デジカメアイテム丼
リニューアルした定番三脚を試す!
マンフロット「MK290DUA3-3W」
Reported byブリリアント山崎(2016/2/5 07:00)
この度、マンフロットの人気三脚「290シリーズ」がフルモデルチェンジした。
新しくなった290シリーズは、「290 LIGHT」「290 XTRA」「290 XTRA カーボン」「290 DUAL」とラインアップを拡張し、さらに一脚もリニューアルされたのだが、今回はせっかくなのでシリーズハイエンドモデルである「MK290DUA3-3W」(290 DUALアルミ三脚+雲台のキット)をレビューしたいと思う。
MK290DUA3-3Wは3ウェイ雲台と可倒式センターポールを備え、雲台も新型のMH804-3Wが採用されている。
マンフロットが生まれたのはイタリア北部の街、バッサーノ・デル・グラッパ。フィレンツェ最古の橋として知られるポンテ・ヴェッキオで有名なこの街で、1974年マンフロット三脚は産声をあげた。世界有数の三脚ブランドとなった現在でもマンフロットはバッサーノに本社を構えている。そしてMK290DUA3-3Wには、「MADE IN ITALY」の文字が今も誇らしげに輝いている。
まずは基本的なスペックからご紹介したい。MK290DUA3-3Wの脚部段数は3段で、脚径は上から26/22.5/19mm。全伸高(センターポールを伸ばした状態)175.5cm、伸高(センターポール格納時)151cm、最低高5.5cm、格納高74cm、自重2.59kg、最大耐荷重が4kgとなっている。
簡単にセットできる可倒式センターポール
MK290DUA3-3Wは、マンフロットお得意のレバーロックタイプを採用している。アルミ三脚は冬場や寒冷地では素手で触ると非常に冷たく持ち運びに気を使う場合があるが、MK290DUA3-3Wはラバーグリップが巻かれており冬場の持ち運びにも安心感がある。
ラバーグリップは重量増というデメリットもあるのだが、MK290DUA3-3Wは脚1本のみ短めに使われているためこのデメリットを最小限に抑えている。またウレタングリップと違い長期間の使用で劣化しにくいだけでなく、ウレタングリップよりも厚みが少ないため、わずかに開脚すれば脚の間に指が入るので握りやすい。
またMK290DUA3-3Wは同社の190/055シリーズでも採用されている可倒式センターポールを搭載しており、カメラを前にせり出して撮影することができるようになっている。
これは花のマクロ撮影や、室内からの夜景撮影で写り込みを防ぐため窓ガラスにレンズ先端を密着させたい場合、俯瞰撮影など様々なシチュエーションで活躍する便利な機構である。
こうした可倒式センターポールを採用した製品は他にもあるが、MK290DUA3-3Wの特長としては、通常使用時にセンターポールが三脚中心にスッキリと収まっている点にある。構造的にもシンプルなためこの方が軽量に作れるという事なのだろう。
また同クラスの他社製三脚と比較した場合、価格的にもリーズナブルになっており、可倒式センターポールの便利さを気軽に試せる三脚となっている。
その分、センターポールの倒し方が一見するとわかりづらいのだが、知ってさえいれば操作そのものは簡単なので心配ない。
工夫が凝らされた雲台に注目
さて脚だけでなく雲台の方にも面白い仕掛けがあるのでそちらも見ていこう。
リニューアルされた3ウェイ雲台MH804-3Wだが、前モデルである804RC2と比較した場合、約300gもの軽量化が図られており、高さこそ変わらないが見た目もスッキリとしたシルエットに仕上がっている。
またクイックリリースプレートはアルミ製だった200PL(51g)からテクノポリマー製の軽量版である200LT-PL(39g)に変更されている。
軽量化もさる事ながら、やはり嬉しいのは格納式レバーが採用された事だろう。3ウェイ雲台はご承知のようにティルト方向と水平方向を独立して角度調節できる便利さはあるのだが、自由雲台と比較してどうしても嵩張りがちで、特にパンハンドルやサイドティルトハンドルのようなレバー部分は、三脚バッグに収納する際に難儀する事がままある。
MH804-3Wは、このレバーをグリップ部分の内部に収納することで、短くできるようになっている。既に同社の上位モデルで採用されている機構ではあるが、なぜこんなシンプルな方法に今まで気づかなかったのかと、そのコロンブスの卵のような発想に驚かされる。
これなら三脚バッグにしまう際わざわざレバーを1本外してもう一方の後ろに付け替えたりする必要がなく、また設置も素早い。
ちなみにティルト方向にはわずかにスプリングの反力が付けられているが、ビデオ雲台のカウンターバランスのような強力なものでないので過信は禁物だ。
使い勝手は?
肝心の使い勝手だが、可倒式センターポールのおかげで最低高はわずかに5.5cm。これは背の低い草花を撮影する際には重宝するだろう。通常使用時と比較すると流石に安定感は落ちるが、特別大きなカメラやレンズをつけたり強風などが吹いていなければ実用上問題ないだろう。
三脚を使う上で気になる携帯性に関しては、雲台の軽さがよく効いており、私の主観ではあるが「これならそれほど気合を入れなくても持ち出せそうだ」と感じた。
ちょっとした不満を言うと、脚のレバーロックはロック・アンロックの切り替えがもう少し柔らかい感触の方が好ましいと思う。
ギミックに目が行きがちだが基本性能は高い
見た目もオシャレで洗練された佇まいのMK290DUA3-3W。こう言っては失礼だが、見た目とは裏腹にその固定力は本物である。
可倒式センターポールのギミックや細かい操作感に関しては改善の余地があるが、むしろMK290DUA3-3Wの本当の価値はスタンダードなスタイルで使用した時の安定感にあるのだと思う。