デジカメアイテム丼

レンズを手早く安全に交換できるアイテムとは?

BLaKPIXEL GoWingレンズホルダー

右が今回の主役、GoWingレンズホルダー。カメラ用ストラップとしては、CustomSLR伸縮エアーストラップセットS(左)を使用した。

災いはレンズ交換時にやって来る……かも

レンズ交換式カメラをお使いの大多数のユーザーのみなさんは、おそらく撮影中にレンズ交換をしようとして、うっかりレンズを落下させそうになった経験があるのではないか。恥を承知でカミングアウトすれば、少なくとも筆者は複数回以上は経験済みだ。

さらに恥を上塗りすれば、アスファルトに落下させたことも水辺から水中に落としたこともある。修理に出した際に対応してくれたサービスセンター係員諸氏の残念そうな表情も忘れない。いまこうして記事を書きながら思い出しては、改めて顔から火が出るような思いだ。

そこで、撮影時には必ずフラップの開けやすいカメラバッグを用いることが多いし、カメラマンベストではなく、ポケットのあるふつうの服(場合によってはスーツ)を着用して、事前にポケットに使いそうな交換レンズを入れておく。

だが、ポケットからレンズを出す動作は結局引っかかりを防止できないし、大きなレンズではポケットに収まらない。だいたい、ポケットが大きく膨らんでいてあまりスマートではない。とはいえ、ウエストポーチやボディバッグを使用しても、結局は同じだろう。

いずれも、撮影前の事前予測が足りず、撮影直前のためらいや、あるいは撮影に夢中になっていることで、レンズを取り出す際にバッグやポケット、あるいはカメラなどに指を引っかけて、手を滑らすなどの不注意が原因だ。

そして、それなりに注意を払わないとこうした事故は今後も再発させる恐れがある。さて、どうしたものか。

肩から提げるGoWingレンズホルダー

「収納したレンズを取り出す際に不注意からレンズを落下させそうになるなら、レンズを肩から提げて出しておけばいいじゃない」とは、なるほどうまい解決方法だ。

今回ご紹介するGoWingレンズホルダーは、そんなうっかりカメラマン、もといレンズ交換をひんぱんに行うアクティブなカメラマンへのひとつの回答だろう。

この製品、国内ではBLaKPIXEL(ブラックピクセル)ブランドで発売されている。BLaKPIXELとは、GoWing社の日本総代理店で、他にCustomSLR社などの製品を取り扱っている。

話を戻すと、GoWingレンズホルダーは、レンズの後ろキャップを二つ組み合わせて、レンズ着脱ボタンとストラップアイレットを取りつけたようなかたちをしている。ストラップを利用して肩から提げることができるというわけだ。

GoWingレンズホルダーN(ニコンマウント用)
ストラップが付属する
ボディキャップホルダーも付属する(ボディキャップは含まれない)

キヤノン、ニコン、ソニーAおよびEの4種

マウントはキヤノンEFおよびEF-S用、ニコンF、ソニーAおよびソニーEの4種が用意されている。

ニコンマウント用(手前)とキヤノンマウント用(奥)

使用説明書とストラップ(三角環つき)およびボディキャップホルダーが付属する。価格はいずれも8,980円(税込み)。

ホルダー本体は軽量エンジニアリングプラスチック製とのことだが、かなりしっかりした作りだ。

力がかかるであろうストラップアイレットは左右一体式(外から見える部分は「耳」だけだが、左右が一体になっている)で高耐力アルミの削り出し加工。ストラップが絡みにくいように回転する。そして、それを支える中央部分はダイキャスト。マウント部分も金属製だ。

耐荷重は約100kgfだそうだが、実用的な装着可能なレンズ重量は合計3kgとされている。

GoWingそのものの全幅は69mm(突起部除く)、厚さは32.5mm(突起部除く)。本体重量は92gと軽量だ。※数値はキヤノンマウント用の場合

自動ピンロックとマウント部分
ストラップアイレット部分は回転する

積極的にレンズ交換をしたくなる

例のごとく、撮影に持ち出して試用してみた。工作精度が高いのかマウント部分によけいな遊びもなく、レンズ着脱ボタンもスムーズに動く印象だ。そのために、操作もしやすい。

そして、レンズホルダーを使用するとカメラバッグなどに収納していないぶん「レンズを取り出す動作」を省略できる。おかげでレンズ交換時にためらうことが減るので「レンズ交換をしよう」と思う回数が増える。これはちょっとした発見だった。

気温が低くて着込んでいるために動きにくい場合、降雨で傘をさしている場合などは、あるいは日の出前や日の入り後の暗い場所などでは、カメラバッグを開けてレンズ交換をするまでの動作にちょっとした負担がかかる(あるいは、そう考えてレンズ交換をするまえに逡巡する)。けれど、そういう撮影条件がよろしくない場合こそシャッターチャンスであるぞ!と筆者は思うのだ。

使用にあたっては撮影時にレンズホルダーの片方にレンズを装着し、片方はボディキャップをつけておくという使い方がよさそうだ。

もちろん、両側にレンズは装着可能だが、長いレンズをつけると重くなるうえに、どうしても携帯しにくくなる。レンズの長さが長い場合には、レンズフードも着用しておき、動作の最中にぶつけないような注意は必要だろう。

レンズホルダーのボディキャップを外す。
レンズAをカメラより外す。
レンズAをGoWingレンズホルダーに装着。
GoWingレンズホルダーの反対側に装着していたレンズBを外して……
カメラに装着。

GoWingレンズホルダーにボディキャップを装着しておかなければ、もっと手順は少なくなる。ただし、カメラボディへのダスト侵入を防ぐためには、ボディキャップをしておいたほうがいいだろう(レンズ後端にホコリがつき、それがボディに侵入するため)。外したボディキャップをポケットに入れるのも、カメラボディ内へのダスト侵入につながる恐れがあるので要注意だ。

なお、GoWingレンズホルダーは、カメラバッグ内の整理整頓にも役立つ。単焦点レンズをいろいろ持ち歩くと、カメラバッグ内でごろごろと移動してしまい、バッグ内の整頓ができずにとっさのときに意図しないレンズを取り出してしまうことがあるからだ(筆者だけかもしれないが)。

GoWingレンズホルダーにレンズをつけておくと、カメラバッグ内の整頓になる。

以上、使い勝手は予想よりも快適だった。レンズ交換を頻繁にするユーザーは検討してみるといいだろう。

使用したストラップについて

なお、今回のGoWingレンズホルダーの試用にあたっては、カメラ側のストラップにCustomSLR社製C-Loopと伸縮エアーストラップのセット「伸縮エアーストラップセット S(C-Loopシルバー、エアーストラップセット)」を用いている。

C-Loopはカメラの底面にストラップを取りつける回転式ストラップマウントでストラップの絡まりをなくすもの。そして、伸縮エアーストラップはレンズ交換時に伸縮の調整が容易なクイックスライダーとエアホールのあるショルダーパッドなどが特徴だ。GoWingレンズホルダーとあわせて用いると、レンズ着脱もよりしやすかったのを付け加えたい。

今回、カメラにはCustomSLR製「伸縮エアーストラップセットS」を使用した。カメラ底面にストラップを固定するタイプのほうが、GoWingレンズホルダーと組み合わせやすい。

制作協力:BLaKPIXEL(ブラックピクセル)

秋山薫