デジカメアイテム丼
1万円台で手に入る中判フィルムスキャナーを試す
ケンコー「KFS-1420BF」
Reported by 大浦タケシ(2016/3/3 08:17)
このところ1万円前後と手頃な価格帯の35mm判専用のフィルムスキャナーが人気だ。ケンコー「KFS-1420BF」はその中判専用モデルで、往年の中判カメラユーザーにとって待望のアイテムといえるだろう。発売は1月で、実勢価格は税込1万8,900円前後だ。
本モデルの構造は35mm判専用同様シンプルだ。固定焦点の単焦点レンズを搭載するデジタルカメラと光源として白色LEDを用いたバックライトを本体内部に仕込んだもの、と考えれば間違いない。
いわゆる一発撮りの複写を行うため、かつて一般的だったラインセンサーを用いたフィルムスキャナーのようにスキャン中フィルムを挟んだホルダーがじわじわとスキャナー内部に送られることが無く、スキャン自体に時間を要しないのが特徴である。
さらに、本モデルでは2.4型の液晶パネルとスキャンした画像を保存するためのSDメモリーカードスロットを搭載しており、パソコンは不要。スタンドアローンでのスキャンを可能とするので、電源(AC)さえ確保できれば設置場所も選ばない。USBケーブルを介してパソコンとの接続も可能で、その際メモリーカードリーダーとして認識される。
撮像素子は1/2.3型CMOSセンサーとし、有効画素数は1,462万。対応フィルムサイズは6×9、6×8、6×7、6×6、6×4.5。最大サイズの6×9の場合では約1,200万画素、6×8では約1,080万画素、6×7では約950万画素、6×6で約800万画素、6×4.5では約600万画素のスキャン画像が得られる。画素数のみでいえば、A4サイズのプリントに十分なものである。
早速スキャン!
手順はカンタンだ。ホルダーにフィルムをセットし、スキャナーに挿入。ホルダーを手動でスライドさせスキャンしたい画像を液晶パネルに表示させる。サイズとフィルムタイプ(カラーポジ/カラーネガ/モノクロ)を選び、OKボタンを押すとスキャンを行いメモリーカードに画像データが書き込まれる。
前述のとおりスキャン自体にかかる時間はわずか。筆者はスキャン作業を面倒だと感じることが多く、そのためこれまで撮影したフィルムをこまめにデジタルデータ化してこなかったが、このスキャナーならばそのようなことはなさそうに思える。
さらに、濃度の調整ができるのは便利な部分。最大±2EVまで、1/2ステップで調整を可能とする。もちろん結果は液晶パネルでリアルタイムに確認することができる。
スキャンした画像は極端な色の偏りなどなく閲覧など手軽に楽しむには十分な画質だ。
もちろん厳密に見ればフィルムの平面性や階調再現性、レタッチ耐性などドラムタイプのような本格的なフィルムスキャナーでスキャンした画像にくらべ及ばないところは多々あるが、その価格や位置付けを考えるとそれらを求めるのは酷といえるものだろう。あくまでも、手軽にフィルムの画像をデジタルデータに変換するデバイスと捉えておくべきである。
スキャンの際、気を付けておきたいのがフィルムに付いたホコリである。このスキャナーに限ったわけではないが、どうしても目立つことが多い。ホルダーにフィルム装着後、必ずブロアでフィルム表面を吹いたうえでスキャナーにセットしたい。画像にホコリが写り込んでしまったときはレタッチソフトで根気よく消すようにしよう。
同タイプの35mmフィルム用スキャナーにくらべ一回り大きいものの、それでもコンパクトにまとまり設置場所をさほど必要としないのも本スキャナーの魅力。かつて中判カメラ愛好家だったひとも、今現在も中判カメラ愛好家のひとも検討に値するフィルムスキャナーだと思う。