デジカメアイテム丼

プロフォト「B1 500 Air TTL」で
ハイスピードシンクロを楽しむ

動きのあるポートレートを楽々撮影!

B1 500 AirTTL。ハイスピードシンクロに対応する新ファームウェアは、プロフォトのホームページからダウンロード可能だ。

昨年末、プロフォトのモノブロックストロボ「B1 500 AirTTL」にてハイスピードシンクロ(以下、HSS)機能が追加された。これによりこれまでカメラ側の同調速度に縛られていたシャッター速度が1/8,000秒まで利用範囲が広がった。すでに購入済みでHSSに対応していなくても、ファームウェアをアップデートすれば利用可能となる。

屋外で扱いやすいB1に、待望のHSSが追加

B1 500 AirTTLは充電式のバッテリータイプのモノブロックストロボだ。

そもそもモノブロックストロボとは発光部と電源部が一体になった照明機材を指す。コンパクトな形状にも関わらず利用できる光量が大きいのが特徴だ。ただし一般的なモノブロックストロボは電源が必要なため、これを確保できない屋外などの撮影ではポータブルバッテリー電源を併用する必要がある。

しかし、バッテリータイプのB1 500 AirTTLであればその必要もなく、さまざまな場所に持ち出して利用できる。まるでクリップオンストロボのような手軽さで撮影が行えるのだ。

また、B1 500 AirTTLはその名の通りTTLに対応しているのも大きな特徴だ。トランスミッター「Air Remote TTL」を利用することで、カメラ側で露出の値を設定すれば、光量が自動調節され、簡単に適正露出で写真が撮影できるようになる。つまり、露出計が必要ない。

Air Remote TTL-N。ニコンのカメラに取り付けることで、ワイヤレスに操作、撮影できるようになる。TTLを利用する際もこの機器が必要だ。キヤノンのカメラに対応するAir Remote TTL-Cと2種類ある。ちなみにHSSを利用する際は、バージョンが古ければAir Remote TTLもファームウェアをアップデートする必要がある。

そして、ここにHSSの機能が追加されたわけだ。

ここで少しHSSそのものについても触れておこう。通常、一般的なレンズ交換式カメラを使ってストロボを発光する場合、シャッター速度は速くなるほど同調(シンクロ)しにくくなる。つまり、きちんと正確に被写体へストロボが照射されにくくなる。以下の写真はその例だ。高速シャッターの写真は途中で画面が黒く切れている。

ISO200/F2.8/1/60秒
ISO200/絞りF2.8/1/800秒

この同調速度は機種によっても変わるものの、1/160秒〜1/250秒の間が多い。これは、一般的なレンズ交換式カメラのシャッター動作原理に原因がある。通常シャッターは先幕が開き、後幕が閉じて露光する。これが高速シャッターになると、先幕と後幕が同時に並走しスリット状に移動する。そのため、この状態でストロボを発光すると、後幕が入り込み上の写真のような影ができてしまうのだ。

これを防ぐにはスリット状にシャッター幕が移動しても、光が途切れないように露光中ストロボを常に照射し続ける必要がある。この機能がHSSだ。HSSを用いればシャッター速度を気にせずストロボを発光できるようになるのだ。

HSSの効果とは?

では、具体的にB1 500 AirTTLを使ったHSSの効果について見ていくが、そもそもHSSは日中の自然光下で利用されることが多い。スタジオなどでストロボのみを光源に撮影する場合には、作画はストロボの閃光速度に依存するため、シャッター速度は基本的に関係がなくなる。つまり、この場合、高速シャッターを利用するメリットはないのだ。

しかし、屋外の撮影などではそうはいかない。その場の環境光の影響を大きく受けるため、作画の内容によっては、ストロボを発光するのに高速シャッターが必要になる場合が生じる。

以下の写真は、自然光のみで撮ったものとB1 500 AirTTLを使って日中シンクロした写真の比較だ。HSSは使っていない。日中シンクロとは、自然光下でストロボを発光する撮影技法だ。自然光とストロボの両方を描写に反映させて作画できるのが特徴で、足らない光量を補う目的で使用することが多い。

自然光のみで撮影 EOS 5D Mark III/EF85mm F1.2L USM/F6.3/1/160秒/ISO100/85mm
日中シンクロで撮影 EOS 5D Mark III/EF85mm F1.2L USM/F6.3/1/160秒/ISO100/85mm/B1 500 AirTTL使用

太陽がちょうど隠れた薄曇りのタイミングで撮影した。自然光は弱い順光だ。B1 500 AirTTLでストロボを照射した写真のほうが、人物が明るく浮き上がって見える。

注目したいのは肌の質感だ。B1 500 AirTTLを発光している写真は肌の質感にメリハリがある。このように、日中シンクロは単に足らない光量を補うためだけでなく、被写体の質感をきちんと描写したいときにも効果的なのだ。この場面ではむしろ後者の役割のほうが大きい。

ストロボを照射したカットはB1 500 AirTTLを2灯使い、このようにライティングしている。

左手前からグリッド付きのソフトライトリフレクター(通称オパライト)を装着したB1 500 AirTTLをメインに、右奥から髪の毛に向けてグリッド付きでもう1灯を照射。ヘアラインにハイライトを入れアクセントにしている。調光補正は行っていない。

B1 500 AirTTLはワイヤレスでしかもTTL機能が使えるため、撮影の自由度が非常に高い。大光量に発光できチャージも速く、ストレスフリーで撮影に臨めるのもうれしい。

なお、ソフトライトリフレクターは全体的にやわらかいながらもメリハリのある質感が演出できるアクセサリーで、肌の質感がきれいに出るため、ポートレートなどではよく利用されるアイテムだ。グリッドを付けると照射範囲を狭めながらよりコントラストの強い仕上がりが演出できる。

次は逆光の下で撮影してみる。日中シンクロがもっとも活用される場面のひとつだ。

EOS 5D Mark III/EF24mm F1.4L II USM/F2/1/3,200秒/ISO100/24mm
EOS 5D Mark III/EF24mm F1.4L II USM/F2/1/800秒/ISO100/24mm

上の2枚は自然光のみで撮影したカットだ。いずれも絞りを開き、背景ボケを大きくして撮影している。そのまま補正をせずに撮ると背景が明るいため、人物はかなり暗く写る。逆に人物に露出を合わせると背景はかなり飛んでしまう。

ここで背景と人物の露出差を埋めるためにB1 500 AirTTLを人物に照射し、日中シンクロにして撮った写真が下の2枚だ。

通常の日中シンクロで撮影 EOS 5D Mark III/EF24mm F1.4L II USM/F11/1/200秒/ISO100/24mm/B1 500 AirTTL使用
HSSで撮影 EOS 5D Mark III/EF24mm F1.4L II USM/F2/1/3,200秒/ISO100/24mm/B1 500 AirTTL使用

いずれも背景が飛びすぎない程度の露出を基準に、人物に対してB1 500 AirTTLを発光した。

私が今回使用したキヤノン EOS 5D Mark IIIはストロボとの同調速度が1/200秒だ。そのため、今回のような明るい場面では、通常の日中シンクロで撮影を行おうとすると、絞りをある程度絞り込まなくてはならない。必然的に、背景ボケは演出できないのだ。しかしHSSを利用すれば、絞りを開いたままストロボを発光して撮影が行える。つまり、HSSを使えば日中の明るい逆光でも、被写界深度を浅くしたまま撮影が行えるのだ。

上の2枚の撮影時の状況カットだ。左からソフトライトリフレクターを1灯。調光補正は行っていない。

EOS 5D Mark III/EF85mm F1.2L USM/F2/1/800秒/ISO100/85mm/B1 500 AirTTL使用

上の写真も同じように逆光を使ったカットだ。HSSを利用することで、背景ボケを演出しながらストロボを発光できた。なるべく自然な雰囲気で仕上がるようにB1 500 AirTTLの光量を調光補正機能で-1EV補正して撮影。光量が直感的に変更できるのもB1 500 AirTTLの大きな魅力だ。

上の写真の状況カット。左からRFiソフトボックス60×90cmを装着したB1 500 AirTTL 1灯を照射。ソフトボックスは非常にやわらかい光を演出できるのが特徴。肌の質感を滑らかに描写できる。

激しく動くモデルをシャープに写し止める!

HSSを使った描写は、当然ながら被写体の速い動きをきちんと止めて撮影したい場面でも効果的だ。日中シンクロでうまく止められなければ、HSSで高速シャッターを適用してみよう。

日中シンクロ EOS 5D Mark III/EF24mm F1.4L II USM/F16/1/160秒/ISO100/24mm/B1 500 AirTTL使用
ハイスピードシンクロ EOS 5D Mark III/EF24mm F1.4L II USM/F4/1/2,000秒/ISO100/24mm/B1 500 AirTTL使用

上の2枚の写真はモデルにジャンプしてもらい撮影した。2枚を見比べても明らかだが、通常の日中シンクロでは微妙にストールの先がブレている。HSSを使った写真はきちんと止まっている。HSSは動きの速いスポーツを撮りたいときや水しぶきを止めて写したい場面などでも重宝する機能だ。

上の写真の状況カット。マグナムリフレクターを装着したB1 500 AirTTLを1灯モデルに対して正面上から照射している。マグナムリフレクターは強いコシのある光が特徴的。強い太陽光のような光源が演出できる。調光補正は行っていない。

最後にHSSを使って人物に光を照射しつつ、背後の露出を落として非現実的な雰囲気を狙ってみた。全体的に露出がアンダーになるようにマニュアルモードで露出を設定し、その上で、B1 500 AirTTLを使って人物へストロボを照射する。こうすることで、背景との露出差を人工的に演出できるのだ。これもよく見られる日中シンクロの技法だが、HSSを使えば背後が暗く落としやすく、背景ボケも演出できるメリットがある。

自然光のみで撮影 EOS 5D Mark III/EF24-70mm F2.8L USM/F4/1/640秒/ISO100/70mm
HSSで撮影 EOS 5D Mark III/EF24-70mm F2.8L USM/F4/1/1,250秒/ISO100/24mm/B1 500 AirTTL使用
HSSで撮影 EOS 5D Mark III/EF24-70mm F2.8L USM/F4/1/1,250秒/ISO100/27mm/B1 500 AirTTL使用

HSSで撮った写真のほうがシャープで力強い。寄りで撮った写真は背景ボケもドラマチックだ。総じて、自然光のみで撮るのとはまた違った独特の描写性が演出されている。

アンブレラを装着したB1 500 AirTTLを1灯ずつ左右真横からモデルに照射。真横から光を当てることで、立体的な描写を狙った。アンブレラはもっとも汎用性の高いアイテムだ。ここではホワイトを使用。他にもメリハリの付くシルバーや透過して使うトランスルーセントなどがある。サイズや奥行きもさまざまで、用途に応じて自分好みに選んでみたい。

安定した性能と豊富なアクセサリーも魅力

ということで、ひと通りB1 500 AirTTLを使った日中シンクロからHSSまでの作業を見てきたが、今回の撮影は準備を含め2時間弱で終えている。他にも数点撮影していることも考えると、B1 500 AirTTL の機動力と即効性はやはりカメラマンにとって大きな戦力だろう。

また、アクセサリーもさまざまな種類を使った。B1で利用できるライトシェーピングツールは120種類以上だ。その点でもB1は創造性を大きく広げてくれる照明機材だと言えるだろう。バッテリーも約220回フル発光できる。バッテリーはサブでもうひとつ持っておくと安心だが、今回の撮影ではひとつずつで十分だった。

最後に、今回の撮影で使用したHSSだが、写真を見てもわかる通り光のばらつきがほとんど見受けられない。つまり、B1 500 AirTTLによるHSSは光の照射の安定感も魅力なのだ。1枚の画像の中で高速シャッターによる露出の変化はほぼ皆無。これもB1 500 AirTTLを使ってHSSを行う際の大きなポイントになるだろう。信頼性が高いのだ。

B1 500 AirTTLが当たるキャンペーンも!

今回のロケで大活躍したB1 500 AirTTL。HSS対応とプロフォトのCP+2015の出展を記念したキャンペーンが行なわれている。

こちらのページでアンケートに答えると、抽選で1名にB1 500 AirTTLをプレゼント。さらに副賞として、抽選5名にプロフォトのレフ板「100960リフレクターシルバー/ホワイトM(80cm)」が当たる。申込期限は2月15日17時。

またCP+2015では、この記事の撮影・執筆を担当した河野鉄平さんによるセミナーも開かれます。スケジュールはこちらのページで。

撮影協力:プロフォト株式会社
モデル:神沢友美

河野鉄平