クルマとカメラ、車中泊
携帯電話が繋がらないロケ地でも活躍。デジタル簡易無線という選択
2025年10月11日 12:00
日が暮れて空が暗くなったら北東の空で探してください。カシオペア座はすぐにわかるよね。そこからちょいと右というか南の方に。空の暗いところならアンドロメダ星雲は肉眼でも見えますよ。
おすすめは双眼鏡です。8倍よりも倍率の低いものが良いです。天体観測といえば天体望遠鏡! というイメージだけど、実は双眼鏡が1番楽しめます。そのうち双眼鏡ネタも書こうかな。あ、もしね、デジタル一眼カメラを持ってたらカメラでアンドロメダ星雲探してみてください。ISO感度を最大にして、ライブビューを拡大すると意外とよく見えます。
トランシーバーの魅力、今も昔も
子供の頃、トランシーバーなんて買ったりしませんでした? もちろん玩具としての。でも実際買ってみると大声出した方がいいくらい近い距離でしか使えなかったり、友達が持っていなかったりで結局意気消沈でしたねえ。それでも、大人になってもわくわくしちゃうギアなんですよね、困ったことに。
無線でこんなにわくわくするのは、線がないこと、つまりは縛りがなく自由であること、そんなイメージに繋がるからじゃないかと大人になって思うわけです。
で、今回は無線の話題です。デジタル簡易無線FIRSTCOM デジタルトランシーバー FC-D301 PLUS (W) を買いました。
使用目的で選ぶ無線の種類
大人の無線といえばアマチュア無線! なんですが、僕はアマチュア無線免許をもっていません。でもね、1番の問題は無線の使用目的なんです。アマチュア無線は、その使用目的が趣味に限定されちゃうんですよね。もう少し詳しくいえば、通信の目的が無線技術の研究、無線技術の向上っていうのが使用目的でなければならんのです。僕が、というかなんとなく無線欲しいな、と思うほとんどの人の使用目的は仕事の連絡や一緒に遊びに出かけた仲間内の連絡用途じゃないでしょうか?
無線の仕様書などの用語でいえば、仕事の連絡は「業務」、遊びに出かけた仲間内の連絡は「レジャー」となるんですが、電波法によって使用できる周波数と使用目的が決まっています。「業務」「レジャー」双方に使えれば使用目的が限定されなくていいですよね。そういった種類の無線のなかで、最も広範囲の通信ができるのがデジタル簡易無線ってわけです。
登録が必要! 使い始める前の注意点
ちなみに、デジタル簡易無線の中にも種類があって免許局と登録局に分かれます。もっとも免許局は個人では利用できないし、目的も「業務」に限定されます。一方、登録局のほうは個人でも利用でき、目的も「業務」「レジャー」双方に対応しています。まさに思い描く自由な無線ですよねえ。なので正しくはデジタル簡易無線 登録局となります。登録局ってところに注意してね。
購入したら、必ず総合通信局に「登録」をしなければなりません。登録には郵送の場合、2週間程度かかるんですがすでに無線機を購入していても、登録が完了するまで電源を入れてはいけません。ココ重要。今回の無線機は手で持つハンディタイプなわけですが 無線機本体に、アンテナ、マイク、スピーカー、PTTスイッチ(送信スイッチ)が一体になっているので、電源入れちゃうと直ちに電波を発信できる状態として解釈されて違法になってしまう可能性があるんですよね。
なので、登録状が届くまでは電源を入れない無線機を眺めながら大人しく過ごさなければなりません(泣)
コスパ最強のデジタル簡易無線
さて、今回購入したのはFIRSTCOM デジタルトランシーバー FC-D301 PLUS (W) ですが、同じカテゴリーの製品で最も安いんです。無線といえばアイコム、八重洲無線、アルインコなどが有名ですが、それらメーカーの製品と比べて性能というか仕様は同等です。
僕は仕事でも使うので、2台購入してるんだけど差が広がりますからね、価格が大事ですぅ。FIRSTCOMはいわゆるファブレス企業で、日本で設計、中国で生産のようです。この FC-D301 PLUS (W)にもMade in Chinaのシールが貼られていました。
カメラマンの仕事で無線の使用例
カメラマンの仕事で無線? と疑問に思った方もいるんじゃないかなあ。実は結構使います。アシスタントさんとの連絡に必要なんです。そのほか僕はドローン空撮もやってるんですが、ドローン飛行にあたっては飛行経路全体を監視する補助者を置くことがあります。この補助者との連絡にも必要です。
あと、最近では動画とスチルの同時撮影でそれぞれのカメラマンが同じ現場になることもあるので、カメラマン同士の連携にも必要なんです。なので、今回のデジタル簡易購入以前にも特定小電力無線というものを長らく使ってきました。特定小電力無線はデジタル簡易無線よりももっとお手軽で免許も登録も必要ありません。ですが通信距離が短いことが不満で、デジタル簡易無線の購入とあいなったわけです。
複信と単信の違い
でもね、特定小電力無線にもメリットがあるんです。デジタル簡易無線も含めて通常無線機は単信つまりPTTスイッチを押している間だけ送信するんですが、特定小電力無線では機種によってですが、複信が使えるんです。複信とは電話のように送信と受信が同時に行える機能です。まあ普通に話せるってわけですね。
それぞれの話し方の例を挙げてみましょう。同じ現場で動画カメラマンAさんとスチルカメラマンBさんが同時に撮影を進めている状況を想定してみます。
複信の場合
- A:すみません、Bさん、そこ見切れちゃうんだわ。ちょっと上手に移動してもらえる?
- B:ごめんね、すぐ移動します。2mくらいでいい?
- A:う〜ん、3m移動して欲しいかな、よろしくね。
- B:わかりましたー
単信の場合
- A:こちらAです。Bさん、見切れてますので上手に3m移動してもらえますか? どうぞ。
- B:了解。すぐ移動します。
- A:ありがとうございます。終了。
同じことを伝えるんでもこんな違いがあるんですね。複信は電話感覚でOK。すぐに思ったことを伝えられます。単信の場合は送信の終了と内容の理解を明確に伝える必要があるんですね、あと話す内容も端的に目的を伝える内容にしないと会話時間が長引くわりには、情報量が少なくなっちゃうので話し方にも注意が必要なんです。
通信距離の比較
こんな違いがあるのでデジタル簡易無線を買っても、特定小電力無線がお役御免になるわけではなく、状況によっての使い分けになるんです。ま、車と関わる使い方ではデジタル簡易無線一択になりますね。通信距離がちがいますもん。なので通信距離を比べてみました!
結果は図の通り。赤いラインがデジタル簡易無線。グリーンのラインが特定省電力無線。もう一目瞭然ですね。Aポイントにそれぞれの無線をおき、少しずつ離れてゆき、無線が繋がらなくなったポイントから少し戻って、最大距離を探りました。結果、デジタル簡易無線ではA〜B間6.2km。特定省電力無線ではA〜C間250mでした。A〜C間は雑草などがあるもののほぼ見通しです。それに対してA〜B間は防砂林、数軒の家屋、有料道路料金所があります。砂浜上だけで試せばもっと距離は伸びたでしょう。
ですが、この近辺のあまり密集はしていない街中では700〜800mでした。
どこまで届くかは地形や家屋などの障害物によって大きく違います。どっちの無線も障害物のない高い山同士の通信なら100km以上届くそうですが、でもそれは特殊な状況ですよね。
車での使用について
さて、これだけ電波が飛ぶと車同士でも使いたいわけですが、これが結構ハードル高いです。運転中携帯電話を持って話すと違反になっちゃうわけですが、無線も同様です。
写真のようにスピーカーマイクをつけると使いやすいんですが、運転中にこのスピーカーマイクを使っても違反であります。
う〜ん。マイク、スピーカーを手で持たなくて良いように車内に設置し、かつ、PTTスイッチを操縦装置から手を離さずに操作できる場所に設置しなくちゃいけません。う〜ん、僕もこれはまだ悩んでいます。無線の専門店では車にあわせてフィッティングしてくれるところもあるので、車での利用はプロに相談しましょう。
充電の入力は12V。シガーアダプターの他、PDデコイを利用すればモバイルバッテリーからも充電できます。
そのほかの無線との比較
最後にもう少しお話ししましょう。デジタル簡易無線を買うにあたって比較したのはデジタル小電力コミュティ無線というものです。こっちも免許不要。さらに登録も不要。買ってすぐに使えます。通信距離は特定省電力無線の倍くらい。GPS搭載で通信相手の位置がわかる優れものです。こっちも魅力的なんだけど、やっぱり距離を優先しました〜。今日のお話、ちょっと表にまとめときますね。通信距離はネットサーフィンして拾ってきました。だいたいの目安です。3つとも免許は不要だけど、デジタル簡易無線だけ登録が必要なことに注意してね。
それからチャンネルの混み具合なんだけども、都心を車で回ってみるとイベントの連絡で使われているものがちらちら聞こえてきますが、多くても10くらいのチャンネルでした。普段の九十九里だとイベントやってても使われてるのは2〜3チャンネル。空きのチャンネルがなくて苦労することもなさそうです。
まあ、そんなわけでわくわくしながら活用機会をまっとるわけです。仕事よりも遊びでつかいたいな。楽しみにしてるのは星空撮影仲間と一緒に撮影に行く時です。暗い中じゃお互い見えませんからね。しかも携帯繋がらないし。デジタル簡易無線、活躍してくれそうです。