリースプレートは、ガラス繊維を混合させたテクノポリマー樹脂製。衝撃や曲げ疲労にも強く、クイックリリースプレートの固定力テストでは32kgの重りを吊しても問題なかったとのこと。
ホルダーの穴を利用すれば、壁のフックなどにカメラを装着したままかけておくことができる |
■豊富なオプションを用意
b-gripは上記のEVOだけでも十分実用的だが、オプションの追加でさらに便利になる。
「HandStrap」(2,980円)はカメラのグリップを握る手の甲をサポートするラバー製のストラップ。このストラップを付けたままb-grip EVOに装着して使用する。
そもそもb-gripは、ネックストラップを付けないで使用するのが基本であるため、なんとなく心許ないという向きもあるだろう。そういった場合にこのHandStrapを付けておくと、手を離してもすぐに落下はしづらい。
HandStrapをD700に装着したところ |
ラバー製のため形が崩れること無く、手を通しやすいメリットもある。手のサイズに合わせて長さは調節できる。なお、b-gripを使用していないユーザー向けの「HandStrap+」(4,980円、クイックリリースプレート付)も用意されている。
手の甲に当たる部分には滑り止めのパターンが刻んである | 外側にはb-gripのロゴがある |
取り付けは、b-grip EVO Camera Belt Holderに最初から着いている赤いラバーを外して付け替える | 長さは6ポジションから選択できる |
樹脂性の赤いパーツで三角環を挟んで固定するという変わった方式を採用。使っていて緩むようなことは無かった |
側面から見たところ | 三角環を使用しないEOS 5D Mark IIでも問題なく使用できた |
HandStrap使用時でも写真のようにネックストラップを併用可能 |
「New Travel Kit」(2,380円)は、バックパックのハーネスにEVOを装着するためのキット。カメラの重量をバッグに分散することができる。胸元にカメラが来るため、素早く撮影態勢に移れるという。以前はゴム入りの布製だったが、ラバー製にリニューアルした。
New Travel Kitを利用してバックパックにカメラを装着したところ |
試したところ、重量を分散するとはいえ片方のハーネスに重さが掛かるためそれなりに肩への負担はあるものの、両手をフリーにできて携行できるのはメリットだ。装着するバックパックは、両肩のハーネスを胸元で引き寄せるハーネスの着いたタイプが向いている。この胸元のハーネスが無いと、装着したカメラが外側に引っ張られてしまうので気をつけたい。なお、このキットにはカメラを覆うことができるレインカバーも付属しているのが心強い。
New Travel Kitの内容 | ホルダーの裏にラバーバンドを通して、バックパックのハーネスに固定する |
ホルダーの落下防止紐も付いているので、あらかじめホルダーとバックパックを繋いでおく | カメラを着脱しているところ |
付属のレインカバーはD700+AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED(フード付)がちょうど収まる大きさ |
そのほか、「Tripod Adapter」(1,980円)も用意されている。これは、EVOのクイックリリースプレートのままで三脚に取り付けるためのアダプターだ。なお、EVO付属のクイックリリースプレートは、3,980円で単品販売している。
Tripod Adapter | 背面にカメラネジを備える |
Tripod Adapterを介して雲台に装着したところ |
■まとめ
これまでもズボンのベルトにカメラを提げられるアクセサリーはあったが、b-grip EVO Camera Belt Holderは独自形状のホルダーによって太ももに重量を分散させているのがポイントだ。すべての重量がベルトに集中するよりも遙かに快適といえる。また、速写性が有りながらも肩に負担をかけない点も先に述べたとおりだ。
携行時は両手が完全にフリーになるので、これからの季節のハイキングや山歩きなどにはもってこいだろう。また、スナップ撮影などの際にも使い出があるだろう。撮影しながら移動する向きは試してみると良いかもしれない。
2012/3/29 12:00