デジカメアイテム丼

雨の日だって写真を撮りたい! 雨対策アイテムと三脚のお手入れ術

濡れた三脚の分解・清掃法も伝授

雨の日だっていいじゃない

関東地方もいよいよ梅雨入り。雨が降り続くあの季節がやってきた。けれど筆者は雨の日も好きだ。雨が降るとうれしくなる、というほどではないけれど(雨季にうきうき、というダジャレがふと浮かんだ)、雨の日にしか撮れない雰囲気もあるからだ。雨粒や水滴自体も被写体になるし、雨煙や霧雨の雰囲気もいい。光が拡散され、しっとりと雨粒で被写体が濡れる様子も好ましい。

筆者が好きな蒸気機関車(SL)の場合は、雨が降ると気温が下がるので、煙や蒸気がより目立つ。いずれにせよ、目的や被写体にももちろんよるけれど、いつも晴ればかりの写真では写真に変化がつけられない。だから、雨の日は雨の日でステキに撮ってみたい。あ、べつに筆者は雨男だとか、その負け惜しみで書いているのではないですよ。

そこで、今回は雨の日の撮影に役立つアイテムと、撮影後の三脚のお手入れについて書いてみたい。ちなみに、これらは雨の日に撮影をするのではなくても、水辺で撮影する方にも知っておいてもらいたいものばかりだ。

雨対策の初歩は「濡らさないこと」

雨が降ると困るのは、自分の体もさることながら、カメラやレンズ、カメラバッグや三脚なども濡れること。

筆者は仕事柄さまざまなカメラやレンズを使うが、とくに降雨に強いことをうたっている製品ではなくても、降雨のせいで機材が不調になったことは、標高の高い場所や極度に気温差がある場所で撮影する機会がないので、いまのところは幸いない。

とはいえ、最近増えているタッチ式の背面モニターは雨粒で濡れると反応しにくくなるし、アイセンサーも誤作動しやすい。そして、レンズ前面を濡らすと逆光に弱くなる。また、気温差が大きいと濡れたままの機材が結露してしまうことも。わざわざ機材を意図的に濡らす人はいないだろうけれど、できるだけ雨に濡らさない対策はしておきたい。

その1:アンブレラクランプを使う

そこで、機材を濡らさないためのまず1つめの対策は、傘を差し、撮影に必要なときにだけバッグから使用機材を出すこと。たぶん、みなさんもそうしているはず。そのとき、傘を差しながらカメラを構えるのはしにくい。そういうときには、三脚を用いてセンターポール部分に傘を取りつけるホルダーがあると便利だ。

三脚に傘を固定する同種の製品はいくつかあるが、ベルボン「UC-6 アンブレラクランプ」の特徴はまず、傘が付属すること。この傘は表面が黒で裏面が白い。

付属の傘の柄の部分のアダプターを外すと、一般の折りたたみ傘も使用できる。

そして、傘をクランプに接続させる部分を回転させ、クリップオンストロボ用の反射傘にもなる。ストロボ撮影が多いなら専用のアンブレラやバンク、ソフトボックスなどを使うほうが便利だが、たまにしかストロボを使わないのであれば、これでも十分だ。

なお、使用できるクリップオンストロボは発光部分が180°回転するものだ。

自宅のクラシックカメラを撮ってみた。付属の傘にストロボ光をバウンスさせたものの方が、自然光のみで撮影したものよりもめりはりがある。

クランプは軽く握るだけで開閉できるが、固定した感触はしっかりしている。このUC-6の最大の特徴は、万が一強い風を受けた場合には、三脚ごと転倒せずにクランプだけが外れるようにできていること。傘を三脚に固定するアイテムは基本的には強風の場合には使用を控えたほうがよいだろうが、クランプだけ外れるという構造は安心できる。

その2:レインカバーを使う

カメラやレンズを濡らさない2つめのアイテムは、レインカバーだ。雨の日に機材にタオルをかけることはみなさんもおそらくされるだろうが、レインカバーの方がもちろん雨には強い。また、風があっても平気だ。

ベルボンの「カメラ レインカバー」は黒と迷彩の2種が用意されている。野鳥などを撮影される方は迷彩でもいいだろう。

底の線ファスナーを外してカメラにカバーをかけ、内部のバンドでレンズの根本付近を止めてから、レンズの先端部分で紐と面ファスナーで固定する。カメラのアイピースを外せばカメラ背面でもレインカバーを固定できる。ひさしの部分をはね上げておくこともできる。また、手持ち撮影でも使用でき、全長400mmの延長用の布があり、超望遠レンズにも対応する。

その3:三脚ケースを使おう

カメラとレンズへの対策ばかりを書いたが、忘れがちなのが三脚への対策だ。三脚を持ち運ぶときに、ケースやバッグに収納しない人は多い。これも、できればケースを使う方が三脚を濡らさないためにもベターだ。また、公共交通で移動する場合にはなおさらケースを使う方がほかの人に迷惑をかけないし、自家用車に積む場合にも三脚に余計な傷をつけない。そして、使用後は三脚ケースも風通しのいい場所などで陰干ししておこう。

使用後には水分を取り除くこと

雨対策を行っても、雨の日に撮影をしたらどうしても機材は濡れる。そこで、撮影後にはかならず水分を取り除いておこう。カメラやレンズ、そして三脚や雲台などはタオルで水分を拭く。海辺などで撮影したあとは、水道水で濡らして硬く絞ったタオルでいちど吹き、そのあとでできるだけ風通しのいい部屋に置いておきたい。ズームレンズなどはいちばん伸ばした状態にしておくこと。

このあたりは三脚も同様で、すべての脚を伸ばしておこう。また、可動部分に入った水分も脚を何度か伸縮させながらタオルで水分を拭っておこう。

レッグウォーマーは外せないので、水分が染み込んでいたらタオルを押し当てて水分を取り除こう。石突を交換できる三脚なら、石突部分も外して脚のパイプ内部に入った水分を乾かしたい。また、雲台周りも同様で、可動部分を動かしながら入り込んだ水分を拭おう。

三脚を分解・清掃してみた

河原や砂浜での撮影の後では、脚部に砂が入り込むことがある。こういう場合は、できれば三脚や雲台は外せる部分をすべて外して、砂を取り除きたい。可動部分に砂が入ると動きが悪くなるからだ。

ただし、分解した際に脚内部の部品などを紛失するとか、組み上げ方がわからなくなると困るので、この方法はあくまでも自己責任で行ってほしい。分解する際にはその様子を写真に撮っておき、ダーマトグラフなどで部品に番号を振っておくのもいいだろう。少なくともこれは、「パソコンのメモリー増設」や「デスクトップパソコンのハードディスクドライブの増設」といったたぐいのスキルがある方向けだ。

「メモリーを増設したらパソコンが起動しなくなった」とか「組んだあとにいつもなぜかネジが余る」方にはおすすめできない。

というわけで、えーとあの……、ベルボンの三脚を分解してしまいました。関係各位のみなさん、すみません(汗)。

三脚の分解は自己責任の上でお願いします。

分解により何らかの損害が生じたとしても、筆者、デジカメ Watch編集部、株式会社ベルボンともその責を負いません。

あしからずご了承ください。

ベルボン製品のうち、ナットロック式のジオ・カルマーニュNシリーズ(写真はN635M II)のナットロックは「ゆるむ」の方向に回し続ければ、特別な工具を用いずとも、脚の分解ができる。

また、レバーロック式のジオ・カルマーニュEシリーズ(写真はE643M II)もロック部分の凹んでいる部分を押しながら下にずらせば、レバーロック部分を外すことが可能だ。なお、ベルボン製品でもウルトラシリーズやウルトレックシリーズなどは、分解できない。

分解時に濡れている場合はまずは乾燥させ、その後で砂などの異物があればタオルや歯ブラシで取り除こう。この際に市販のスプレータイプの浸透潤滑剤の使用はおすすめしない。

また、グリスはよほどのことがないかぎりユーザーレベルで足すこともしないでいいだろう。白い部品(スリーブと緩みどめ)を紛失しないことと、取り付ける場所を間違えないように、くれぐれも注意してほしい。くどいようだが、これらは自信がないならメーカーに依頼しよう。メーカーも筆者も編集部も分解を推奨するわけではないので、あくまでも自己責任で行ってほしい。

まとめ

雨の日対策とはいえ、とりたてて新しい方法があるわけではない。ここに述べたのはいずれもベテランユーザーからすればおなじみのものだろう。

とはいえ、筆者自身を含めて雨対策に無頓着なユーザーは少なくないのではないかと思えることが正直言うとけっこう多い。また、雨の日じたいがおっくうだという以外に、濡らすと機材が壊れてしまうから、雨の日は写真を撮らないというユーザーもいるようだ。

けれど、雨への対策を知っておけば、雨の日の撮影もこわくないはずだ。雨の日をステキに写して、みなさんが写真生活をもっと楽しく過ごせるようになればと思う。

制作協力:ベルボン株式会社

秋山薫

(あきやまかおる)1973年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科ロシヤ文学専修修士課程修了。月刊カメラ誌編集部、季刊カメラ誌編集長を経験。 Kindle電子書籍のカメラ本『ぼろフォト解決シリーズ』の撮影、執筆、編集を中心におもにカメラ・写真関連記事の編集者・写真家として活動している。