Z-ファインダーをEOS 5D Mark IIに装着したところ |
近年、多くのデジタル一眼レフカメラがムービー撮影機能を搭載しておりトレンドになっている。それに伴い、デジタル一眼レフカメラでムービー撮影をより快適に行なえるアクセサリー類も増え始めている。
デジタル一眼レフカメラは、そもそも静止画の撮影に適した形状のため、ムービー撮影に最適とはいえない形状になっている。そのため、デジタル一眼レフカメラ用のムービーアクセサリーを作っている多くのメーカーは、フレームを組み合わせて少しでもムービーカメラに近い形状のリグを作っている所が多い。
リグには、ユーザーの用途に必要なファインダー、フォローフォーカス、ショルダーリグ、ハンドルなどのアクセサリー類を装着できる。ただし、リグは高価なためなかなか手を出しにくいが、ファインダーであればリグのフルセットを買うより手軽に購入できるので装着してみる価値はありそうだ。
今回は、デジタル一眼レフカメラでの動画撮影をサポートするザクト(Zacuto)の「Zファインダー」(4万1,475円)を紹介しよう。ザクトは、ムービーカメラやデジタル一眼レフのアクセサリー類を製作しているメーカーで、近年デジタル一眼レフカメラのアクセサリー類を色々と発売している。デジタル一眼レフカメラ用としては、フォローフォーカスやショルダーリグなど大掛かりなアクセサリーも発売している。
Z-ファインダー |
大型のアイカップが付く | 液晶モニターと接する側 |
大きめの赤いダイヤルを回すことで、視度調節ができる |
今回試用したZ-ファインダーは、3型液晶モニターに対応するルーペ付きのフード型ファインダーでキヤノン「EOS 5D Mark II」に装着して使用した。ルーペのレンズは、シュナイダー製の直径40mmを搭載している。そのため、非常に明るくクリアで、メガネをかけてZ-ファインダーを覗いても四隅がケラレることはない。
また、拡大率は3倍となっているのでピントも見やすい印象。また、アイカップは大きくENGカメラのビューファインダーと使い勝手はほとんど変わらない。接眼部のフィット感も非常によい。さらにZ-ファインダーは、視度を調整するノブも搭載する。
Z-ファインダーのカメラへの取り付けは、非常に簡単。粘着テープが付いた取付け枠を液晶モニターの縁に沿って貼付けておき、あとは、ファインダー枠にZ-ファインダーをはめ込むだけだ。この状態でも使用可能だが、落下を防止するオプションのラバーバンドでファインダーを固定しておくと安心だ。このファインダーは、ファインダー枠だけをカメラに貼付けておけば、取り外しは自由。ムービー撮影中に静止画を撮影したい場合でも瞬時に対応することができるので便利だ。
カメラへの取り付けは、取付け枠(右)をあらかじめ液晶モニターに貼付けておく | 取付け枠を貼付けたところ。基本的にこの状態で使うことになるが、剥がしても枠の跡が残ることはない |
Z-ファインダーを装着したところ |
この状態でもかなりしっかり固定されている |
筆者も液晶モニターに装着するファインダーはさまざまな物を試してみたが、Z-ファインダーの造りは良く、非常に明るく見やすい印象。ピントの山もとても掴みやすい。
ファインダーを取り付ける理由の1つは、やはりピントの見やすさにある。デジタル一眼レフカメラでムービー撮影を行なう場合、通常、録画を始めるとピント位置を確認するのにカメラの拡大機能は使用できない。そのためそのままでは若干ピントが見えにくい。ハイビジョンの場合、明るい単焦点レンズなどを使う場合にはちょっとピントを外してしまうだけでピンぼけが目立つため気を遣う。
オプションの落下防止バンド「Z-バンド」 | カメラの両側を引っかけて固定できる |
そんな時に、Z-ファインダーを装着すると格段にピント位置の確認が楽になりピントの山は掴みやすくなる。ただし、Z-ファインダーを取り付けると若干液晶モニターが明るく感じる場合もあるので、液晶モニターの明るさはこまめに調整を行なったほうがいいだろう。明るすぎると、ピントの山が見えにくくなる場合もあるので注意が必要だ。
また、Z-ファインダーを装着することによりほぼ遮光されるので、日中での撮影はかなり楽になる。ムービー撮影に限らず静止画像撮影時にライブビューを多様するユーザーにも最適だろう。実際に静止画撮影に使ってみたが、風景や静物撮影であればなんら不自由なく撮影することができた。
Z-ファインダーはアイカップ部分が支えになるため、単なる手持ち撮影よりも手ブレを抑えることができる | 本体にはストラップ穴もあり、一時的に外すときは首から提げておける。ザクトのロゴ入りネックストラップが付属している |
また、Z-ファインダーを装着することによりブレの軽減にもつながる。一般的に、ライブビュー撮影では両手でレンズとボディを持って撮影するが、Z-ファインダーを装着することで、両手でカメラを持ってファインダーに接眼することで3点でカメラをホールドすることができる。そのため、Z-ファインダーを使わない時と使う時ではかなりブレに差が出る。
Z-ファインダー越しの映像を撮影してみた。ルーペの拡大率は3倍でかなりクリアに見え、ピンとの山が掴みやすくなる。 |
どのくらいブレるかはもちろん個人によって差があるので明確には言えないが、明らかにブレが軽減されたことは確かだ。実際に撮影した作例を参考にしていただきたい。さらに、Z-ファインダーと光学式手ブレ補正(IS)を組み合わせて使用することにより、かなりのブレが軽減され通常の手持ちで撮影した映像より見やすくなっているのがわかるだろう。
今回Zファインダーを使用して、かなり完成度の高いファインダーだと感じた。光学系はとても明るく見やすい印象で、光学ファインダーを覗いているような感覚だった。ただ、湿度の高い場所で使用した場合、曇る場合があったので曇り止めはしたほうがいいだろう。とにかくZ-ファインダーの効果は抜群なので、動画撮影をするユーザーにはお勧めだ。また静止画撮影でライブビューを使用するユーザーにもお勧したい。
■動画サンプル
※サムネイルをクリックすると、オリジナルの動画ファイルをダウンロードします
※使用カメラ:EOS 5D Mark II、使用レンズ:EF 24-105mm F4 L IS USM
●Z-ファインダー無し(IS OFF)
●Z-ファインダー使用(IS OFF)
●Z-ファインダー使用(IS ON)
2009/12/17 00:00